都水道局の争議行為対応が違法行為を助長している状況の是正外6件の陳情書下書
公式のフォーマットに対応した陳情書の下書きを書いた。清書したうえでできるだけ早い時期に議会局に提出の予定。
とはいえ、根回しも何もないので、受理されたとしても不採択だろう。不採択でもとにかく公式に世に問うことで一歩前進になると考えている。
より詳しい理由や、包括的な改善提案32項目はhttp://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2025/11/post-42dade.html
陳情その1
水道局の争議行為対応が違法行為を助長している状況の是正
(願意)
一 職員へストライキ参加の事前警告と当日の職場復帰命令・就業命令を全くやらない方針の是正
水道局では、全水道東水労による地方公営企業等の労働関係に関する法律11条1項違反の同盟罷業が、平成16年以降6回、直近は令和元年12月20日に1時間ストが敢行されたが、職員には違法行為との事前警告もしないし、スト当日に職場復帰命令・就業命令をいっさい行わず、同条項後段所定の「唆し」「あおり」に該当する演説等に対して中止・解散命令も行なっていない。
当局はストライキ中に非組合員やスト反対の組合員に業務命令して業務遂行をさせないとする労組側の要請に従っており、スト防衛に加担して違法行為を是認しており全く不当であるゆえ、事前警告や就業命令等を徹底して義務付ける方針に是正していただきたい。
二 管理職がスト参加に誘導する慣例の是正
職員には違法スト参加の勧誘・説得を受忍し従う義務などないにもかかわらず、水道局では管理職が就労を申出る職員に対し、事故欠勤にするのでピケットラインを越え、出勤時限前にICカードリーダによる出勤入力をしてはならないと指示することがある。
就業規則にある服務の基本的義務違反を唆し、出勤停止とする指示は、現場の管理職の権限を逸脱しており、事実上違法争議行為に協力する方針なので是正していただきたい。
なお、スト当日は組合により三六協定が一方的に破棄されるが、組合はピケット態勢において、時間外の労務指揮権が消失しているので、出勤時限前の出勤入力はさせないと職員に指図することがあるが、仙台鉄道管理局事件・最二小判昭48・5・25は「労働基準法32条1項は、就労時間の点で労働者を保護することを目的とし‥‥右の目的と関わりのない、労働者とその職務執行の相手方その他の第三者との間の法律関係にただちに影響を及ぼすような性質のものではない‥‥」と説示していることから、職員の服務上の基本的義務、就業規則が無効にはならないし、管理者の職務命令や庁舎管理権が消失するものでもない。仮に労基法上違法な職務執行であっても刑法上保護される業務であることは判例上確立しており、組合側の主張は不当であるから、方針を是正していただきたい。
三 ピケットラインを越えない非組合員を「事故欠勤」とする不正給与支出の是正
水道局では、組合の勧誘説得に応じ同盟罷業に加わる非組合員は「事故欠勤」として賃金カットせず、当局が全員をストに参加させる組合の方針を支援する給与の不正支出を行っているが、職務離脱し勤務実態のない非組合員は、組合員と同様賃金カットする方針に是正していただきたい。
(理由)
国の省庁の争議対応実務では、職員全員に事前警告、スト当日の職場復帰命令・就業命令は必須で、スト指導者等の現認検書の上申は義務であり、争議中であれ職務命令が適法なことは神戸税関事件・最三小判昭52・12・20により確定している。
しかし都水道局において東水労は同盟罷業(1時間スト)を平成16年~令和元年まで6回敢行しているが、管理職は、スト当日の集会主宰者・組合員に対する職場復帰命令・就業命令や、無許可集会の中止解散命令といった庁舎管理権の発動を一切していない。又、就業命令書を手交することもない。
「服務の示達」と称する職員部監察指導課より庶務担当課長へ争議行為対応実務を通知するが、就業命令や現認検書の上申は義務付けてないから、何もやらない。
職員一般に警告もしない。違法行為との文言や必要な措置をとる等の文言がなく、地公法29条1号の適条はないことを示唆する偽装の訓示をマイク放送等で行う。争議行為を正当業務と認める対応であり全く不当である(但し組合本部の申入れでは中央闘争委員の処分のため違法行為として警告はしている)。
管理職は、非組合員に対して、事故欠勤にしてやるからピケットラインを尊重し、出勤時限前に登庁しICカードリーダに出勤入力してはならないと命令することすらある。
当局はスト破りを認めない組合の指図に従い、争議中の操業は争議権との対抗の中では権利性を失なうというプロレイバー学説に従っているのは異常だ。
最高裁は、争議権のある私企業においても、ストライキ中に業務の遂行自体を停止しなければならないものではなく、第二組合員や非組合員等を使って操業を継続するのは正当としている。操業阻止を目的とする労働者側の争議手段に対しては操業を継続する対抗措置をとることができる(山陽電気軌道事件・最二小決昭53・11・15刑集32-8-1855)。非組合員や、ストに批判的な組合員に業務命令して就労させることは正当な行為なのに都は組合の意向に従うので絶対やらない。
又、公労法17条1項に違反するストライキの決議が法的拘束力をもたず、組合の内部統制権を否認する多くの先例がある。国労広島地本組合費請求事件・最三小判昭50・11・28民集29-10-1634、全逓横浜中郵事件・差戻後控訴審東京高判昭47・10・20判時689、動労糸崎駅事件・広島高判昭48・8・30 判タ300等であるが、地公労法11条1項違反を別異に解釈する理由はない。
統制権の及ばない非組合員は勿論、組合員であれ、スト参加を促す勧誘や説得を受忍する義務はない。国鉄では組合員に業務命令し、職務離脱者の代務とするのは通例だった。しかし都水道局では就業命令しないだけでなく、非組合員をスト参加に誘導する管理職もいて、職員の就労の権利の侵害と断ずるほかなく、是正すべき。
又、ストライキ単純参加者は組合員の場合、賃金カットされるのに対し(組合が闘争資金から補償)、非組合員が組合の説得に応じてピケラインを通過せず就労しない場合は、「事故欠勤」とする措置を、管理職は組合と共謀のうえ職員部を含めて組織的に容認している。
局処務規程55条「事故欠勤」とは、出勤時限に遅刻しても賃金カットせず救済する趣旨で「交通機関の事故等の不可抗力の原因」の場合に適用されるが、勤務実態なく給与を請求するのは詐欺行為に等しい。
通説は、私企業でストに反対の第二組合員等がピケに阻まれて、就労が事実上不能となった場合、使用者は民法536条1項により賃金の支払義務を免れるとされる。支払い義務がないのに違法スト支援のため当局が不正な支出をするのは悪質である。
陳情その2
水道局において闘争指令下で組合集会等に便宜供与する庁舎管理の是正について
(願意)
一 闘争指令下(スト決行体制)で地公労法11条1項後段が禁止する同盟罷業の「唆し」「あおり」に該当する組合集会等を許容する庁舎管理の是正
都水道局では、東水労の闘争指令下で「昼休み集会」が毎年2~3回事務室内等で開催される。ストライキを配置して闘争課題を確認し組合員の意思統一を図る目的である。又、闘争指令下で5回程度なされる2割・3割動員勤務時間内庁舎構内の決起集会などは、地公労法11条1項後段所定の「唆し」「あおり」に該当する違法行為であるのに、当局はいっさい中止・解散命令等、庁舎管理権を発動することがないので、違法行為が助長されている。
今後は、ストが配置され闘争態勢がとられた時点で、集会や演説行為の便宜供与を禁止、地方自治法238条の4第7項の目的外使用として不許可、中止・解散命令を徹底する方針に是正していただきたい。
二 無許可集会、演説行為や、職務専念を妨害する行為を禁止する就業規則の整備
上記の中止・解散命令の根拠と、地方公務員法29条1号の適条を明確にし、職場環境を適正良好に保持し規律ある運営態勢を確保するため、勤務時間内外如何を問わず、無許可演説行為、無許可集会、他の職員の職務専念を妨げる行為を規制できる就業規則を追加し備えていただきたい。
(理由)
一 闘争指令下で組合集会等を許容する方針の是正
平成16年3/17公営企業委員会で、後藤雄一都議が組合役員の勤務時間内頭上報告等について質問し、東岡職員部長は「原則として勤務時間外に行うように求めるということと、勤務時間中に行う場合については、やめるように警告をすると。やめない場合については、その事実を確認して賃金カットをする」と通知したと答弁し、この警告はなされているが、問題を地方公務員法55条の2第6項及び35条違反の側面だけに矮小化し、抜本的な是正になっていない。
まず本部中執や他の事業所勤務の本部委員が勝手に室内に入って勤務時間中オルグ演説することは警告の対象外なので容認されている。
又、勤務時間外に原則行うとしたため、昼休み集会(闘争課題を確認し組合員の意思統一を図る。基調報告、決意表明、決議文朗読、頑張ろう三唱等)のように集会の全てが地公労法11条1項後段所定の「あおり」である違法組合活動を容認させる口実になっており見直しは絶対必要である。又、営業所では休憩時間をずらして、昼当番職員の2~3名が勤務中であり、囚われの聴衆でのアジ演説が、職務専念を妨害し、作業の能率を低下させるという観点でも休憩時間の組合活動の規制は必要。
もっとも水道局では地公法61条4号の罰則は適用除外だが、「唆し」「あおり」が違法である以上、解雇や懲戒処分事由になる。
「あおり」が限定解釈されることはない。都教組勤評事件・最大判昭44・4・25の「通常随伴行為不罰論」は、岩教組学力調査事件・最大判昭51・5・21等で判例変更され、日教組スト事件・最一小平成元・12・18では、あおりはもっぱら感情に訴える慫慂行為という組合側の主張を退けている。全運輸近畿陸運支部事件・最二小判昭60・11・8は勤務時間に15~20分喰込む職場集会を解散命令に従わず強行した事案で、二審が 「挨拶」「職場大会の意義についての演説」「所長交渉の経過報告」「決議文の朗読」などの行為は「唆し」「あおり」に該当すると述べ、上告審は「国公法九八条二項後段に規定する『唆し』又は『あおり』に該当するとした原審の判断は正当」としているから、集会の演説者は全て懲戒責任を問える。
本庁・支所等の決起集会や勤務時間外の頭上報告の指令伝達も「あおり」に該当するのは同じことであり、旧郵政省の方針と同様に、ストを配置し闘争態勢に入った時点で、庁舎構内の便宜供与を禁止していただきたい。
東京城東郵便局事件・東京地判昭59・9・6労判442号45頁は、全逓本部によるスト決行体制確立、業務規制闘争突入指令発令後、局内での組合集会開催のための施設の利用を許諾することは、公労法17条1項違反の違法行為を助長する結果となるおそれが大きいと当局側が判断したことについては、相当な理由があるとして、会議室使用不許可は不当労働行為には当たらないと判示しているとおり。
二 就業規則の整備
職務命令や懲戒の根拠として下記例示を参考にして規則追加と周知が必要である。
JRグループ就業規則
第22条1項 社員は、会社が許可した場合のほか、会社施設内において、演説、集会、貼紙、掲示、ビラの配付その他これに類する行為をしてはならない
第23条 社員は、会社が許可した場合のほか、勤務時間中に又は会社施設内で、組合活動を行ってはならない
郵政事業庁就業規則13条6項
職員は、職場において、他の職員の執務を妨げ、その他秩序を乱す言動をしてはならない。
人事院規則17-2第7条2項
職員は‥‥他の職員の職務の遂行を妨げ、又は国の事務の正常な運営を阻害してはならない。
陳情その3
水道局の三六協定破棄闘争(職制麻痺闘争)対応実務の是正について
(願意)
一 三六協定破棄闘争では組合の言いなりになって職務命令を凍結せず、必要な業務は違法承知で業務命令する方針に是正する
当局は事実上時限ストや怠業と同じ効果のある東水労の三六協定破棄闘争を正当な行為とし、管理職は組合役員と共同して定時退庁を職員に指示し、組合との保安協議で認められた業務を除き、時間外労働の業務命令をしてはならないとし、残業を許さない方針だが、今後は、労基法32条の法内超勤命令(1日の所定労働時間は7時間45分なので15分は法内超勤)を行ううえ、法定時間を越えても、経常業務で不可欠な業務と、時間外に年間計画で、委託業者と契約している業務の監督、検査業務などは日程を動かせないので、三六協定がなくても違法承知で業務命令する方針に是正していただきたい。
二 判例によれば三六協定破棄で労務指揮権、職務執行の権限は消失しない。労基法上違法な業務執行も刑法上保護されるので、就労妨害目的に利用されないよう是正
三六協定破棄闘争はスト配置日の前日の夜間から必ず実施される。組合側は当日の出勤時限前の労務指揮権が消失していると主張し、8時29分59秒まで職務執行をさせてはいけない旨主張しピケラインを越えICカードリーダに出勤入力をさせないよう就労妨害する口実にし、当局もその見解を受け容れているが、三六協定未締結の状況は、職務執行を無効にしないし、出勤時限前の出勤入力する就業規則、服務上の基本的義務を否定するものではないから、出勤入力を阻む口実をなくす対抗措置として、今後は、仙台鉄道管理局事件・最二小判昭48・5・25が、「職務命令に労基法強行規定の違反があつたとしても就労を拘束的に義務付ける部分の効力に影響を及ぼし得るにとどまり、職務執行の権限を付与する性質の部分についての効力にまで消長をきたすべき理由はない」という判旨を利用し、非組合員にスト当日の組合員の行動の監視、違法行為の阻止および排除等の権限を名目的に与え就労を妨げないこととして、三六協定を就労妨害目的に利用させない方針に是正していただきたい。
三 労組役員が管理職に下位職代務を指図する嫌がらせを許容する慣行の是正
三六協定破棄闘争で、組合役員により時間外の経常業務(下位職)代務を管理職に指図し嫌がらせする慣行があるが、所長が組合役員の下手に立ってこき使われる筋合はなく、職員に業務命令するよう是正していただきたい。
四 災害時の労基法33条適用を職員に周知していない問題の是正
水道局の震災応急対策計画では、休日夜間において震度6以上で全職員が所定の事業所、応急給水拠点要員は災害時給水拠点、資材置場管理要員は資材置場に参集する任務がある。労基法33条により、災害その他避けることのできない事由によって法定労働時間を超えて労働させることができるから、組合との保安協議を経ることなく、職務命令により職員を召集すべきである。
にもかかわらず当局は組合を憚って、33条適用により三六破棄闘争時であっても災害時には参集任務があると職員に周知しておらず、災害や突発事故が起きた時の対応が不透明なのは、都民に不信感をもたれかねず周知を徹底していただきたい。
(理由)
水道局と東水労の時間外労働に関する協定(三六協定)は常時締結され1年で更新されるが、「この協約は、あらかじめ乙が指定する日については、保安のために必要な要員に限定して適用する」という組合が一方的に破棄できる条項があり、令和5年度は、11月15日、12月19・20・21日、1月23日、3月11・12日を指定して超勤拒否闘争を実施した。近年では年間10日を超えないが、平成16年には9日間連続の長い超勤拒否闘争を行った。
組合が職制の労務指揮権を麻痺させる目的で、信義則に反する三六協定を破棄できる制度が織り込まれている。保安要員は浄水場、水運用センターなど水供給に支障なく、突発事故に対応できる人員とされるが、保安要員を置くこと自体、正常な業務運営ではない。
当局は組合の意向に従い、時間外の労務指揮権を否認凍結し、組合役員による管理職の下位職代務の指図も認容しているが、三六協定未締結闘争について内閣法制局意見昭32・9・9法制局一発22号は、もっぱら他の争議行為目的のための争議手段として三六協定の締結、更新を拒否するときは争議行為にあたり、そうではなく、超勤に関する労働条件そのものを改めることを目的として協定の締結、更新を拒否する場合には争議行為に当たらないとしている。また特定の事業場において時間外又は休日の労働の行なわれることが常態であり、そういうことが行なわれることによってのみ当該事業場における業務の運営が経常・普通の状態にあると客観的に判断しうる事情の存するときは、「業務の正常な運営」が阻害されたことになると説示している。
北九州市交通局事件・最一小判昭63・12・8が法制局意見に近似した見解をとり三六協定未締結闘争を争議行為と認定したことから、都水道局のケースも争議行為と認定される可能性は高いと考えるが、当局の見解は、北九州市バスでは平常ダイヤに超勤が組み込まれているから争議行為とされたのであって、水道局は違うので三六破棄は争議行為でないと言っている。
しかし仮に争議行為でないとしても、最高裁は仙台鉄道管理局事件・最二小判昭48・5・25で、職務命令に労基法強行規定の違反があつたとしても就労を拘束的に義務付ける部分の効力に影響を及ぼし得るにとどまり、職務執行の権限を付与する性質の部分についての効力にまで消長をきたすべき理由はないと述べ、倉敷駅信号所事件・岡山地判昭50・1・17(信号所代務を助役に命じた)は、業務命令が労基法上違法であるからといって、それに基づく業務が刑法234条の業務に該当しないというものではない。刑法上保護される業務としては業務主体がその地位において行なう業務であれば足りると判示し、国鉄荒尾駅事件・福岡高判昭37・8・7は三六未締結で助役に機関士の職務代行を命じることは、公労法1条、労基法33条の法意に照らし正当とする。国鉄八代駅事件・熊本地判昭40・3・19は三六協定未締結で退社後の助役に駅構内の警戒、取締り業務を命じたことは、抽象的職務権限が時間的に拡張するにすぎず、公務の執行として刑法第95条1項によって保護されるとし、福岡高判昭41・4・9は、労基法33条、日本国有鉄道法33条2項により容認されると説示している。
先例を総合的に判断して、違法争議行為が絡む労働事件は、具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、法秩序全体の見地から判断されるので、労基法違反の罰則が圧倒的優位とはならないのであるから、三六未締結でも職務命令し、正常な業務運営を確保すべく、最大限の努力をすべきで、違法承知で職務命令する方針に是正されるべきである。
陳情その4
水道局における争議行為の懲戒処分方針の是正について
(願意)
全水道東水労は水道局において平成16年~令和元年に6回、1時間ストライキを敢行しているが、懲戒処分は本部中央闘争委員のみに限定され、他の本部中執、本部委員、統制委員、支部・分会役員等、違法行為であるストを唆しあおり、実践指導している多数の組合員は懲戒責任を問わない方針が慣例になっていることは、不当に違法行為実践を保護し、抑止効果に乏しく、今後は各事業場でストを指導した1名以上の戒告以上の処分も行う方針に改めていただきたい。
(理由)
水道局職員を組織する全水道東水労は、違法な早朝1時間同盟罷業(ストライキ) を16年間に6回敢行しているが(平成16年7月30日、同年10月1日、平成20年3月19日、22年12月10日、26年1月24日、令和元年12月20日)、懲戒処分は本部中央闘争委員の数名のみに限定されている(令和2年2月6日発令の全水道東水労の処分は、本部中闘停職13日1人、停職10日1人、停職7日1人と支部長26名の訓告、訓告は平成22年度より実施しているが懲戒ではない)。
しかし本部中闘は、オルグ演説のため各事業場を巡回するが、各事業場において、以下の大衆行動やストライキの実践指導をしているのは、下部の役職である本部委員や各事業場の支部・分会役員である。
組合員に闘争課題を確認し、ストに向けて組合員の意思統一を図る昼休み集会の開催や、頭上報告で指令の伝達、2割・3割動員勤務時間内決起集会の動員指令、ビラ貼り闘争指導、所属長に争議目的を認めさせる要請行動、超勤拒否闘争の指令、管理職に下位職代務の指図、非組合員へピケットラインを越えてICカードリーダに出勤入力することはスト破りなので許さないとして説得する行為、スト当日のピケ、集会の主宰、演説等、これらの行為は、地方公営企業等の労働関係に関する法律11条1項の後段で禁止される「唆し」「あおり」に該当し、また同盟罷業それ自体は前段で禁止される違法行為である。
地方公営企業の同条項違反行為については、地方公務員29条1号、2号、3号、32条、33条、35条の適条により懲戒責任が問えることは、北九州市交通局事件・最一小判昭63・12・8民集42-10-7、附則により地公労法11条1項が准用される単純な労務に雇用される一般職に属する地方公務員につき、北九州市清掃事業局事件・最二小判昭63・12・9民集42-10-880以下累次の判例で確定しており、近年では北教組の平成20年1月30日終業時1時間同盟罷業につき、道教委が30分以上の職務離脱者12,551名に対し一律戒告処分とした事案で、北海道労委事件・最二小判平28・6・17中労委DBは、附則で地公労法11条1項が適用される養護学校の単労職員(介護員)の戒告処分につき、最高裁は道労委救済命令を取消、戒告処分を適法と判示した二審を支持し、短時間の単純参加者であれ懲戒責任が問えることも確定した。
にもかかわらず、局が下部組織幹部を懲戒処分にしない方針なのは、以下の組合側の不当な主張を受け容れているためである。
組合中央からの指令を忠実に実行したものであり、組合中央に反した行動をとれば団結を破壊し統制処分を受けることになる。本部中闘の指令に基づく組合員としての当然の義務を果たしているだけであり、労働組合の争議行為が違法であるとしても、個々の組合員の行為が当該争議行為を組成し、その圏内にある行為と認められるかぎり、これを独立の行為として、使用者からの懲戒を許容することはできないという主張である。
しかしこの見解は、全逓東北地本懲戒免職事件・最三小判昭53・7・18民集32-5-1030が「その集団性のゆえに、参加者個人の行為としての面が当然に失われるものではない以上、違法な争議行為に参加して服務上の規律に違反した者が懲戒責任を免れえないことも、多言を要しない」と明示的に否定されている。
本部中闘以外の組合役員は、違法行為の慫慂を何百回繰り返しても、懲戒処分されない保証があるため安心して違法行為ができる職場風土は、違法行為を助長するもので、抑止できていないのであるから、処分方針は改定されるべき。
陳情その5
全水道東水労の争議行為及び付随する行為で外形上犯罪構成要件該当行為を取り締まっていない争議対応実務の是正
(願意)
全水道東水労の争議行為及び付随する行為として以下の外形上犯罪要件該当行為がなされているが、当局はいっさい取り締まっていない。
(1)多衆が執務室内を占拠して集会し、物理的に非組合員等の就労を阻止する態様のシットダウンストライキ(威力業務妨害罪)
令和元年12月20日新宿営業所では、事務所検針担当の執務場所で、営業所と給水課分室合同の40名程度が集合して座り込むスト集会がなされた。
(2)当該事業所外に勤務する組合役員が、事務室に勝手に侵入しオルグ活動するまたは、構内に侵入し違法行為を慫慂、あおる集会(支所・合理化拠点決起集会)を開催する。(住居侵入罪)
(3)ストライキ配置日の前夜から当日未明にかけて「スト待機」と称し、セキュリティを破って事務室内に勝手に出入りし組合員への指令伝達、ストライキ集会準備、ビラ貼りなどを行う組合役員の任務(住居侵入罪)
(1)は争議権のある私企業でも刑事免責されない悪質な態様である。管理職は、解散退去命令や就業命令せず許容し、現認検書も上申しないので懲戒処分にもならないが、今後は地方自治法238条の4第7項の目的外使用として不許可とし、職務命令を徹底し、強行した場合は懲戒責任を問うだけでなく、刑事処分も検討する。
(2)(3)は毎年恒例でなされる行為だが、立入拒否の管理意思を明確に示せば犯罪が成立する事案である。不許可、中止・解散・退去命令を徹底し、ストを決行した場合は懲戒処分事由とする。現状は当局が容認しているため、犯罪は成立していないとの反論されるからである。職務命令と懲戒の根拠を明確にするために、勤務時間内外如何を問わず無許可演説行為・集会、無許可組合活動、他の職員の職務遂行を妨害する行為を禁止する就業規則を追加して整備していただきたい。
(理由)
争議行為は労務提供拒否という不作為を本質とし、これに随伴する行為も消極的行為の限度にとどまるべきであり、それを越えて使用者側の業務を妨害するような意図及び方法での積極的な行為は許されないと最高裁は判示している(羽幌炭礦事件・最大判昭33・5・28刑集12-8-1694等多数)。
従って、公共企業体の争議行為に刑事免責があるとの東京中郵判決の枠組においても、摩周丸事件・最大判昭41・11・30(タラップを取外し、舷門扉を閉鎖)、久留米駅事件・最大判昭48・4・25 以降は、争議行為と付随する行為とを分けて違法性阻却判断をする方式となり、動労糸崎駅事件・広島高判昭48・8・30判タ300号(運転室に乗り込んで占拠したうえ、乗降口の扉を閉め、代務の機関士の乗車を阻止)、 動労鳥栖駅事件・福岡高判昭49・5・25(進路前方軌条枕木付近でスクラムを組み列車発進を妨害)等でマス・ピケ事犯が業務妨害罪により有罪とされている。
全逓名古屋中郵事件・最大判昭52・5・4刑集31-3-18は公共企業体では争議行為の刑事免責はないと判例変更した。名古屋中郵第二事件・最二小判昭53・3・3の香城敏麿判解は名古屋中郵判決を次のように要約した。
(イ)公労法17条1項違反の争議行為が罰則の構成要件にあたる場合には、労組法一条二項(刑事免責)の適用はなく、他の特段の違法性阻却理由がない限り、刑事法上これを違法とすべきである。
(ロ)但し、右の争議行為が単なる労務不提供のような不作為を内容とするものであって、公労法17条1項が存在しなければ正当な争議行為として処罰を受けないようなものである場合には、その単純参加者に限り、当該罰則による処罰を阻却される。
(ハ)これに対し、公労法17条1項の争議行為にあたらず、これに付随して行われた犯罪構成要件該当行為の場合には、その行為が同条項違反の争議行為に際して行われたものである事実を含めて、行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、法秩序全体の見地から許容されるべきか否かを考察してその違法性阻却事由の有無を判断しなければならない。
公労法17条1項と地公労法11条1項違反の争議行為実践は違法であり解雇事由となるが、罰則規定はない。しかし刑事免責はないのである。
上記指導判例の判断枠組を都水道局の事例をあてはめれば、争議行為がたんに単純不作為のウォークアウトであるならば、(ロ)に該当し懲戒責任を問えるが、刑事事件にはならない。しかし(1)の多衆による職場占拠による就労妨害は、(イ)に該当し実力を伴うマス・ピケと同様、業務妨害罪の構成要件該当行為なので、特段の違法性阻却事由はないから、刑事法上違法と判断される。
(2)の中執や本部委員のオルグ活動、動員集会等の立入りや(3)の深夜未明のスト待機(指令伝達の任務)は争議行為でなく、これに付随する行為として(ハ)に該当し、全逓中執と地本役員が「あおり」行為を行うため立入禁止の名古屋中郵地下食堂に建造物侵入したことは、目的が違法行為の立入なので、違法性は阻却されず、罰金刑になったと同じように、(2)(3)が違法行為目的の立入なので、違法性が強く推定される事案になる。
全逓釜石支部事件・差戻後控訴審仙台高判昭61・2・3判時1194では、管理権者が予め立入否の意思を積極的に明示していない場合であっても、立入り行為を管理権者が容認していないと合理的に判断されるときは、犯罪の成立を阻却しないとしているから、就業規則で無許可組合活動を禁止し周知する等、管理意思が示せば住居侵入罪は成立するのでそうすべきである。
陳情その6
水道局営業所における勤務時間内シャワー利用を認める労務管理の是正について
(願意)
水道局営業所では、事務職で身体や被服の汚染を伴う業務がないにもかかわらず、当局と組合との合意により、勤務時間中に浴室のシャワーで洗身することが認められているが、最高裁判例により、洗身入浴は労働基準法上の労働時間に該当しないことが確定していることから、賃金減額の対象とするなど労務管理を是正していただきたい。
(理由)
水道局では、給水課・配水課の管工事の労務も多かったし、作業後の洗身については、労働安全衛生規則625条が、使用者に、身体又は被服の汚染を伴う業務に関し、洗身等の設備の設置を義務付けていることから、多くの事業所で浴槽のある浴室を備えている。事務職のみの職場でも組合要求でシャワー施設を備えている事業所がある。
少なくとも千代田・新宿・杉並営業所で当局と組合の合意により、浴室のシャワー利用が、勤務時間中であれ、時間外であれ容認されていた。
しかし営業所は事務職のみで、重筋労働や身体が汚染する業務はない。内規では身体の汚染があったとき上司の許可を得てシャワーを浴びることになっているが、許可を得てはいない。職員によっては連日、ドライヤーで整髪の時間も含め職務離脱時間の長い職員もおり、始業時前にシャワーで汗を流し、自宅での水道・ガス代を節約するための利用もみられる。
三菱重工業長崎造船所(一次訴訟・組合側上告)事件・最一小判平12・3・9判時1709号126頁は、労働基準法上の労働時間とは、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではない。」としたうえで、「実作業の終了後に事業所内の施設において洗身等を行うことを義務付けられてはおらず、特に洗身等をしなければ通勤が著しく困難であるとまではいえなかったというのであるから、上告人らの洗身等は、これに引き続いてされた通勤服の着用を含めて、被上告人の指揮命令下に置かれたものと評価することができず‥‥洗身等に要した時間は、労働基準法上の労働時間に該当しない」と判示した。
国鉄池袋・蒲田電車区事件・東京地判昭63・2・24労民集39-1-21は蒲田電車区において、終業時刻の30分前から洗身施設で身体汚染を洗身して退区することが慣行とされ、池袋電車区でも、作業内容にかかわらず日勤勤務者が勤務時間中に洗身入浴する慣行があった。国鉄の職場規律の乱れが問題となった昭和58年に就業規則違反として禁止され、指揮監督を離脱したものとして職員賃金基準規定にもとづき賃金カットした事案で、電車区長は就業規則で定められた勤務時間を短縮する権限を付与されておらず、また、身体汚染の除去は顔、手足の洗浄及び衣服の更衣等によって可能であり、勤務時間内の洗身入浴が必要不可欠なものであったとは認められず、賃金減額の措置が不当でないとされ、国労は勤務時間内の入浴の要求を取下げている。
勤務時間内のシャワー利用の疑義について局管理職の返答は、シャワーは浴槽につからないので入浴にあたらない。汗は生理現象なのでトイレ利用と同じ。客面に出る仕事なので身だしなみ、清潔である必要があると言って職務離脱を容認するとしているが詭弁に思える。環境計画では水道の使用量も減らすことになっているのである。全裸となって浴びる以上、シャワーも洗身入浴も同義と考える。
最高裁の先例からすれば勤務時間中の洗身入浴は地方公務員法35条違反、水道局処務規程58条「みだりに執務の場所を離れてはならない」に違反し、懲戒責任まで問わずとも賃金カットの対象として労務管理を改めるべきで、水道局がコンプライアンス経営宣言している以上、労働衛生上の施設としての浴室、シャワー施設の利用については内規を見直す必要がある。
陳情その7
東京地下鉄乗務員・駅員の「私鉄総連春闘ワッペン」の取外し指導、規則整備の要請
(願意)
東京地下鉄乗務員・駅員は、直径約6~7cm円形の私鉄総連春闘ワッペンを毎年2月15日頃から3月中旬頃まで胸章として着用するのが恒例であるが、勤務時間中に組合活動として職務の遂行と関係のない、組合員相互の団結と使用者に対する示威、旅客公衆に春闘に連帯を訴えかけるものといえる。誠実労働義務に反し、旅客公衆に不快感を持たせている。ワッペンの取り外し指導、就業規則による禁止を、株主の東京都が会社に要請していただきたい。
(理由)
ワッペンの記載は、西暦と「春闘」の文字、PRU(私鉄総連)、民鉄協会と合同して行っている「公共交通利用促進」というスローガンを用いることもある。
「春闘」とある以上組合活動である。ワッペンは、私鉄総連組合員を顕示し、相互の団結の確認と、使用者に対する団結示威、旅客公衆には春闘の連帯を訴える効果もある。勤務中に職務遂行に無関係の行為、活動をするときは注意力がそがれるから、旅客公衆が不快、不安に思うのは当然のことである。
鉄道員が旅客公衆の安全にかかわる職務として要請される職場規律の保持と服装の整斉という観点でも業務用でないワッペンの着用は規制されてしかるべきである
本件は都が株式を保有する東京メトロにしぼっての陳情にしたが、ワッペン着用が恒例の東急、東武、京急、京成、京王その他バス会社も、JRグループ規則「第20条3 社員は、勤務時間中に又は会社施設内で会社の認める以外の胸章、腕章等を着用してはならない。」といった規則を明文化したうえ、服装指導に従わない行為を繰り返した職員を不利益賦課(JRの場合は夏季手当5%減額)する労務管理を徹底すればできることだ。
JRグループは発足当初から、縦1.1㎝、横1.3㎝と小さい国労バッヂの取り外しを徹底的に指導し、JR東日本では平成15年頃には着用者がいなくなった。それにならった労務管理を求める。
ワッペン着用が争議行為か組合活動かという問題は、その法的性格を異にし、労組法7条1号との関係においても正当性の判断が異なりうるし、学説では労組法8条民事免責を争議行為では認める見解があるので、重要な論点である。しかし、リボン闘争について最高裁が初めて判断を下した大成観光事件・最三小判昭57・4・13民集36-4-659は、これを就業時間中の組合活動として労働組合の正当な行為にあたらないと判示しているため、類似事案である春闘ワッペンも同じ判断になるだろう。新村正人調査官判解は、原審のいう使用者に対する団結示威の作用、機能を直ちに争議行為とみなす根拠はないとする。
ワッペン着用は理論的には私企業の労働契約上の誠実労働義務に厳格な職務専念義務論が適用され、それに違反することが企業秩序を乱すという論理で規制できる。
JR東海新幹線支部国労バッヂ事件・東京高判平9・10・30判時1626号38頁(上告審平10・7・17は原審判断を認める)が典型で、「就業規則三条一項の『社員は‥‥法令・規定等を遵守し、全力をあげてその職務を遂行しなければならない。』という規定は‥‥社員は、勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職務遂行のために用い職務にのみ従事しなければならないという職務専念義務を負うものである‥‥労働契約においては、労務の提供の態様において職務専念義務に違反しないことは労働契約の重要な要素となっているから‥‥違反することは企業秩序を乱すものであるというべきであり、‥‥組合バッヂ着用行為は‥当該組合員であることを顕示して本件組合員等相互間の組合意識を高めるためのものであるから‥‥具体的な宣言文の記載がなくとも、職場の同僚組合員に対し訴えかけようとするものであり‥‥職務の遂行には直接関係のない行動であって、これを勤務時間中に行うことは‥‥‥‥職務専念義務に違反し‥‥また‥‥他の社員に対しても心理的影響を与え、それによって当該社員が注意力を職務に集中することを妨げるおそれがあるものであるから、この面からも企業秩序の維持に反するものであったといわなければならない」と判示しているので、春闘ワッペンが規制できないということはない。
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