YouTube 台本の一部 都議会議長あて陳情 令和7年163号 水道局における組合の三六協定破棄闘争が就労妨害に利用されている状況に関する陳情の解説陳情解説シリーズ9
組合役員はスト当日の出勤時限前の労務指揮権は消失していると主張し、8時29分59秒まで職務執行できない旨を主張し、出勤時限前にピケットラインを越えて入庁し、カードリーダーに出勤入力をさせないよう就労妨害する口実にしている。
(時差出勤も導入されているが、水道局の出先では8時30分出勤時限が大多数)
要するに論点は、就業規則で定められている服務上の基本的な義務とされる就業時限前(時間外)に登庁して、ICカードリーダーに出勤記録を電磁的に入力する作業(IDカードのタッチ[以前は挿入]かテンキーで職員番号入力)は、三六協定破棄により、違法、無効化されるか。三六協定破棄により就業時限前の入庁は拒否(締め出し)は適法か。
三六協定無締結で時間外の業務、職務執行は違法、無効になるのか
ならない
三六協定無締結で時間外に義務づけられている出勤記録入力は、違法無効になるのか
ならない
入庁拒否、就労したい職員の締め出し欠勤の強要は権限を逸脱し違法といってよい。
組合側の時間外の業務執行が違法な業務、刑事処分になるんだ。犯罪になるんだという言説に惑わされることはないし、当局、管理職が組合のいいなりになって、就労したい職員の入庁を拒否したり、出勤記録入力を妨害するのは権限を逸脱し違法なので、この労務管理は是正されるべき。
1 労働基準法の強行規定でも絶対的なものではない(春闘仙台駅事件・最二小判昭48・5・25刑集27-5-1115)
労働基準法32条1項は、就労時間の点で労働者を保護することを目的とし、また、もっぱら使用者対労働者間の労働関係について使用者を規制の対象とする強行規定であるが、右の目的と関わりのない、労働者とその職務執行の相手方その他の第三者との間の法律関係にただちに影響を及ぼすような性質のものではない。してみると、 本件職務命令に右強行規定の違反があったとしても、その法意にかんがみ、その違反は、右命令のうち前記Aに対して 就労を拘束的に義務付ける部分の効力に影響を及ぼし得るにとどまり、職務執行の権限を付与する性質の部分についての効力にまで消長をきたすべき理由はないと解するのが相当であって、本件における右Aの職務行為は、その与えられ た具体的権限に基づいて行われたものであると認めるのに十分である。
労働基準法の適用を受ける者に対する職務命令が、同法所定の労働時間の制限を超えて就労することをもその内容としており、かつ、その者の就労が右制限を超えたからといつて、そのために職務の執行が具体的権限を欠いて違法となるものではなく、これに対して暴行脅迫を加えたときは公務執行妨害罪の成立を妨げないと解するのが相当である。
2 三六協定無締結で時間外の職務執行、就労は違法、無効になるのか
権限が与えられた職務は正当な事業活動として刑法上保護される
(春闘仙台駅事件)
刑法上保護される業務としては業務主体がその地位において行なう業務であれば足りる
(倉敷信号所事件・岡山地判昭50・1・17刑裁資料228-187)
刑法上保護される業務とされる
公務執行妨害
威力業務妨害
(1)国鉄荒尾駅事件・福岡高判昭37・8・7 下級裁判所刑事裁判例集 4-7・8
(2)威力業務妨害事件・名古屋高裁金沢支部第二部判決・昭40・10・20
(3)国鉄八代駅事件・熊本地判昭40・3・19高等裁判所刑集19-3-292
(4)国鉄八代駅事件・福岡高判昭41・4・9判タ191-202
(5)浜松動労事件・東京高判昭42・9・18判タ216
(6)仙台鉄道管理局事件・ 最二小判昭48・5・25刑集27-5-1115
(7)倉敷駅信号所事件・岡山地判昭50・1・17刑裁資料228-187
参考(8)第二名古屋中郵事件・最二小判昭53.3.3民集32-2-97
2 三六協定無締結での時間外の職務命令は無効、違法になるのか
A 職務命令はやり方次第という判例で適法とする春闘仙台駅事件
B 公労法1条、労基法33条、日本国有鉄道法33条2項を根拠に職務命令は正当とする 国鉄荒尾事件や国鉄八代駅事件の高裁判決
3 三六協定無締結で時間外になされる出勤記録入力は違法になるのか
服務上の基本的義務と東京都水道局長(行政処分取消等請求)事件・東京高判平 26.2.12 労判1096は言っており、実際に平成20年3月19日の1時間ストライキにも言及していて、出勤記録入力の義務がストライキ時に消えるとは言ってない。
ストライキが違法で、服務上の基本的義務を無効化するものでない。組合の正当な行為ではない以上、ストライキ決行を有利する目的での三六協定破棄により就業規則違反が合法化されることはない。
就業規則違反の指図や強要は現場の管理職の権限を逸脱している。
(1)就業規則違反になる出勤時限前の出勤入力をやらないよう命令することは、現場の管理職の職権を逸脱している。
東京都水道局出勤記録修正懲戒処分事件[東京都・東京都公営企業管理者東京都水道局長(行政処分取消等請求)事件]・東京高判平26・2・12労判1096(上告審最判平27・4・14)は棄却、不受理、確定)は、水道局の管理職が平成18年4月1日から平成21年7月15日までの間72回につき出勤時限に遅れた上、そのうち71回につき部下に指示して出勤記録を修正させたとして停職三月という重い処分につき適法としたものであるが、判文で「東京都水道局においては、所定操作によって出勤記録を自ら入力することは、『勤務時間等規程』『処務規程』『事務処理要領』などの規程上、職員の基本的な服務上の義務であり」と説示している。
管理職でこれほど重い処分を聴いたことない。私は、当事者との面識もないし実名も知らない。匿名の内部告発の背景なども知らないので論評を避けるが、高裁が出勤記録入力の服務規律上の重要性を説いていることに着目したいと思う。
東水労のストライキ配置に対し、水道局長は形式的に服務規律の確保を毎回示達している。しかし東京都水道局の管理職は、ストライキ時は、規程に反し基本的な服務上の義務をなすことは許さないとするのである。それは示達に反し整合しない。
つまり高裁の趣旨は、水道局職員は出勤時限(近年時差出勤も導入されたが通例は8時30分。8時29分59秒までに電磁的に入力できれば出勤と記録され、8時30分では遅参となる)前に登庁し、ICカードリーダにIDカードの操作(現在はタッチだが、当時は挿入)もしくは職員番号をテンキーで入力することにより出勤を電磁的に記録することは、就業規則に相当する規程に記載されていることで、それは「基本的な服務上の義務」と説示しているのである。
平成20年3月19日の1時間ストについても言及があるが、違法ストライキ時は「基本的な服務上の義務」である就業規則が、凍結されるなどとはもちろん言っていないわけである。
現場の管理職に就業規則、服務上の基本的義務を否定したり凍結したりする権限はない。現場の管理職が就業規則違反を命令することは権限を逸脱し違法というべきである。
だから出勤時限の8時30分より少し前には入庁しなければならないが、前記平成21年の上司〇〇所長の指示は、8時30分でないと入庁させないというので、事故欠勤の強要なのである
労働基準法
第三十三条 災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合においては、使用者は、行政官庁の許可を受けて、その必要の限度において第三十二条から前条まで若しくは第四十条の労働時間を延長し、又は第三十五条の休日に労働させることができる。ただし、事態急迫のために行政官庁の許可を受ける暇がない場合においては、事後に遅滞なく届け出なければならない。
② 前項ただし書の規定による届出があつた場合において、行政官庁がその労働時間の延長又は休日の労働を不適当と認めるときは、その後にその時間に相当する休憩又は休日を与えるべきことを、命ずることができる。
③ 公務のために臨時の必要がある場合においては、第一項の規定にかかわらず、官公署の事業(別表第一に掲げる事業を除く。)に従事する国家公務員及び地方公務員については、第三十二条から前条まで若しくは第四十条の労働時間を延長し、又は第三十五条の休日に労働させることができる。
日本国有鉄道法
第三十三条 日本国有鉄道は、左の各号の一に該当する場合においては、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第三十二条、第三十五条又は第四十条の規定にかかわらず、その職員をして、勤務時間をこえ、又は勤務時間外若しくは休日に勤務させることができる。
一 災害その他により事故が発生したとき。
二 災害の発生が予想される場合において、警戒を必要とするとき。
三 列車(自動車、船舶を含む。)が遅延したとき。
全水道東水労の時限ストライキは過去22年間に6回ありますが、ストライキ配置日の前日から当日は必ず三六協定は破棄されるのが通例だが、その狙いは職制の労務指揮権を麻痺させ、就業命令させないだけでなく、出勤記録入力も時間外の職務なので違法だと言って、スト破りを防止し、全員をスト参加に誘導するという戦略がある。
組合役員の言っていた見解(管理職も事実上同調し同様の見解を言うことがある)
時間外17時15分~8時30分の労務指揮権は消滅し業務命令は全て不法になる。職員の業務執行も違法として許されない(保安要員と保安協議で組合が容認したの例外を除く)。
(管理職も同様の見解で実際に残業を継続すると管理職が執拗に退庁命令)
スト当日は8時29分59秒まで入庁は許されず、ICカードリーダによる出勤記録入力も違法になるので許されないと組合役員だけでなく、管理職も指図することがある。
黒いものを白とするトリッキーな理屈である。
そもそもスト参加の慫慂自体が違法行為なのに、出勤記録入力を組合の権利で違法化しているので、スト参加慫慂を合法化するという詭弁がまかりとおっている東京都の労務管理は極めて異常。
管理職も組合側の論理にしたがって就業命令をしない。労務指揮権の放棄どころかスト破りの就労を防止し、地公労法11条1項違反の違法行為を是認することが、つまり違法行為支援こそがコンプライアンスとなっている東京都の異常な職場風土は是正されなければならない。
結論は、ストライキ当日三六協定無締結でも、就業時間前の出勤記録入力は、先例にもとづいて違法無効とならない。
これを全職員に周知し、就業命令を徹底すべし
三六協定無締結での時間外の職務命令と、業務執行の法的評価にかんする先例の分類
A 威力業務妨害事件・名古屋高裁金沢支部第二部判決・昭40・10・20
浜松動労事件・東京高判昭42・9・18判タ216 (マスピケ事犯)
拠点スト当日急行列車乗務員の代務として機関士、機関助士に業務命令
倉敷駅信号所事件・岡山地判昭50・1・17刑裁資料228-187 (マスピケ事犯)
拠点スト当日の信号所転てつ業務の代務を助役に業務命令
三六協定無締結で時間外労働の業務命令は違法である
しかし業務執行じたいは正当、違法ではない。
刑事法上保護される業務
時間外労働を命ずる点の違法性は業務の違法性を導かない(浜松動労事件)。
労働基準法に違反する時間外労働であっても労働そのものが違法となるわけではない(威力業務妨害事件)
業務命令が労基法上違法であるからといって、直ちに、それに基づく業務が刑法234条の業務に該当しないというものではない。刑法234条の業務としては業務主体がその地位において行なう業務であれば足りる(倉敷信号所事件)。業務妨害は久留米事件方式で有罪にできる(現在では名古屋中郵事件方式が適用されるはず)。
B 仙台鉄道管理局事件・ 最二小判昭48・5・25刑集27-5-1115
三六協定無締結で労基法上違法な時間外労働だとしても、職務を処理する権限を与えるだけの職務命令は正当で、就労を拘束的に義務付ける部分の効力に影響を及ぼすが、時間外に職務執行がなされても正当な業務として刑法上保護される。
三六協定無締結で被告人(支援組合員・全電通宮城県本部執行委員)は、昭和三九年四月一五日、日本国有鉄道仙台駅構内で、当日8時間を超過して職務に従事し、ビラ剥がしに従事していた同鉄道仙台鉄道管理局労働課勤務職員Aに対し、右手拳で一回その顔面を殴打し、よって同人に対し治療六日間を要する傷害を負わせ、もつて同人の職務の執行を妨害した事案で、公務執行妨害罪の成立を認めた。
ビラ剥がしは日本国有鉄道の本来の正当な事業活動
「労働基準法32条1項は、就労時間の点で労働者を保護することを目的とし、また、もっぱら使用者対労働者間の労働関係について使用者を規制の対象とする強行規定であるが,右の目的と関わりのない、労働者とその職務執行の相手方その他の第三者との間の法律関係にただちに影響を及ぼすような性質のものではない。」
労基法違反であってもどの程度に法律的効果をもたらすか。労働者の保護と無関係な事項について、労基法32条1項違反があっても、直ちに無効としなければならないものではない(柴田孝夫判解)。
この趣旨から、当日8時間以上の労働を実質的に課すわけでもない、出勤記録入力のICカードリーダの操作(昔はIDカード挿入、今はタッチでよい、テンキーで職員番号入力、1秒から数秒だけの操作)が無効とされる理由はない。
労働者に一定の職務を処理する権限を与える行為と、一定の職務に従事させる義務を負わせる行為は、本来は別個の行動として各別に行うことができるのであり、本件判決は、本件職務内容を性質に応じ二分し、労基法32条1項違反の意味をそれぞれに分けて検討する方法をとった。権限を与えるだけの使用者の行為は、権限を行使しうる時間を限ってようといまいと、これを違法無効とすべき積極的な理由は労基法32条1項からは出てこないというのである。
(柴田孝夫判解)
出勤記録入力は判解にある「一定の職務を処理する権限」を与えられているという概念に近似的に思える
・
仙台駅春闘対策本部長仙台鉄道管理局営業部長による職務命令によってAが仙台駅構内においてビラはがし行為を含む職務をなしうる抽象的権限を有するばかりでなく、同駅対策本部の職務を執行しうる具体的権限を取得していた。
(検察上告趣意書)
「本件職務命令に右強行規定の違反があつたとしても、その法意にかんがみ、その違反は、右命令のうち前記Aに対して就労を拘束的に義務付ける部分の効力に影響を及ぼし得るにとどまり、職務執行の権限を付与する性質の部分についての効力にまで消長をきたすべき理由はないと解するのが相当であって、本件における右Aの職務行為は、その与えられた具体的権限に基づいて行われたものであると認めるのに十分である。」
但し調査官解説では適法性について具体的権限を常に必要とするとの見解を示していない
各職員のICカードリーダーの出勤記録入力の権限は、ICカードを所持しており、当該事業所勤務の局長辞令に勤務している以上権限は授与されていると解するし、仙台鉄道管理局事件のビラ剥がしと同じく三六協定無締結で時間外の職務であっても正当な職務なので、違法無効とならず、刑法上保護される。
(それは『勤務時間等規程』『処務規程』『事務処理要領』などの規程上、職員の基本的な服務上の義務で、地方公務員法32条で遵守義務があるが、組合の三六協定破棄によって権限が授与されている服務上の義務が否定、無効となるとか考えにくいし、組合による不当な業務管理とみなせば違法な争議行為といえる)
C 国鉄荒尾駅事件・福岡高判昭37・8・7 下級裁判所刑事裁判例集 4-7・8
国鉄八代駅事件・福岡高判昭41・4・9判タ191-202
三六協定無締結で時間外労働であっても職務命令は正当(ストライキ時や正当でない組合活動の取り締まりが必要な場合)とし、業務執行も正当とする。
荒尾駅事件は駅長がストライキによる乗務員の職務離脱の代務として助役を業務命令し助役の閉塞器の操作を妨害した事案
八代駅事件は、退社時刻後の助役に駅構内の警戒、取締を業務命令し、ホーム上における春闘決起集会デモ行進を制止しようとした助役を国労城南支部執行委員長が鉄道線路敷上に転落させた。
正当化の根拠は
公労法1条(地公労法1条も同じ)荒尾駅事件控訴審
正常な運営を最大限に確保し、もつて公共の福祉を増進し、擁護することを目的とする。
労働基準法33条1項 荒尾駅事件と八代駅事件の控訴審
災害その他避けることのできない事由によつて、臨時の必要がある場合においては、使用者は、行政官庁の許可を受けて、その必要の限度において第32条から前条まで若しくは第40条の労働時間を延長し、又は第35条の休日に労働させることができる。ただし、事態急迫のために行政官庁の許可を受ける暇がない場合においては、事後に遅滞なく届け出なければならない。
日本国有鉄道法 八代駅事件控訴審
第33条 日本国有鉄道は、左の各号の一に該当する場合においては、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第三十二条、第三十五条又は第四十条の規定にかかわらず、その職員をして、勤務時間をこえ、又は勤務時間外若しくは休日に勤務させることができる。
一 災害その他により事故が発生したとき。
二 災害の発生が予想される場合において、警戒を必要とするとき。
三 列車(自動車、船舶を含む。)が遅延したとき。
スト当日の当局の実務に是正せよという陳情
(実質当局が地公労法11条1項違反の違法行為を援助しているため)
〇全水道東水労の同盟罷業に際し管理職が就業命令等をしない慣行に関する陳情
(159号)
〇水道局の同盟罷業において就労しない非組合員を「事故欠勤」とする慣例等に関する陳情 (160号)
〇水道局における組合の三六協定破棄闘争が就労妨害に利用されている状況に関する陳情(163号)
当局は以下のことを改める方針を明確に職員に伝える
就労したい職員の入庁拒否、締め出し(地公労法11条2項違反)
三六協定無締結で時間外の作業である出勤記録入力は、違法無効とはならない
(最高裁判例の解釈)
出勤記録入力は『勤務時間等規程』『処務規程』『事務処理要領』などの規程上、職員の基本的な服務上の義務で、地方公務員法32条で遵守義務があるが
、労働組合がこれを無効化させることも、現場の管理職が無効化させることもできず、出勤記録をしないよう命令するのは権限を逸脱し不当。
令和7年163号陳情文書表
(件名)
水道局における組合の三六協定破棄闘争が就労妨害に利用されている状況に関する陳情
(願意)
都において、水道局の同盟罷業の際、組合が三六協定破棄を口実に、8時30分の出勤時限前の入庁やICカードリーダーによる出勤入力をさせないよう指図し、職員のスト参加を誘導することについて、認めない方針に是正していただきたい。
(理由)
水道局では、全水道東水労との時間外労働に関する協定(三六協定)を毎年労基署に届出、常時締結され1年で更新されるが、「この協約は、あらかじめ乙が指定する日については、保安のために必要な要員に限定して適用する」という、組合が一方的に破棄できる条項がある。
当局職員部は三六協定破棄闘争を正当な権利として認め、組合の意向に従い、事前の保安協議で組合が認める例外を除いて、時間外の業務命令をしないことを厳命しているが、三六協定破棄はスト破り防止の目的でストの前日の夜から必ず実施される。
組合役員はスト当日の出勤時限前の労務指揮権は消失していると主張し、8時29分59秒まで職務執行できない旨を主張し、出勤時限前にピケットラインを越えて入庁し、カードリーダーに出勤入力をさせないよう就労妨害する口実にしている。
管理職も職務命令を凍結し、スト準備の取締りを行わないのが通例だが、違法行為を助長している。
しかし、仙台鉄道管理局の春闘仙台駅事件(最高裁第二小法廷判決、昭和48年5月25日)は、三六協定未締結で労働基準法(以下「労基法」という。)上違法な就労が、そのために、職務の執行が具体的権限を欠いて違法となり、その者に対する公務執行妨害罪の成立を妨げられるものではないと判示している。本件は昭和39年春闘対策本部に召集された労務課非組合員が、列車車体外鋼板にビラが貼られたため、剝がす作業をしていたところ、支援組合員によって顔面を手拳で一回強打され傷害を負った事案である。弁護人は、三六協定未締結で当日8時間以上の就労なので、正当な職務執行ではないと主張したが、最高裁は、ビラ剝がしは国鉄の正当な事業活動で、適法な公務の執行であるとしている。
柴田孝夫調査官判解は、「労働基準法違反がどの程度に法律上の効果を及ぼすかについては、労働者の保護と関係ない事項について、労基法違反があってもただちに当該事項を無効としなくてはならないものではない。」とし、「労働者に一定の職務を処理する権限を与える行為と、一定の職務に従事する義務を負わせる行為は、本来は別個の行動として各別に行うことができ(中略)労働を義務付けるものではない、権限を与えるだけの使用者の行為は、権限を行使しうる時間を限っていようといまいと、これを違法無効とする理由は労基法32条1項からはでてこない」と判旨を解説している。
倉敷駅信号所事件(岡山地裁判決、昭和50年1月17日)も、業務命令が労基法上違法であれ、「刑法234条の業務としては業務主体がその地位において行なう業務であれば足りる」として刑法上保護されるとする。
そうすると、出勤時限前に出勤記録を自ら入力することは、勤務時間等規程、処務規程、事務処理要領などの規程上、職員の基本的な服務上の義務であるが、操作自体が時間外であるからといって三六協定未締結により就業規則の義務が消滅するとは解されないし、三六協定破棄で庁舎管理権は消失しない。平常どおり出勤時限前に事業場に入所して就業準備する職員の行動が違法とされることはない。組合側の理屈はき弁であり、三六協定を就労妨害目的に利用させない方針に是正すべきである。
対抗措置として、例えば春闘仙台駅事件の「職務命令に労基法強行規定の違反があつたとしても就労を拘束的に義務付ける部分の効力に影響を及ぼし得るにとどまり、職務執行の権限を付与する性質の部分についての効力にまで消長をきたすべき理由はない」という判旨に基づき、この事件と同様に、水道局でも非組合員に対し、名目的に組合活動の情報収集、行動の監視、確認、違法行為の阻止、排除等に関する権限を与えれば、スト当日の時間外職務執行自体は違法ではないため、出勤入力を妨害させない理由になる。
水道局における組合の三六協定破棄闘争が就労妨害に利用されている状況に関する陳情(163号提出原文)
(願意)
水道局における同盟罷業(平成16年~令和元年に6回実施)において、組合が三六協定破棄を口実にして、8時30分の出勤時限前の入庁、ICカードリーダの所定操作による出勤入力はさせないと指図し職員にスト参加を誘導することを認めない方針にしていただきたい。
(理由)
水道局では全水道東水労との時間外労働に関する協定(三六協定)を毎年労基署に届出、常時締結され1年で更新されるが、「この協約は、あらかじめ乙が指定する日については、保安のために必要な要員に限定して適用する」という組合が一方的に破棄できる条項がある。
当局職員部は三六協定破棄闘争を正当な権利として認め、組合の意向に従い、事前の保安協議で組合が認める例外を除いて、時間外の業務命令しないことを厳命しているが、三六破棄はスト破り防止目的でスト配置日の前日の夜間から必ず実施される。
組合役員はスト当日の出勤時限前の労務指揮権は消失していると主張し、8時29分59秒まで職務執行できない旨主張し、出勤時限前にピケットラインを越え、入庁しカードリーダに出勤入力をさせないよう就労妨害する口実にしている。
管理職も職務命令を凍結し、スト準備の取締まりを行わないのが通例だが、違法行為を助長している。
しかし、仙台鉄道管理局(春闘仙台駅)事件・最二小判昭48・5・25は、三六協定未締結で労基法上違法な就労が、そのために、職務の執行が具体的権限を欠いて違法となり、その者に対する公務執行妨害罪の成立を妨げられるものではないと判示している。本件は昭和39年春闘対策本部に召集された労務課非組合員が、列車車体外鋼板にビラが貼られたため、剥がす作業をしていたところ、支援組合員によって顔面を手拳で一回強打され傷害を負った事案で、弁護人は三六協定未締結で、当日8時間以上の就労なので、正当な職務執行ではないと主張したが、最高裁は、ビラ剥がしは国鉄の正当な事業活動で、適法な公務の執行としている。
柴田孝夫調査官判解は、「労働基準法違反がどの程度に法律上の効果を及ぼすかについては、労働者の保護と関係ない事項について、労基法違反があってもただちに当該事項を無効としなくてはならないものではない。」とし「労働者に一定の職務を処理する権限を与える行為と、一定の職務に従事する義務を負わせる行為は、本来は別個の行動として各別に行うことができ‥‥労働を義務付けるものではない、権限を与えるだけの使用者の行為は、権限を行使しうる時間を限っていようといまいと、これを違法無効とする理由は労基法32条1項からはでてこない」と判旨を解説している。
倉敷駅信号所事件・岡山地判昭50・1・17も業務命令が労基法上違法であれ「刑法234条の業務としては業務主体がその地位において行なう業務であれば足りる」として刑法上保護されるとする。
そうすると出勤時限前に出勤記録を自ら入力することは「勤務時間等規程」「処務規程」「事務処理要領」などの規程上、職員の基本的な服務上の義務であるが、操作自体が時間外であるからといって三六協定未締結により就業規則の義務が消滅するとは解されないし、三六破棄で庁舎管理権は消失しない。平常どおり出勤時限前に事業場に入所して就業準備する職員の行動が違法とされることはない。組合側の理屈は詭弁であり、三六協定を就労妨害目的に利用させない方針に是正していただきたい。
対抗措置として例えば春闘仙台駅事件の「職務命令に労基法強行規定の違反があつたとしても就労を拘束的に義務付ける部分の効力に影響を及ぼし得るにとどまり、職務執行の権限を付与する性質の部分についての効力にまで消長をきたすべき理由はない」という判旨に基づき、この事件と同様、水道局でも非組合員に、名目的に組合活動の情報蒐集、行動の監視、確認、違法行為の阻止、排除等に関する権限を与えれば、スト当日の時間外職務執行自体は違法ではないので、出勤入力を妨害させない十二分の理由になる。
(AIによる要約の補正)
水道局は三六協定を毎年更新し労基署に届け出ていますが、組合側が一方的に協定を破棄できる条項があり、ストライキ時にはこの制度が利用されています。組合はスト当日の出勤直前まで職務命令は凍結されなければならず、出勤記録入力も許されないと言いますが、管理職も通常これを黙認しています。しかし、判例では三六協定が未締結でも労務指揮権が消失するわけではなく、職務執行は違法とはされず、出勤入力といった就業規則上の基本的な義務は消滅しない。よって、出勤前に事業場へ入り準備することは違法ではなく、組合による就労妨害を防ぐため、必要な権限を非組合員に与えることで、業務執行の正当性を確保することができます。
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