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2026/02/02

YouTube台本 都議会議長あて陳情 令和7年166号 水道局における外形上犯罪構成要件該当行為を取り締まらない実務の是正に関する陳情の解説 陳情解説シリーズ11 

令和7年166号陳情 文書表

 

(件名)

水道局における外形上犯罪構成要件該当行為を取り締まらない実務の是正に関する陳情

 

(願意)

 都において、水道局の職務命令と懲戒の根拠を明確にするため、勤務時間内外を問わず局施設内における無許可演説行為・集会、無許可組合活動、他の職員の職務遂行を妨害する行為を禁止する就業規則を追加して整備していただきたい。

 

(理由)

 水道局は、全水道東水労の争議行為及び付随する行為である、以下の外形上犯罪構成要件該当行為を一切取り締まっていない。

1 多衆が執務室を占拠して集会し、物理的に非組合員等の就労を阻止するシットダウンストライキ(威力業務妨害罪)

2 事業所外に勤務する組合役員による、事務室に侵入してのオルグ活動や、庁舎構内に侵 入し違法行為を慫慂(しょうよう)し、あおる集会の開催(住居侵入罪)

3 ストライキの前夜から当日未明に、セキュリティを破り事務室に勝手に出入りし、組合員への指令伝達、ストライキ集会準備、ビラ貼りなどを行う組合役員の任務(住居侵入罪)

 1は、争議権のある私企業でも刑事免責されない悪質な態様である。管理職が解散退去命令や就業命令をせず、現認検書も上申しないので懲戒処分にもならないが、地方自治法第238条の4第7項の目的外使用に当たらないものとして不許可とし、職務命令を徹底し、強行した場合は懲戒責任を問うだけでなく、刑事告訴も検討すべきである。

 2及び3は、立入拒否の管理意思を明確に示せば犯罪が成立する。不許可や中止・解散・退去命令を徹底し、ストを決行した場合は懲戒処分事由とすべきである。

 争議行為は労務提供拒否という不作為を本質とし、これに随伴する行為も消極的行為の限度にとどまるべきであり、それを越えて使用者側の業務を妨害するような意図及び方法での積極的な行為は許されないと最高裁は判示している。

 公共企業体の争議行為に刑事免責があるとした東京中郵判決の枠組みにおいても、マス・ピケが業務妨害罪により有罪とされている。

 全逓名古屋中郵事件(最高裁大法廷判決、昭和52年5月4日)は、公共企業体に争議行為の刑事免責はないと判例変更した。全逓名古屋中郵第二事件(最高裁第二小法廷判決、昭和53年3月3日)の香城敏麿判解は、判決を次のように要約した。

イ 公共企業体等労働関係法(以下「公労法」という。)第17条第1項違反の争議行為が罰則の構成要件に当たる場合には、労働組合法第1条第2項の適用はなく、他の 特段の違法性阻却理由がない限り、刑事法上これを違法とすべきである。

ロ ただし、争議行為が単なる労務不提供のような不作為を内容とするものであって、公労法第17条第1項が存在しなければ正当な争議行為として処罰を受けないような ものである場合には、その単純参加者に限り、当該罰則による処罰を阻却される。

ハ これに対し、公労法第17条第1項の争議行為に当たらず、これに付随して行われた犯罪構成要件該当行為の場合には、その行為が同条項違反の争議行為に際して行われたものである事実を含めて、行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、法秩序全体の見地から許容されるべきか否かを考察してその違法性阻却事由の有無を判断しなければならない。

 公労法第17条第1項と地方公営企業等の労働関係に関する法律第11条第1項違反の争議行為は、違法であり解雇事由となるが、罰則規定はない。しかし、刑法上その他の罰則の構成要件に当たる場合に免責はない。

 水道局の事例に当てはめれば、1は、イに該当し、業務妨害罪の構成要件該当行為で違法性阻却事由はないから、刑事法上違法と判断される。2及び3は、ハに該当し、違法行為目的の立入りのため、違法性が強く推定される。

 全逓釜石支部事件(差戻後控訴審仙台高裁判決、昭和61年2月3日)では、管理権者があらかじめ立入拒否の意思を積極的に明示していない場合でも、立入行為を管理権者が容認していないと合理的に判断されるときは、犯罪の成立を阻却しないとしている。就業規則で無許可組合活動を禁止し周知するなど、管理意思を示せば住居侵入罪が成立するため、そうすべきである。

 

水道局における外形上犯罪構成要件該当行為を取り締まらない実務の是正に関する陳情

166号提出原文)

(願意)

水道局において全水道東水労の争議行為及び付随する行為として以下の外形上犯罪要件該当行為がなされているが、当局はいっさい取り締まっていない。

1)多衆が執務室内を占拠して集会し、物理的に非組合員等の就労を阻止する態様のシットダウンストライキ(威力業務妨害罪)

令和元年1220日新宿営業所では、事務所検針担当の執務場所で、営業所と給水課分室合同で40名程度が集合して座り込む1時間のスト集会がなされた。

2)当該事業所外に勤務する組合役員が、事務室に勝手に侵入しオルグ活動するまたは、構内に侵入し違法行為を慫慂、あおる集会(支所・合理化拠点決起集会)を開催する。(住居侵入罪)

3)ストライキ配置日の前夜から当日未明にかけて「スト待機」と称し、セキュリティを破って事務室内に勝手に出入りし組合員への指令伝達、ストライキ集会準備、ビラ貼りなどを行う組合役員の任務(住居侵入罪)

1)は争議権のある私企業でも刑事免責されない悪質な態様である。管理職は、解散退去命令や就業命令せず許容し、現認検書も上申しないので懲戒処分にもならないが、今後は地方自治法238条の47項の目的外使用として不許可とし、職務命令を徹底し、強行した場合は懲戒責任を問うだけでなく、刑事処分も検討すべき。

2)(3)は毎年恒例でなされる行為だが、立入拒否の管理意思を明確に示せば犯罪が成立する事案である。不許可、中止・解散・退去命令を徹底し、ストを決行した場合は懲戒処分事由とする。

職務命令と懲戒の根拠を明確にするために、勤務時間内外如何を問わず無許可演説行為・集会、無許可組合活動、他の職員の職務遂行を妨害する行為を禁止する就業規則を追加して整備していただきたい。

(理由)

争議行為は労務提供拒否という不作為を本質とし、これに随伴する行為も消極的行為の限度にとどまるべきであり、それを越えて使用者側の業務を妨害するような意図及び方法での積極的な行為は許されないと最高裁は判示している(羽幌炭礦事件・最大判昭33528刑集1281694等多数)。

従って、公共企業体の争議行為に刑事免責があるとの東京中郵判決の枠組においても、摩周丸事件・最大判昭411130(タラップを取外し、舷門扉を閉鎖)、動労糸崎駅事件・広島高判昭48830判タ300号(運転室に乗り込んで占拠し、代務の機関士の乗務を阻止)、 動労鳥栖駅事件・福岡高判昭49525(軌条枕木付近でスクラムを組み列車発進を妨害)等でマス・ピケ事犯が業務妨害罪により有罪とされている。

全逓名古屋中郵事件・最大判昭5254刑集31318は公共企業体では争議行為の刑事免責はないと判例変更した。名古屋中郵第二事件・最二小判昭5333の香城敏麿判解は名古屋中郵判決を次のように要約した。

(イ)公労法171項違反の争議行為が罰則の構成要件にあたる場合には、労組法12項(刑事免責)の適用はなく、他の特段の違法性阻却理由がない限り、刑事法上これを違法とすべきである。

(ロ)但し、右の争議行為が単なる労務不提供のような不作為を内容とするものであって、公労法171項が存在しなければ正当な争議行為として処罰を受けないようなものである場合には、その単純参加者に限り、当該罰則による処罰を阻却される。

(ハ)これに対し、公労法171項の争議行為にあたらず、これに付随して行われた犯罪構成要件該当行為の場合には、その行為が同条項違反の争議行為に際して行われたものである事実を含めて、行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、法秩序全体の見地から許容されるべきか否かを考察してその違法性阻却事由の有無を判断しなければならない。

公労法171項と地公労法111項違反の争議行為実践は違法であり解雇事由となるが、罰則規定はない。しかし刑法上その他の罰則の構成要件にあたる場合に免責はない。

上記指導判例の判断枠組を都水道局の事例にあてはめれば、争議行為がたんに単純不作為のウォークアウトであるならば、懲戒責任を問えるが、刑事事件にはならない。しかし(1)の多衆による職場占拠による就労妨害は、(イ)に該当し、実力を伴うマス・ピケと同様、業務妨害罪の構成要件該当行為なので、特段の違法性阻却事由はないから、刑事法上違法と判断される。 

2)の中執や本部委員のオルグ活動、動員集会等の立入りや(3)の深夜未明のスト待機(指令伝達の任務)は争議行為でなく、これに付随する行為として(ハ)に該当し、全逓中執と地本役員が「あおり」行為を行うため立入禁止の名古屋中郵地下食堂に建造物侵入したことは、目的が違法行為の立入なので、違法性は阻却されず、罰金刑とされたと同じように、(2)(3)が違法行為目的の立入なので、違法性が強く推定される事案になる。   

組合側は当局が業務妨害も庁舎構内立入も認容しているので犯罪は成立しないと反論するだろうが、全逓釜石支部事件・差戻後控訴審仙台高判昭6123判時1194では、管理権者が予め立入拒否の意思を積極的に明示していない場合であっても、立入り行為を管理権者が容認していないと合理的に判断されるときは、犯罪の成立を阻却しないとしているから、就業規則で無許可組合活動を禁止し周知する等、管理意思を示せば住居侵入罪は成立するのでそうすべきである。

 

 

(AIによる要約を補正)

 

争議行為は原則として労務提供拒否の不作為にとどまるべきであり、積極的に業務妨害を目的とした行為は許されません。最高裁判例では、公共企業体の争議行為は刑事免責が認められない。争議に伴う占拠や物理的業務妨害などは業務妨害罪等で有罪となります。  単純な労務不提供の場合は懲戒対象ですが、刑事事件には該当しません。一方、争議行為ではないがそれに付随する行為について、管理権者が組合活動の立入禁止を明示していれば違法目的の立入などは違法性阻却事由がなく刑事責任を問われ住居侵入罪が成立する可能性があります。

 

令和元年年末闘争と春闘(新宿営業所)の日程 

令和元年 123日(月)

5波決起集会16時から各支部3割動員)都庁ふれあいモール 賃金カット

12月4日(火)

昼休み集会 給水課分室執務室(闘争課題を確認し組合員の意思統一を図る集会)

12月5日(水)

三六協定破棄闘争17時15分~24時

12月6日(木)

早朝1時間ストライキ配置(延期)、三六協定破棄闘争0時~24

12月17日(月)

昼休み集会 給水課分室執務室

 6波決起集会1515分~各支部3割動員)都庁ふれあいモール 賃金カット

12月18日(火)

三六協定破棄闘争17時15分~24時

12月19日(水)

三六協定破棄闘争0時~24時    

午後、組合役員の〇〇らが非組合員をオルグ、出勤入力せずとも所長に事故欠勤を要請すると述べる。       

12月20日(木)

早朝1時間ストライキ決行 スト集会は執務室内 演説者 〇〇・〇〇・〇〇ともう一人  シットダウンストライキ  組合員は賃金カット、非組合員でスト参加は事故欠勤で局が給与付与  三六協定破棄闘争0時~24

令和2 114日(火)

7波決起集会1615分~各支部3割動員 都庁ふれあいモール 賃金カット

1月17日(金)

早朝1時間統一行動配置日 中止

2月28日(金)

スト権一票投票 批准率9435

3月6日(金)

決起集会16時から各支部3割動員)都庁ふれあいモール 賃金カット

3月10日(火)

三六協定破棄闘争17時15分~24時

3月11日(水)

三六協定破棄闘争0時~24時

3月12日(木)

早朝1時間ストライキ中止

 

16 積極的業務妨害(職場占拠・シットダウンストライキ)-刑事処分も検討

  • 地方公営企業において単純不作為の職場離脱(ウォークアウト)も違法行為であるが、全水道東水労のストは争議権のある私企業のストでも免責されない積極的な業務妨害を行う点でより悪質であり、当局はそれを許容し犯罪を助長することに邁進している。

既に威力業務妨害罪は時効であるが、令和元年1220日の1時間ストで、新宿営業所では事務室の検針担当執務エリアを給水課分室職員もふくめ40人程度で占拠して集会する態様で、執務場所の占拠(非組合員もいる)物理的に業務遂行を不可能にするシットダウンストライキである。

ところが〇〇〇〇所長は、積極的業務妨害を全面容認し、中止・解散・就労命令は一切やらない。スト指導者といえる集会の演説者、〇〇〇〇、〇〇〇〇、〇〇〇〇(支部・分会役員)について現認検書は上申はやらないと言っていた。そればかりか〇〇〇〇所長は、ピケッティングに立って私を出ていけと指図し、集会でも演説してストを指導した〇〇〇〇を主任に昇進させている。違法行為を指導して処分されないどころか昇進するのが東京都の倣いである。

犯罪構成要件該当行為の是認は当然という認識のようであるが、それは刑事免責を肯定した中郵判決が判例を維持していた昭和40年代の考え方で、先例は、刑事免責を否定した名古屋中郵判決方式の判断枠組になるから、違法性が阻却されることはありえない。

職員部から就労命令等の指示はないため、職員部の指示どおり動き、犯構成要件該当行為容認がコンプライアンスとなっている。管理意思を示すことを義務づけ犯罪を成立させるべき。

シットダウンストライキは悪質な態様であり許しがたい。産業別組合が台頭した合衆国1937年大恐慌のときに流行したもので、1932年ノリスラガーディア(反インジャンクション法)により、裁判所がストライキに差し止め命令を出しにくくなり組合活動を活発化させた結果である。

ストライキ時の職場占拠は大量動員ピケッティングによる物理的に、就労、作業を阻害することと基本的には同じ論理によって違法性が判断されるので、争議権のある私企業でも正当な争議行為とはみなされない。

16-1 新方針

職場占拠は、悪質な態様、業務妨害罪の構成要件行為なので、事前に認めないことを警告し、勿論違法なので推奨しにくいとはいえるが、よりましなウォークアウトにせざるをえないようにもっていってよいものとする。予想される事業所には特別査察チームを増援し逆ピケを張る。強行する場合は、中止・解散・退去・就業命令を徹底する。責任者の相応の懲戒処分か、刑事処分も検討する。短時間なので引き抜きなどは行わないとしても、現認・監視体制は徹底する。むろんこのようなことが起こるのは管理者が就業命令をせずストに協力する態勢だからである。

16-2 根拠

地公労法111項に違反する私企業でも正当とされない争議行為であり、地公法291号、2号、3号、32条、33条、35条の適条の服務規律違反

庁内管理規程五条4号、13号に該当

地方自治法238条の47項の行政財産の目的外使用により不許可

新規則1 職員は、許可なく、局所施設内で、業務外の集会、演説、講習、放送、示威行為又はこれらに類する行為を行ってはならない。

2 職員は、局が許可した場合のほか、勤務時間中に又は局所施設内で、組合活動を行ってはならない

3 職員は、職場において、他の職員の職務遂行を妨げ、もしくは職務専念を妨げる行為をしてはならない。

刑法234条威力業務妨害罪の犯罪構成要件該当行為

(ただし、現状では管理職が業務妨害、職場占拠を認めていることにより、犯罪の成立が微妙)

 

 

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🔶争議行為違反に罰則がなくても他の罰則の構成要件を充足している場合にその罰則を適用できる

全逓名古屋中郵事件.最大判昭52.5.4刑集313182

同法(公労法)には禁止違反の争議行為に対する刑事制裁の規定が欠けているが、その故をもつて、その争議行為についても原則として刑事法上の違法性阻却を認めるのが同法の趣旨であると解することは、合理的でない。由来、争議行為に関して適用が問題となる罰則には、争議行為の禁止規定の実効性を確保するためにその違反に対し制裁として刑罰を科することを定めるものと、その適用対象を争議行為に限定することなく、ある類型の行為に対し一般的に刑罰を科することを定め、その結果として、争議行為におけるその類型の行為に対しても適用されることになるものとがある。本件で問題とされる郵便法791項は、「郵便の業務に従事する者がことさらに郵便の取扱をせず、又はこれを遅延させたときは、これを一年以下の懲役又は二万円以下の罰金に処する。」と規定しており‥‥公労法171項違反の争議行為に‥‥刑事制裁の規定がないことは、その違反を理由としては刑罰を科さないことを意味するにとどまるのであって郵便法791項など‥‥罰則に該当する争議行為に対しても刑事法上の違法性阻却を認める趣旨であると解することは、合理性を欠き、他に特段の事情のない限り、許されないのである‥‥およそ争議行為として行われたときは公労法171項に違反する行為であっても刑事法上の違法性を帯びることがないと断定するのは、相当でない。特に、この条項は、‥‥その禁止に違反する争議行為は、国民全体の共同利益を損なうおそれのあるものというほかないのであるから‥‥してみると、公労法において禁止された争議行為が合理的に定められた他の罰則の構成要件を充足している場合にその罰則を適用するにあたり、かかる争議行為とは無関係に行われた同種の違法行為を処罰する通常の場合に比して、より強度の違法性が存在することを要求するのは、当をえないものといわなければならない。」

これは公労法違反の争議行為の事案だが、公労法3条は、地公労法4条と同じで、公労法171項は地公労法111項と同じなので、この理論は、地公労法適用の職場を別異とする理由はない。

但し、名古屋中郵判決は、争議行為の単純参加者については、立法の変遷とその底流にある法の理念を根拠として、処罰阻却の法理により単純参加者を処罰の範囲外と結論した。非現業公務員はあおり等積極的に争議行為を指導した者に罰則があるが、単純参加者にはないため均衡をかくうらみがあるためであるが、立法的解釈であり法理論的には疑問なしとしない。下田判事の反対意見がある。

🔶「久留米駅事件方式」の総括明確化

可罰的違法性論が採用されなくなったターニングポイントは、私企業も含め勤労者の争議行為に際して行なわれた犯罪構成要件該当行為について違法性阻却事由の有無を判断する一般的基準を示した国鉄久留米駅事件・最大判昭48.4.25刑集273419である。

マス・ピケ事犯、原審無罪破棄差戻。国労役員が、信号所の勤務員三名の勤務を放棄させ、勤務時間内職場集会に参加させる意図をもつて、あえて同駅長の禁止に反して同信号所に侵入する行為、労働組合員ら多数が同信号所を占拠した際にこれに加わったこと。同信号所で鉄道公安職員に数十回バケツで水を浴びせた(パンツが濡れるほどだった)事案での刑法上違法性を欠くものでないことが明らかであり、刑事責任を問うことは、なんら憲法28条に違反するものではないとした。

同盟罷業自体の労働法上の合法・違法の評価と付随的ないし補助的な行為についての刑法上の違法性判断とを意識的に区別して、違法性阻却事由の有無についての刑法的評価の判断方式を確立した(久留米駅事件方式)。

「勤労者の組織的集団行動としての争議行為に際して行なわれた犯罪構成要件該当行為について刑法上の違法性阻却事由の有無を判断するにあたっては、その行為が争議行為に際して行なわれたものであるという事実をも含めて、当該行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、それが法秩序全体の見地から許容されるべきものであるか否かを判定しなければならない」という判断方式である。

臼井滋夫最高検検事の判例批評が参考になるだろう。「久留米駅事件方式」の特色として「実質的違法性論に立脚して違法性阻却事由の有無を判断すべきものとしつつ、労働争議においても、一般原則のとおり犯罪構成要件該当性に刑法上の違法性を推定する機能を認め、しかも、この判断が講学上「いわゆる開かれた構成要件」に属するものとして、違法性推定機能が弱いとされている建造物侵入の成否に関してなされたものであることは注目に値するとしている[臼井滋夫1977「ピケッティングの正当性の限界」『法律のひろば』304号、1977「「可罰的違法性論」に対する批判的検討」『警察学論集』307号]

久留米駅事件方式の「法秩序全体の見地」に深い意味があって、犯罪構成要件該当行為は労働基本権尊重だとして安易に無罪としてはならないという含意があるとみてよい。

久留米駅事件方式のように争議行為とそれに付随する行為を分けて法的評価する考え方は、最高裁先例が争議行為は労務提供拒否としいう不作為を本質とし、これに随伴する行為も消極的限度にとどまるべきであるとする前提(朝日新聞西部本社事件.最大判昭27.10.22刑集6927羽幌炭礦鉄道事件大法廷判決昭33.5.28刑集12816)にもとづくもので、プロレイバー学説のように、争議権に積極的な業務阻害行為を含めないのである

我国には、英国のようにピケッティングを6人以下とし、当該事業所以外の外部支援組合員らによるピケットを違法としていないし、組合員であれストライキに参加しない権利(消極的団結権)が立法化されておらず(米国ではタフト・ハートレー法で立法化されている)、大量動員ピケを規制する立法はないが、最高裁が「久留米駅事件方式」を案出したことにより、ピケッティングの正当性の限界につき、消極的性格の行為の限度にとどまるべきであるという見解が堅持され、いわゆる平和的説得の限度を越えたピケッティングが犯罪構成要件に該当するときは、犯罪の成立を阻却するごく特殊な事情が存在する場合は格別、原則として違法性が阻却されないものとされている臼井滋夫1977 「五.四名古屋中郵事件大法廷判決について-公企体職員の違法争議行為と刑事罰」『警察学論集』307号]

包囲型ピケッティングの逮捕行為では、着衣に損傷がなく殴る蹴るもしていない逮捕行為(〇光文社事件東京高判昭48.4.26判時708)、その他マス・ピケにおいて物理的就労妨害、業務阻害行為につき、昭和40年代に席捲した藤木英雄ピケッティング違法性論を採用して、組合活動だから労働基本権尊重の趣旨で無罪にしてしまう下級審の傾向は久留米駅判決で完全に是正されることになった。

国鉄が私法上の勤務関係のため、私企業を含めた先例になった久留米駅判決の意義は大きい。

  実際、藤木学説を根拠として可罰的違法性を欠くとして無罪とした判例は130件あったが、久留米駅事件方式による違法性阻却判断基準により、他組合員への断続的暴行、逮捕行為を無罪とした原判決を破棄した。ロ日本鉄工所事件最二小判昭50.8.27 以降ほぼ完全に姿を消し、実務上可罰的違法論は消え去ったのである[前田雅英1984「労働組合役員の他組合員に対する暴行、逮捕行為と実質的違法阻却事由(最判昭和50.8.27) 」『警察研究』5514]。

3 藤木英雄東大教授の刑法学説は国鉄久留米駅事件判決で粉砕された

昭和40年代労働事件で司法が左傾化した要因は、藤木英雄東大刑法教授の可罰的違法性論の悪影響が大きい。

藤木教授は労働刑法での違法性概念について「労働権の保障の結果それと矛盾する限度で財産権に対する保障が後退するのは当然のこと」「通常の一般市民間でなされた場合に威力ないし脅迫にあたる行為であっても、労働争議という実力闘争の場において常態を逸脱しない‥‥程度の行為については‥‥威力あるいは脅迫にあたらないとして構成要件該当性を否認することにより問題を処理することが許されよう」と述べたわけである。[藤木英雄『可罰的違法性の理論』有信堂高文社1967 81頁]市民法秩序を軽視する理論である。争議行為の限界を消極的限度にとどまるとしている最高裁判例を突破し、市民法と労働法のぶつかり合う矛盾を労働法優位に改変していこうとする志向性を有している。

また藤木教授はピケッティングについて、「組合員であって争議から脱落した者は‥‥統制力の行使として、緊急の場合、スクラムによる絶対阻止が許される」「組合の組織の防衛をはかる目的で、会社のために就労しようとする者を‥‥強力な威力行使によって、その通行の最終的な阻止を試みることは‥‥場合によっては合法」としてスクラム阻止を容認している[藤木英雄1967『可罰的違法性の理論』有信堂高文社 181頁以下]

この学説と中郵判決の刑事免責適用を根拠に、争議行為を明文で禁止されているはずの公労法適用職場において、積極的業務阻害であっても、可罰的違法性を欠くとして無罪とする下級審判例が相次ぎ、大きな混乱をもたらした。昭和30年代から40年代にはプロレイバー労働法学に影響を受けた、実力行使を容認する下級審判例も少なくないからである。裁判所がプロレイバー法学の影響から脱する傾向が明確になったのは石田和外コート末期の国鉄久留米駅事件・最大判昭48.4.25刑集273419以降である。実際、藤木学説を根拠として可罰的違法性を欠くとして無罪とした判例は130件あったが、久留米駅事件方式による違法性阻却判断基準により、他組合員への断続的暴行、逮捕行為を無罪とした原判決を破棄した日本鉄工所事件最二小判昭50.8.27 以降ほぼ完全に姿を消し、実務上可罰的違法論は消え去った[前田雅英1984「労働組合役員の他組合員に対する暴行,逮捕行為と実質的違法阻却事由(最判昭和50.8.27) 」『警察研究』551号 ]。

 

20260202-145529 

可罰的違法性論の典型的な判例として光文社事件控訴審の判断があげられますが、上告審は久留米駅事件方式で無罪を有罪にしました。

 

光文社事件 最三小判小昭501125 刑集2910928頁 判時796号 判タ330号

(要旨)

 本件は昭和4624日図書・雑誌・週刊誌を出版する東京都文京区に所在する出版社の労働争議に絡み、第一組合員である被告人ら6人がピケッティングを実施中、出勤途上、歩道を歩いていた第二組合員の総務部副部長Sを取り囲み、第一組合員の解雇に反対の意思を表明させるなどのため同人を拉致して追及することを企て、同人の意思に反して身体を拘束したうえ、路上を強制連行した事案である。

 第一審は、

 労働刑事事件では、前掲の日本鉄工所事件に続いて、最高裁が「久留米駅事件方式」により可罰的違法性を否定し無罪とした原判決を破棄した。上告審判決は

本件が、労働争議に際し、不法にも実力をもつて人の身体及び行動の自由を奪い、正当な就労の権利を侵害したものであることの実質を洞察しないで、外形的な手順の現象観察にとらわれたことを示すものであつて、本件所為に対する可罰性の有無を決するに足る契機とすることはできない。原判決は、すでに第一審判決がこれらの点を考慮の上特に周到に当初の逮捕行為とこれに続く連行行為における態様とを区別したのに反して、本件所為の全過程を貫きうる違法性阻却の事由が存するかのように解するのであるが、これは本件における被害法益の評価及び行為の緊急性その他相当性の有無等に対する認識の相違に基づく異見といわざるをえないのである。 

四 結局、本件逮捕行為は、法秩序全体の見地(昭和四三年(あ)第八三七号同四八年四月二五日大法廷判決・刑集二七巻三号四一八頁)からこれを見るとき、原判決の判示する動機目的、所為の具体的態様、周囲の客観的状況、その他諸般の事情に照しても、容認されるべきピケッテイングの合理的限界を超えた攻撃的、威圧的行動として評価するほかなく、刑法上の違法性に欠けるところはない。したがつて、原判決の判断には法令の違反があり、それが判決に影響を及ぼし、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものであることが明らかである。

先にいうと、私の考えはこうである。もし本件逮捕行為を可罰的違法性を欠くとする東京高裁判決を是認するならば、「社会的に常軌を逸した暴行・脅迫 」(足蹴りや殴打等をさすものとみられる-本件では足蹴りや殴打はなされていない)さえなければ労働組合の有形力行使は争議行為において許容されることになる。ピケットにおいても説のため件逮捕行為のような56人の包囲による有形力の行使を認め、足蹴り、殴打等常軌を逸した暴力さえなければ、抵抗する者もかまわず拘束してもかまわないという結論になっている。そうすると争議行為なら逮捕、強制連行、拉致、監禁のある程度のことは許容されるべきということになる。これは市民法秩序、個人の就労の権利、行動の自由の観点から到底容認できるものではなく、原判決を破棄した最高裁の判断は妥当であり、特に「正当な就労の権利の侵害」に言及したことで高く評価したい。

本件労働争議は会社に有利な形勢にあり、第一組合は幹部9名が解雇され、入構も拒否されていた。追い詰められた状況にあったことから、第一審、控訴審とも被告人に同情的な見解が述べられている。また弁護人によればSはかつて第一組合に属し争議に参加していたのに、不明朗な経緯で結成された第二組合に走った者で、内部統制違反者、脱落者と類似ないし判断を下しているが、しかしだからといって、身体拘束、強制連行、就労の権利侵害が許されるべきとものではないと考える。

昭和462月東京都文京区に所在する出版社の労働争議に絡み、第一組合員である被告人ら6名が、午前7時40分ころ出勤のため歩道を歩いていた第二組合員(S総務部副部長)を取り囲み、会社警備員の妨害の及ばないところで説得するため、その者を約30メートル引きずり、 さらに両脇下に手をさし入れたまま引っ張り、押すなどして、小路に入り、約200メートル強制連行した。検察官はさらに約1700メートルにわたる強制連行も含めて逮捕罪に該当するとして公訴を提起したものである。

  • 光文社事件第一審東京地裁昭和47年4月3日判決 刑裁月報4-4-669

  一部無罪、一部有罪(逮捕罪)。懲役三月執行猶予一年

(罪となるべき事実)

 被告人は、昭和四六年二月四日午前七時四〇分ころ、東京都文京区音羽‥‥光文社前付近路上において、前記のとおり出勤してきたSを認めたので、同人が第二組合に加入した理由を問いただし、また会社が‥‥‥および第一組合に解雇者が出ていることに関して話合い、同人から意見を徴するとともにこれらに反対の意思を表明することを求めて同人を説得しようと考えたが、‥‥警備員による妨害を免れるため、ほか五名の労働組合員と共謀のうえ、右Sをその場から他所に連行しようと企て、歩道上を歩いてきた同人に近寄り、いきなり同人を取り囲み、うち二名において両側からそれぞれ同人の腕をつかまえ、被告人において、「実力ピケだぞ、あんたは会社に入れないんだ、どうしてこんなに早く来るのだ」と申し向け、同人が「入れないんだったら帰ればいいんでしよう」といつて引き返そうとするや、前記の二名においてそれぞれ同人の脇下に手をさし入れて同人を抱え上げながら前方に引っ張り、ほか一名において同人を後方から押し、同人が両足を前方につき出し、腰を低く落として連行されまいと抵抗するのも構わず、同所から音羽通りを横切り同区二丁目一一番先金輪マンシヨン工事現場付近歩道上まで約三〇メートルひきずったあと、さらに同人の両脇下に手をさし入れたまま引っ張り、後方から押すなどして同所から小路に入り、お茶の水女子大学裏門前を経て二〇〇メートル余の距離にある同区大塚二丁目八番三号山品建設株式会社前歩道上まで強いて同人を連行し、もつてその間同人の身体の自由を拘束して不法に逮捕したものである。 

○光文社事件控訴審東京高裁昭48・4・26判決 判時708号

  原判決破棄 無罪

 控訴事実は、「被告人は、ほか数名と共謀のうえ、昭和四六年二月四日午前七時四〇分ころ、東京都文京区音羽‥‥光文社前付近路上において、同会社総務部副部長〇〇〇〇に対し、光文社労働組合員らの解雇に反対の意思を表明させるなどのため同人を拉致して追及することを企て、同人を取り囲んで両腕をおさえ、脇下に手を入れてかかえあげ、あるいは、後方から押し、腕を引っ張るなどして、同所から豊島岡墓地前、大塚三丁目交差点、お茶の水女子大前、大塚窪町公園等を経て、午前八時一五分ころ、同区大塚三丁目五番一号前大塚一丁目交差点まで強いて連行し、もつてその間同人の身体の自由を拘束して脱出を不能ならしめて不法に逮捕したものである。」というのである。

 事の経過を見ると、被告人らが突然Sを取り囲み、被告人のうち二名が押すなどして、会社付近歩道上から音羽通りを横切り(その間Sが腰を落としたので、両脇でかかえるようにして多少急ぎめに車道を渡っている。)‥‥と原判示のような行動に出たのは、Sが会社の付近まできながら、被告人らの待機している状況を見て引き返しかけたところから、この機を逃すと、同人を説得する機会が当分失われることを危惧し、どこか警備員の妨害の及ばない場所で同人を説得しようとした結果と考えられる。このように、被告人の有形力の行使は、同人に対する説得を有効に実施するための場所の選定にともなうきわめて短時間のものにすぎず、しかもS身体に殴打、足げり等の暴行を加えてないのはもちろん、その着衣その他に対しても何ら損傷を与えていない程度のものである。逮捕罪とは、人の身体を直接に拘束する手段を講じ、その行動の自由を現実に奪うことで、通常その手段は、社会的に常軌を逸した暴行または脅迫によると解されるが、これまで説いたところから明らかなように、本件が午前七時四〇分ころの公道上のきわめて短時間の、しかも緊迫した特殊な事態のもとでの偶発的な出来事と思われること、被告人らには、右のような暴行脅迫を加える意思も、そのような行動に出る形跡もなかったとみられること等の状況に徴すれば、本件は、-なお外形的には、逮捕罪にあたるようにみえるが、-被告人らの守ろうとした利益とその侵害した法益との権衡、労働組合法、刑法を含む法全体の精神からみて、果たして危険な反社会的行為、特に刑法上の犯罪としなければならないほど常軌を逸したものといえるかどうか頗る疑わしく、‥‥‥結局本件は、同法二二〇条一項の「不法に人を逮捕」したという犯罪として処罰するに足りる実質的違法性をいまだ備えていないと解するのが相当である。

  • 上告審  最三小判小昭501125 刑集2910928

本件が、労働争議に際し、不法にも実力をもつて人の身体及び行動の自由を奪い、正当な就労の権利を侵害したものであることの実質を洞察しないで、外形的な手順の現象観察にとらわれたことを示すものであつて、本件所為に対する可罰性の有無を決するに足る契機とすることはできない。原判決は、すでに第一審判決がこれらの点を考慮の上特に周到に当初の逮捕行為とこれに続く連行行為における態様とを区別したのに反して、本件所為の全過程を貫きうる違法性阻却の事由が存するかのように解するのであるが、これは本件における被害法益の評価及び行為の緊急性その他相当性の有無等に対する認識の相違に基づく異見といわざるをえないのである。 

結局、本件逮捕行為は、法秩序全体の見地(昭和四三年(あ)第八三七号同四八年四月二五日大法廷判決・刑集二七巻三号四一八頁)からこれを見るとき、原判決の判示する動機目的、所為の具体的態様、周囲の客観的状況、その他諸般の事情に照しても、容認されるべきピケツテイングの合理的限界を超えた攻撃的、威圧的行動として評価するほかなく、刑法上の違法性に欠けるところはない。したがつて、原判決の判断には法令の違反があり、それが判決に影響を及ぼし、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものであることが明らかである。

争議行為(労務不提供)と争議行為に付随する行為(ピケッティング等)を意識的に区別するこの久留米駅事件方式は全逓名古屋中郵事件判決.最大判昭52.5.4に踏襲された。

  • 全逓名古屋中郵(第二)事件 最二小判昭53.3.3刑集32297香城敏麿判解は、名古屋中郵事件大法廷判決を次のように要約した。

(イ)公労法一七条一項違反の争議行為が罰則の構成要件にあたる場合には、労組法一条二項の適用はなく、他の特段の違法性阻却理由がない限り、刑事法上これを違法とすべきである。

(ロ)但し、右の争議行為が単なる労務不提供のような不作為を内容とするものであって、公労法一七条一項が存在しなければ正当な争議行為として処罰を受けないようなものである場合には、その単純参加者に限り、当該罰則による処罰を阻却される。

(ハ)これに対し、公労法一七条違反の争議行為にあたらず、これに付随して行われた犯罪構成要件該当行為の場合には、その行為が同条項違反の争議行為に際して行われたものである事実を含めて、行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、法秩序全体の見地から許容されるべきか否かを考察してその違法性阻却事由の有無を判断しなければならない。

名古屋中郵事件の建造物侵入の行為は(ハ)にあたる。「被告人らは、公労法171項に違反する争議行為への参加を呼びかけるため、すなわち、それ自体同条項に違反するあおり行為を行うため、立入りを禁止された建造物にあえて立ち入ったものであつて、その目的も、手段も、共に違法というほかないのであるから、右の行為は、結局、法秩序全体の見地からみて許容される余地のないものと解さざるをえない」と結論している。

東京都水道局新宿営業所のストの態様、事務室の検針担当のエリアを40人ほどで占拠し集会を行い、その間非組合員が自席で業務を不能にする在り方、業務用機器の隠匿は(イ)にあたり、本部中闘や本部委員等の外来者のオルグのための侵入、支所等の庁舎構内における決起集会の外来者(下水道局の動員含)やスト待機で深夜・未明のセキュリティ破りの事務室侵入は(ハ)にあたるということになります

この判断枠組(「名古屋中郵事件方式」)により威力業務妨害罪の成立を認めた判例として、全逓名古屋中郵第二事件・最二小判昭53.3.3刑集32297(臨時小包便搬出の業務妨害)、春闘松山駅事件・最二小判昭53.3.3刑集322159(マス・ピケ)動労南延岡機関区事件・最一小判昭53.6.29刑集324759(マス・ピケ)がある。

名古屋中郵判決は公労法17条違反の争議行為だか、地公労11条違反の争議行為を別異に解釈する理由がない。

違法性があり、責任もある行為は、これを処罰するのが刑事法上の原則であるにもかかわらず、東京都の管理職が組織的に是認していることは問題であり、令和元年の事案で私も刑事告訴せず時効にしてしまったことをお詫びしたいと思う。

なお、組合側は物理的に阻止するピケットも合法と主張する可能性がある。地公労法111条違反の争議行為につき〇札幌市労連事件(札幌市電ピケット事件)・最三小決昭45.6.23刑集246311(業務命令を受けて組合員が乗務する市電の車庫から出庫を阻止するための40名ほどのピケ)を無罪とした例がある。この判例は中郵判決や都教組判決が維持され公務員の争議行為にも刑事免責が適用され、可罰的違法性論が実質否定されていない時期の判例で、32の僅差であり、松本正雄裁判官の長文の反対意見がある。

可罰的違法性論は国鉄久留米駅事件・最大判昭48.4.25刑集273419の判断枠組みで採用されなくなった。

松本裁判官の反対意見にある違法争議行為に内部統制権はないという趣旨は、横浜中郵事件差戻後控訴審・東京高判昭47.10.20判時689の中野次雄裁判長が採用し、争議行為に労組法12項刑事免責は適用されないという趣旨は名古屋中郵事件・最大判昭52.5.4に採用されて、今日では松本反対意見が最高裁の先例の見解になっているわけで、地方公営企業で刑事事件が稀少なため判例変更されていないだけで、公労法と地公労法の争議行為禁止の趣旨は同じなので、名古屋中郵判決の判断枠組みが採用され、実力ピケが無罪となることはありえない。例えば、名古屋中郵判決が引用された動労南延岡機関区事件・最一小判昭53.6.29刑集324759は機関士の乗務を約500名のマス・ピケで阻止した事案を有罪としているが、札幌市電事件は40人ほどの自然発生的ピケであるが、大きな違いはない。

  • 争議行為は労務提供拒否という不作為を本質とし、これに随伴する行為も消極的限度にとどまる

ここでは、「争議行為の限界」について主として名古屋中郵判決上告審担当検察官として、理論分析に卓越している臼井茂夫最高検検事の論文に依拠して説示することとする。

リーディングケースは山田鋼業事件・最大判昭25.11.15刑集4112257朝日新聞西部支社事件・最大判昭27.10.22民集69857である。

 争議行為は労務提供拒否という不作為を本質とし、したがって、これに随伴する行為も消極的行為の限度にとどまるべきであり、それを越えて使用者側の業務を妨害するような意図及び方法での積極的な行為は許されないとの見解が確立したものであって、この点についてプロレイバーが主張するように労働法は市民法秩序を超克するものと解する余地はない。

そしてピケッティングと犯罪の成否についての重要判例が羽幌炭礦鉄道事件・最大判昭33.5.28刑集1281694であり、事案は、争議続行と組合指導部に反発して組合を脱退し第二組合の結成に加わった労働者と非組合員による出炭を阻止するためのマスピケッティングであるが、「同盟罷業は必然的に業務の正常な運営を阻害するものではあるが、その本質は労働者が労働契約上負担する労務供給義務の不履行にあり、その手段方法は労働者が団結してその持つ労働力を使用者に利用させないことにあるのであって、これに対し使用者側がその対抗手段の一種として自らなさんとする業務の遂行行為に対し暴行脅迫をもつてこれを妨害するがごとき行為はもちろん、不法に、使用者側の自由意思を抑圧し或はその財産に対する支配を阻止するような行為をすることは許されないものといわなければならない‥‥。されば労働争議に、使用者側の遂行しようとする業務行為を阻止するため執られた労働者側の威力行使の手段が、諸般の事情からみて正当な範囲を逸脱したものと認められる場合には刑法上の威力による業務妨害罪の成立を妨げるものではない。」と判示した。

問題は、「諸般の事情」の解釈だが、臼井検事は、「基本となる基準はあくまで労働力の提供拒否にとどまるか否かであり」労働力の提供拒否にとどまるか否かという基準では割り切らないことを意味するというプロレイバー解釈は誤りと指摘している[臼井滋夫1977「ピケッティングの正当性の限界」『法律のひろば』304号 ]。

プロレイバー労働法学では、争議権とは本質的に「業務妨害権」であり、同盟罷業による業務妨害状態を有効に維持するためにピケッティングは争議行為の範囲にあるとし、一定程度の実力行使も許されるというものであるが、最高裁はもちろん認めていない。しかし東京都はそもそも争議行為が正当業務でないのに業務妨害権をも容認している点で非常に悪質ある。

同判決以外でも最高裁は物理的に就労阻止する実力ピケ、大量動員ピケや逮捕行為について多くの事件で有罪と判決している。ホテル・ラクヨー事件最一小判昭和32.4.25暴力行為等処罰ニ関スル法律違反第二港湾司令部駐留軍横浜事件最二小判昭33.6.20威力業務妨害、東北電力大谷発電所事件最一小判昭33.12.15威力業務妨害、水利妨害、四国電力財田発電所事件最一小昭33.12.25威力業務妨害、嘉穂砿業事件最一小判昭35.5.26威力業務妨害.暴力行為等処罰ニ関スル法律違反、長万部駅事件.最一小判昭45.7.16建造物侵入浜松動労事件.最一小判昭45.7.16 威力業務妨害全逓横浜中郵前ピケ事件差戻後上告審最一小決昭49.7.4 公務執行妨害、国労久留米駅事件.最大判昭48.4.25 建造物侵入、公務執行妨害動労尾久駅事件最三小決昭49.7.16威力業務妨害光文社事件最三小判昭50.5.8逮捕罪動労糸崎駅事件.最一小決昭51.4.1威力業務妨害国労尼崎駅事件.最一小判昭52.10.20公務執行妨害動労鳥栖駅事件.最三小決昭50.11.21?威力業務妨害.公務執行妨害春闘松山駅事件.最小二判昭53.3.3威力業務妨害動労南延岡機関事件.最一小判昭53.6.29威力業務妨害山陽電軌(現サンデン交通)事件.最二小決昭53.11.15威力業務妨害

なお損害賠償請求では御国ハイヤー事件最判平4102判タ813-191がある。

ただし最高裁は羽幌炭礦判決より前に例外的に〇三友炭鉱事件最三小判昭31.12.11刑集1021605に無罪。〇札幌市労連事件(札幌市電ピケット事件)最三小決昭45.6.23刑集246311 は、40人ほどが車庫から発進する電車に立ち塞がった二つめの例外的判例である。羽幌炭礦判決以降では唯一の例外である。それゆえプロレイバー学者は、ピケット権の確立を前進させた意義があるものとして本決定を評価している[佐藤昭夫1970「札幌市労連最高裁決定とピケット権の展開」『労働法律旬報』756号 ]。従って組合側がこの判例に依拠して積極的業務妨害やピケット権を主張することはありうるが、無罪とされる前提となる労組法12項の適用がなくなったこと、可罰的違法性論は安易に適用しなくなったので、名古屋中郵事件方式では有罪となるものと思われる。先例たりえない。詳しくは註の「例外二判例は先例たりえないその理由」を参照されたい。

2)職場占拠・類似したマス・ピケに関する判例

  • 摩周丸事件・最大判昭411130刑集20-9-1076 (札幌高裁函館支部判昭36221判タ117107●函館地判昭3535判時22532

実力ピケ事犯 威力業務妨害 舷門口付近の甲板通路に組合員が密集し占拠した事案。国労青函地本は、組合員処分の抗議等のため昭和32511950分青森桟橋定時出航の摩周丸において、勤務時間職場大会を行うことした。被告人国労青函地本書記長、船舶支部副委員長、北海道地評常任評議員は、組合員約50名と共謀のうえ、架設中のタラップを取外し、舷門扉を閉鎖し、舷門口付近の幅2メートル甲板通路に密集し占拠したうえ、ロープを張りめぐらした。対して国鉄青函鉄道管理局は、部・課長、労動課員等十数名の応援、非組合員たる職員や、当日非番の組合員等からなる三十数名の助勤者を動員し、午前630分頃から前後4回にわたって、桟橋長、桟橋助役、応援者及び助勤者がタラップ架設作業と舷門口の解放をこころみたが、ピケ隊はこれを妨げ、その間、利用客の乗船を不能ならしめた結果、摩周丸の出航を約1時間29分遅延するに至らしめた。一審有罪、国労青函地本書記長懲役八月、船舶支部副委員長懲役六月、北海道地方評議会常任評議員懲役四月、執行猶予二年、二審棄却、上告審棄却。本件は一審、二審とも公労法171項に労組法12項の適用はないとする国鉄檜山丸事件・最二小判昭38.3.15刑集17223とは違って、17条違反の争議行為に対しては、公労法3条が、労働組合法第8条(民事免責)の適用排除を明言しながら、同法第1条第2項(刑事免責)の適用を排除していないということなどから、12項の適用を受くるという、東京中郵判決と同じ見解をとっている。従って私企業と同様に、犯罪構成要件に該当し、労働組合法所定の正当性の限界を超えるものでなければ処罰できないというものであるが、一審は「桟橋二等送迎場と摩周丸との主要交通路及び二等舷門口付近甲板通路を閉鎖遮断し‥‥タラップ架設措置、摩周丸利用客の乗船意思及び船側並に桟橋側からなされるべきタラップ架設作業員の作業意思に対して終局的になされた拒絶行為で、およそ言論による説得行為ないし団結による示威行為以前の、物理的な拒絶状態を惹起させたものであつて、被告人等三名の所為が労働組合法第一条第二項所定の正当性の限界を逸脱したもの」との判断である。

大法廷は国鉄職員の非権力的現業業務の執行に対する妨害は、その妨害の手段方法の如何によっては、刑法二三三条または二三四条の罪のほか同九五条の罪の成立することもあると解するのが相当であるとする全員一致の意見と、公労法が禁止する争議行為の刑事免責の論点で奥野健一(石田和外、下村三郎同調)とは、五鬼上堅磐の補足意見がある。

 

東京新聞事件・東京地判昭4410・18労民20-5-1346 

違法な争議行為を企画、決定、指導したことを理由としてした組合役員らに対する懲戒解雇および懲戒休職が、いずれも重きに失し懲戒権の濫用として無効であるとされた組合寄りの判決だが、職場占拠の違法性は認めている。昭和四〇年三月一九日午前一〇時頃よりその所属組合員及び部外者計約三〇〇名を会社建物内に会社の制止を排除して侵入させ、会社二階作業場(ローリング機および大刷機)および右作業場に至る通路を占拠して実力を以って物理的封鎖をなし、会社側作業員が作業のため同所に立ち入ろうとするや実力を振ってこれを阻止するの挙にでて‥‥会社の再三、再四に亘る口頭および文書(含む掲示)による退去要求を全く無視して右不法占拠を解かないのみか、逐次不法占拠者を増員し、部外者をも多数導入し、約三〇〇名をもつて右ローリング作業場はもとより、会社一階西側玄関から右作業場に至る階段、通路をも完全に占拠閉塞し、更には藁莚多数を持ち込んで右不法占拠態勢を強化し、またその際、間断なく大声にて労働歌を高唱し、或は携帯マイクで音頭をとりかん声を上げるなど怒号喧騒を極め、ひとりローリング作業場および大刷作業を阻止せしめたのみならず、隣接する文選、組版の作業をも著しく妨害したほか、社内の平穏・秩序を全く攪乱せしめた。

職場占拠とは、ストライキの一環として、使用者の意思に反して一定時間工場などに集団で留まる行為を指す。日本では、排他的・全面的な職場占拠は基本的に認められないが、使用者と共存し、占拠が部分的であれば許容されることもある。ただし、会社側従業員への説得や阻止行為が加わる場合、その正当性は通常のピケティングと同じ基準で判断される。また、重要な企業施設の業務運営を妨げ、使用者が業務継続のために滞留者の排除を余儀なくされる状況では、そのような滞留は違法となる。

  • 港湾労組栗林分会事件・札幌高判昭48319判タ713-129 

本件は違法なピケットに参加するため会社職制の制止に拘らず事業所構内に入構したことも違法であるとして、出勤停止処分を是認したケース。マス・ピケの事案といえるが、埠頭のエプロンと称する本船と直背後上屋又は荷さばき地との間で、貨物を円滑に移動させる場を占拠し、職制とストに加わらない第二組合員による洋紙の積み込み、アラスカ材の荷揚げを妨害するもので職場占拠事案ともいえる。本件は刑事事件でなく、久留米駅事件判決より前、可罰的違法性論が否定されていない段階の判例である。全港湾北海道地方本部指令の統一スト-昭和四〇年四月一七日、断続的或いは継続的にストライキを実施する旨通告していた。

 全港湾労組室蘭支部栗林分会は、五月五日午後一時から時限ストライキを行なって神加丸および瑞雲丸の荷役作業を中止し、両船にピケットを張る、との機関決定をなし、‥‥(第二組合の)栗林商会労働組合員が午後一時からの両船における荷役作業に従事する以前に、右両倉庫前海手エプロン上に分会員を集合させて、ピケットの配置につかせた。

 右一号倉庫前エプロン上(略)

 一一号倉庫前エプロン上においては、分会員約七〇名が、端雲丸と同倉庫の間(同倉庫と同船の接岸していた岸壁までの間隔は約一八メートル)に‥‥ピケットを張り、これを解かないかぎりは同船から右エプロン上に木材を荷揚げすることは不可能である状態を作出した。午後一時すぎ会社職制が栗労員により作業をするからピケットを解除するようにとの要求を受けたが、「地本の指令にもとづくものであり、ここを退去することはできない、荷役はさせない。」等と返事してこれを拒否した。そこで控訴会社側においては、右エプロン上での作業はとうてい不可能であると判断し、同船の海側から木材の艀取荷役作業をすることとし、栗労員約一〇名が同日午後二時三〇分頃艀によって海側から同船に乗船して荷揚げ作業を開始した。ところがこれを知った分会員のうち、約一〇名が同船に乗り込んできて、会社職制から再三下船するように要求されたにも拘らず、「栗労員が降りるなら我々も降りる」とか、「執行部から命令をうけているので下船できない」等と答え、同時頃から午後三時三〇分頃までにわたって、デッキや荷揚げすべき木材(アラスカ材)の上に坐り込む等の行動をとって、右作業を妨害し、結局控訴会社側に対しかかる方法による作業の続行をも断念させた。

 

「ピケット或いはこれに伴う職場占拠は、暴行、脅迫又は威力にわたらない平和的説得の限度においてのみ許容されるものであり、これを超えて右説得に応じない組合員以外の者。就業や使用者の操業を妨害するにいたるような程度、方法にわたることは、争議行為の正当な限界を逸脱し違法である。‥‥違法行為をなす目的で職場内に立入ることは正当な限度を逸脱するものである。

 本件では、会社側と栗労員はピケット解除を求めて待機し、平穏に一部作業を再開したが、分会はこれを拒否してピケットを継続し、木材に座り込むなどして作業を妨害し、職場を占拠した。このような行為は、平和的説得の範囲を逸脱し、不法な威力や有形力の行使として違法というべき。

  • バンク・オブ・インディア事件・東京地判昭421120労民18-6-1160

銀行の組合がストライキ決行と同時に店舗を全面的に占拠し、総支配人および副支配人の入行を阻止するとともに、非組合員および顧客の入行を阻止し、右店舗が所在する第三者所有の建物の外部にビラ類をはりつけたことは、いずれも争議手段として許される正当な範囲を逸脱したものである

 

  • 動労糸崎駅事件最決昭5141刑裁資料230-215 (広島高判昭48830判タ300-363広島地裁尾道支部・下級裁判所刑集10-2-19

マス・ピケ 運転室の占拠 威力業務妨害罪 公訴事実は「被告人は、動労岡山地本津山支部執行委員長であり、中央指令にもとづき、昭381213日、糸崎駅を拠点として実施した時間内職場集会などの闘争に際し、津山支部の組合員約60名を引率指揮してこれに参加したものであるが、同日午後720分糸崎駅発呉行651D列車(折り返し)の発進を阻止することを企て、午後719分頃同列車が同駅五番線に据付を終るや、右組合員らを引率指揮して同列車の前部運転室乗降口に集結させ、自らは同運転室に乗り込んで同室を占拠したうえ、午後736分頃から757分頃までの間前後三回にわたり、(当局から代務として召集、業務命令された)機関士Sらが同列車に乗務するため乗車しようとするや、右組合員および来援した他組合員ら合計百数十名に対し「スクラムを組め」と命じてスクラムを組ませ、同組合員らと共謀のうえ、その都度右Sらの進路に立塞がり「ワツシヨイ、ワツシヨイ」と掛声をかけるなどして気勢をあげつつ同人らを押し返し、あるいは運転室内部から乗降口の扉を閉めるなどして同機関士の乗車を阻止し、もつて威力を用いて国鉄の列車運行業務を妨害したものである。」午後757分頃に至って遂に鉄道公安官等が押し返し、運転室内の被告人を車外に排除して通路を確保し、S機関士を同列車に乗車させ、同列車は定刻より40分遅延して同日午後8時に同駅を発車した。

 一審は影響も重大ではなく、本件行為は正当な争議行為として無罪。  

 控訴審は、久留米駅事件方式に威力業務妨害罪の成立を認め、被告人を懲役四月執行猶予二年。刑法二三四条、二三三条、六条、一〇条。

 「‥‥案ずるに、労働組合法12項但書は、争議行為における一切の有形力の行使を「暴力の行使」として禁止する趣旨ではなく、当該有形力の行使がその目的、時期、場所、手段、影響等、当該行為の具体的状況に鑑み、争議行為として社会通念上許容される必要最小限度を超えた不法な実力的行動に該らないときは、右条項但書の所謂暴力には該当しないと解すべきであることは、正に原判決の判示するとおりである。そこで、組合の組織的集団行動としての本件合理化反対闘争に際して行なわれた刑法二三四条所定の構成要件に該当する有責行為であると原判決が認定した被告人の本件所為について原判示違法性阻却事由の有無を判断するに当つては、当該所為が争議行為に際して行なわれたものであるという事実をも含めて、叙上行為の具体的諸状況を考慮に容れ、それが法秩序全体の見地から許容されるべきものであるか否かを判定することとする。

 ‥‥被告人等が時間内職場集会を実施する旨の組合本部指令に基づき、S機関士に本件職場集会への参加を勧誘、説得する機会を作る必要上本件所為に出たものであるとしても‥‥本件職場集会の実施は組合の行なう一種の争議行為であるところ、公共企業体である国鉄の職員及び組合は、公共企業体等労働関係法171項により、一切の争議行為を禁止され、同条項に違反してなされた争議行為は、少なくとも労働法上は一般的に違法であり、違反者は同法18条により解雇の制裁を科せられ、争議行為に際してなされた行為が暴力の行使その他の不当性を伴なう場合には刑事法上においても違法性を阻却されないのであるから(昭和411026日最高裁判所大法廷判決)、被告人等がS機関士に本件職場集会への参加を勧誘、説得すること自体の違法性を指摘しなければならないが‥‥純然たる私企業と異なり、一切の争議行為が少なくとも労働法上一般的に違法とされている国鉄においては、組合は組合員に対する統制権の行使を理由として、斯る違法な争議行為に参加することを強制することは許されず、組合員は右職場集会実施の組合本部指令に服従すべき義務はなく、従って、これに参加を促がす勧誘、説得を受忍すべき義務もないのである

 況して原判示のごとく、S機関士は、予め本件闘争に備え本件の前日国鉄当局から代替乗務の業務命令を受けて糸崎駅に待機していた者であり、右業務指令が適法であること及び被告人にはS機関士が本件列車発進のため代替乗務員として同列車に乗車すべく同駅5番線ホームへ来たことの認識が有ったことは、いずれも原判決の認定するとおりであつて、斯様に既に国鉄当局の適法な業務命令を受けてこれに服従し、就労の意思を以て出務している者の場合においては叙上受忍義務のないことは一層明白であるから、同人に本件職場集会への参加を勧誘、説得するに当つては、その時期、場所、手段、影響等において尚更厳しい制約を受け、団結による示威の程度を超えた物理的な力を以て同人の就労を妨害したり、そのため国鉄の施設や車両を占拠する等して国鉄の正常な列車運行業務を妨害することは、その目的の是非に拘らず許されないものといわなければならない。

 発車した午後8時頃には、三両編成の定員合計240名の約7割に相当する百数十名の乗客が乗車していたことが認められ、しかも原判決認定のごとくS機関士は既に国鉄当局の適法な乗務命令を受けてこれに服従し、就労の意思をもつて出務し、被告人にもその事実の認識はあつたのであるから、斯る段階に立ち至ってなお同機関士に本件職場集会への参加を勧誘、説得しようと試みることは、徒らに同列車の発進を阻害するだけで、国鉄の輸送業務が帯びている高度の公共性と国鉄の職員及び組合の争議行為が少なくとも労働法上は一般的に違法とされていることとに鑑み、時期的に最早許されないものというべきである。

 およそ争議行為への参加を勧誘、説得するには、あくまで相手方に自由行動の余地を残し、相手方が説得に応ずればよし、若しこれに応じないで就労しようとする場合にはその就労場所への進路を開き、何等の妨害を受けることなく就労させなければならず、苟もその進路を塞いだり、就労場所を占拠したり等することは、説得のためのピケッティングの正当な限界を逸脱するものといわなければならないところ、‥‥被告人を含む組合員らが本件651D列車の乗務員に本件職場集会への参加を勧誘、説得しこれを確保するピケ隊要員として配置された場所は、既に本件列車が据え付けられた5番線ホームであり、S機関士が同列車に代替乗務すべく同ホーム陸橋階段下に到着した午後740分頃から午後755分頃組合員らが鉄道公安職員等により排除される迄約15分間引き続き同列車運転室乗降口付近に百数十名が同列車運転室に乗り込んでいた被告人の指揮下にスクラムを組んで同機関士の前進を阻止し、以て同機関士をして同列車運転室に乗り込むことはおろか、これに接近することさえもできない程に、その乗車、就労の自由を失わせたことが認められるから、被告人等の本件所為は場所的にも許容される限度を超えていたものといわなければならない。

 なおこの点につき原判決は、同列車運転室に立ち入ったのは被告人一名だけでそれも乗客説得の任務遂行のためであり、又被告人が同運転室内部から乗降口の扉を閉める等、運転室を占拠する行動に出た形跡は窺われない旨判示しているが、被告人自身同列車の所定乗務員ではないのに擅に同列車運転室に乗り込み、原判示のごとく同運転室内から、その乗降口付近にピケを張っていた百数十名の組合員を指揮してスクラムを組ませ、S機関士の乗車を阻止したものである以上、運転室に立ち入ったのは被告人一名だけであつたとか、被告人に乗客説得の任務も併せ存したとか運転室内部から乗降口の扉を閉めたとか閉めなかったとか等の事実は、前叙認定を左右するものではないと認める。

 そして、争議行為への参加を勧誘、説得するには、あくまで相手方が自由な意思決定に基づき自発的に参加する態度に出るのを待つべきであり、言論による説得又は団結による示威の域を超えた物理的な力によってその自由意思による就労を妨害し又は意思決定の自由を奪う程度の心理的抑圧によって不本意ながら就労を思い止まらせるような事態は厳にこれを慎まなければならないところ、‥‥被告人を含む組合員らがS機関士に本件職場集会への参加を勧誘、説得しこれを確保するために執った手段は、その行為の時期及び場所と相俟って、同機関士が代替乗務しようとする正当な就労行為を物理的な実力を行使して妨害したものに該当し、右説得の場を確保するピケッティングの手段として超えてはならない限度を逸脱していたことは明白であると認められる。

 ‥‥公共の福祉の維持、増進のため列車の正常且つ安全な運行に責任を有する国鉄当局が、S機関士を同列車に乗車させるため、本来の鉄道係員らの他多数の鉄道公安職員を出動させ、以て同機関士の擁護と本件列車運転室への進路の確保に当らせたことは、国鉄当局は争議中であってもなお業務遂行の自由を有し、況して組合側の説得行為に協力し、これを拱手傍観すべき義務を負うものではないこと並びに鉄道係員に対し、鉄道施設内において法規ないし秩序違反の行動に及んだ者を施設外に退去させ得る権限を認めた鉄道営業法四二条一項及び鉄道係員として、国鉄業務の円滑な遂行のため、その業務運営上の障害を除去するという警備的な職務を鉄道公安職員に認めた「鉄道公安職員基本規定」三条、五条、現「鉄道公安職員基本規程(管理規程)」二条、四条の各趣意に照らし、列車の運行業務を維持するための臨時の措置としていささかも違法の廉はなく、これを目して国鉄当局がかたくなに組合側の説得行動を拒否し、積極的にピケ破りのため実力行使一点張りに出たものと解した原判決の判断は失当といわざるを得ない(48425日最高裁判所大法廷判決[註-久留米駅事件]及び昭和3532日福岡高等裁判所判決、高刑集一三巻二号一四九頁以下[門司車掌区事件]各参照)。

 ‥‥、同列車は主として同駅周辺の工場労働者の準通勤列車で、右発車時当時においては三両編成の定員合計240名の約7割に相当する百数十名の乗客が乗車し、乗客中には同列車の発車遅延に苛立っていた者も可成の数あつた‥‥

 上告審は棄却。

  • 国鉄久保田駅事件・福岡高判昭51427刑裁月報8-4・5-212 (佐賀地判昭49330

マス・ピケ事犯 信号所の占拠 建造物侵入、公務執行妨害事件

 久保田駅とは、長崎本線と唐津線との分岐点で一日平均約140本にのぼる列車が通過する。一審は公労法17条1項に違反する職場集会への参加を勧誘、説得するため、組合員が駅信号所に立ち入った行為について、社会的相当行為として無罪を言い渡した。

 控訴審は、久留米駅事件方式により原判決破棄。

 国鉄当局は昭和40423日に職員へ闘争への不参加を局報などで呼びかけた。また、久保田駅では同駅構内および東西両て子扱所の立ち入り禁止を掲示し、担当助役が業務務命令書を手渡すなど、平常勤務の徹底を図った。

 ‥‥被告人ら四名は、いずれも管理者たる久保田駅長Kの禁止を無視して、被告人Uは430日午前220分ころ、被告人Iは同日午前三時三〇分ころ、同駅長管理にかかる同駅東て子扱所二階て子扱室に、被告人N、同Bは同日午前二時二〇分ころ同駅長管理にかかる同駅西て子扱所二階て子扱室にそれぞれ立ち入ったものであり、いずれも人の看守する建造物に看守者の意思に反して侵入したものといわざるをえない。

 ところで、最高裁判所昭和四八年四月二五日大法廷判決(註-久留米駅事件)は、「勤労者の組織的集団行動としての争議行為に際して行なわれた犯罪構成要件該当行為について、刑法上の違法性阻却事由の有無を判断するに当つては、その行為が争議行為に際して行なわれたものであるという事実を含めて、当該行為の具体的状況とその他諸般の事情を考慮に入れ、それが法秩序全体の見地から許容されるべきものであるか否かを判断しなければならない」と述べている。したがつて、建造物侵入罪の構成要件に該当する被告人らの本件各て子扱室立入り行為の違法性についても、その行為の具体的状況、その他諸般の事情を考察して、それが法秩序全体の見地から許容されるべきものであるか否かを検討して決めなければならない。‥‥被告人U、同N、同Bは、国労門司地方本部の決定した四月三〇日午前零時から正午までの間における勤務時間内三時間の時限ストを実行するため、て子扱所勤務者に勤務時間内職場集会への参加を呼びかける目的でそれぞれ東西両て子扱所に赴き二階て子扱室に立ち入ったものであるが、被告人Uは、D、М両助役、さらにはО総括助役から、被告人N、同Bは、K、N両助役からそれぞれ何回となく退去を要求されたにもかかわらずこれに応ぜず‥‥スト突入指令があるまで各て子扱室に居すわり、間もなくして到着した組合員らと共に在室の助役らを強制的に室外に排除したうえ、勤務者を連れ出しており、さらに、被告人らは、勤務時間内のストライキを実施するため、東西両て子扱室に立ち入り、退去要求に応じず助役らを強制的に排除した。これにより勤務員が職務を放棄し鉄道運行に影響を与える可能性があるにもかかわらず、被告人らは警告を無視して侵入を続けた。立入り行為は建造物への不法侵入にあたり、労働組合活動として正当化できるものではない。

  • 全林野川内営林署事件・東京高判昭61814労判481-27 (東京地判昭55・11・1訴務月報27-4-215

 庁舎内占拠 争議行為をあおり、そそのかし、実行したこと等を理由とする営林署職員らに対する公共企業体等労働関係法18条による解雇(4名)あるいは国家公務員法82条による停職(2か月2名、1か月1名)の懲戒処分が適法とされた事例

  一審抜粋要約

 昭和34620日開催された闘争委員会には、原告Kは書記長として、同KUは副委員長として、その余の原告らはいずれも闘争委員として参加し、組合員らの意向、川内分会のとるべき態度等について討議し、組合員の家族も闘争に参加させること、六月二一日総決起大会を開催すること、同月二二日から営林署本署庁舎内においてすわり込みを行うこと‥‥討議決定した。

 (六)六月二二日の行為

 同日午前820分頃、約30名の作業員がK地本委員とT川内分会執行委員らの指示により庁舎事務室内で机や椅子を壁際に移動し、座り込み用の空間を確保した。玄関前には天幕舎を設置したが、Y経理課長らが中止と原状回復を申し入れるも拒否され、「ばかやろう」と罵声もあった。その後組合員と家族約200名が庁舎内で座り込みを開始し、ビラを掲示。外では組合旗が掲げられ、天幕舎にも座り込みや闘争本部が設けられ、委員が指揮にあたった。

 すわり込みが始まると、H署長らは現場で川内分会執行委員長の原告KUに職場復帰について警告し、組合員が職場へ戻るよう指示した。また、庁舎内外の組合員にも職場復帰命令や庁舎からの退去を求めたが、組合員はこれに従わず、すわり込みを継続した。H署長の指示で業務命令書を掲示しようとしたところ、原告Kがこれを剥がして廃棄しようとした。S経営課長が取り返すと、原告Kら複数の組合員が課長を取り囲み、罵声を浴びせた。また、庁舎玄関付近に業務命令書を掲示した際も、原告KUら約20名が約10分間課長を取り囲み、「業務命令書を外せ」と脅迫した。

 ‥‥ 営林署本署における前示のようなすわり込みの状況が終日続いたため、同所に勤務する営林署管理者及び本件争議行為に参加しなかつた川内職員組合に所属する二七名の職員の登庁執務が不可能となったほか、右すわり込みにはほとんどの組合員らが各自の職場を放棄して参加したため、各作業現場、製品事業所、貯木場事務所等川内営林署のすべての職場の機能は完全に停止し、森林鉄道の運行も停止されるに至った。

(七)六月二三日の行為(略)

(八)六月二四日の行為(略)

(九)六月二五日の行為

 前日から庁舎内で座り込みをしていた約70名の組合員は、警察署長の警告を受け、刑事問題化を避けるため早朝に家族幕舎へ移動した。その後、組合員や家族約300名が引き続き座り込みを行い、管理者側は業務命令や退去・設備の原状回復などを求めたが、組合員らは応じなかった。説得の結果、一部は自主的に退去することになり、事務室の片付けと机・椅子の整頓が行われた。

その間原告Kはマイクで、「警官導入は不当である。」、「我々は退去するけれども断固として最後まで闘う。」などとアジ演説し、また労働歌の合唱指導をし、次いで原告KUが挨拶をした後自ら音頭をとつて組合員らに「川内分会万歳」などと唱和させ、その後午後一時ころから、原告Kの指示に従って組合員及びその家族らが営林署構外へ退去を開始し、午後二時ころ構内天幕舎の撤去とともに退去を完了した。しかし、組合員及びその家族らは、営林署の向いの民有地に新たに天幕舎を設置し、同所においてさらに引き続いてすわり込みを行い、闘争本部も隣接する民有車庫内に移された ‥‥

 また、貯木場事務所は、その一隔が組合事務所として川内分会に貸与されていたが、六月二二日以来、事務所内の至るところにビラが貼付され、屋根には組合旗が掲揚されるなど完全に組合員らの占拠するところとなり、その機能が停止していた。同月二五日午後三時ころ、H署長ら管理者が同事務所へ赴き、その場にいた組合員らに対し、業務命令を発出したが、組合員らはこれを無視し、さらに同月三〇日に至るまで占拠を継続した。

(二)本件争議行為の収拾について

中央本部は626日、川内分会などに対し、現在のすわり込みを中止して生産点へ戻り、今後は日給制を長期的に求めていくよう指令を出した。この指令は当日中にT副委員長から原告Kへ電話で伝えられ、629日、不満が残るものの、最終的にこの指令に従うこととなり、翌30日に当局と協議したうえですわり込みを中止し、団体交渉の再開などについて組合員全員に報告、解散した。622日以来続いたすわり込みはこれで終了した。

公労法第一八条の規定を適用した解雇処分についての判断。

 解雇の判断は、行為の内容や程度、本人の態度など諸事情を総合して決定され、社会的に著しく不当でない限り解雇は違法ではない。本件では、多数の組合員による長期間の職場占拠や機能停止、指揮や粗暴な行動など悪質性が高いため、解雇は裁量権の濫用にあたらず適法とされてよい。

‥‥争議行為が集団的組織的行動であることは原告ら主張のとおりであるとして、その集団性のゆえに争議行為参加者個人の行為としての面が当然失われるものではなく、公労法第一七条第一項違反の争議行為に参加し、服務上の規律に違反した者が、その責任を問われ、懲戒処分の対象とされることを免れないのは当然のことであり(最高裁判所昭和五三年七月一八日第三小法廷判決・民集三二巻五号一〇三〇頁参照-註全逓東北地本事件)、国有林野事業に従事する職員が公労法第一七条第一項違反の争議行為を行った場合には、国公法第九八条第一項、同法第九九条、同法第一〇一条第一項の規定に違反することとなるから、結局同法第八二条第一号に該当することとなり、さらに、行為の態様によっては、同条第三号にも該当する場合があるというべき‥‥

控訴審棄却

 現業公務員の争議行為及び右争議行為をそそのかし、若しくはあおる行為は公労法一七条一項によって禁止されており、右のそそのかし、若しくはあおる行為は、それ自体がたとえ思想の表現たる一面をもつとしても、右条項が憲法二一条に違反しないことは、最高裁判所の判例(最高裁判所昭和四八年四月二五日大法廷判決・刑集二七巻四号五四七頁)の趣旨に照らし明らかであるところ、控訴人K、同KU、同ОE、同ОМのデモ行進の指導行為は、単純なデモ行進の指導ではなく、坐込み等の争議行為を開始し継続する目的で、争議行為開始直前又は継続中に行われたものであり、組合員らに対し、その実行、継続を決意させ、又はその決意を助長する勢いのある刺戟を与えるものであるから‥‥のデモ行進指導行為が本件争議の具体的状況のもとにおいては公労法一七条一項で禁止されたそそのかし、あおり行為に該当するというべきであって、かかる行為を問責することは何ら違法ではなく、また、違憲でもない。

 控訴人らは、H署長に対する面会要求行為は、何ら業務の正常な運営を妨げるものではなく、憲法二八条によって保障された団体行動権の範囲のものであると主張する。

 しかし、H署長らは、坐込みの対策を検討していたもので、業務の遂行にあたっていたのであり、事前の連絡もなく多人数の者が面会を強く要求することは業務を妨害するものというべきであり、その態様も六月二二日午前一一時ごろ、同月二三日午後二時ごろ、同月二四日午前一〇時ごろ、同日午前一一時ごろから、それぞれ約三〇分間に及んでおり、公労法一七条一項で禁止された業務阻害行為に該当するものである

163処分 

新宿営業所の態様は威力業務妨害罪の犯罪構成要件該当行為なので、スト実践指導者の懲戒処分は加重されてしかるべき。刑事処分も視野にいれる。検討する。

2 組合中執及び本部委員のオルグ演説-不許可・退去命令

組合中執、本部委員、他の事業所勤務のスト批准投票の呼び掛け、闘争課題とその経緯を説明し組合員の意思統一を目的として、闘争戦術の説明、指令による職場離脱動員集会、三六協定拒否闘争に伴う定時退庁指令、ストライキ配置の日程などの演説であり、勤務時間中になされる(但し昼休み集会のケースもあり)、スト権投票より前の時もあるし、ストを構え闘争期間中もある。演説それ自体が、地公労法111項後段違反行為である。3割動員は当局も違法行為と認めている以上違法行為の教唆指導ともいえる。

従来管理職は、直前の役員の申し出により許諾ないし黙認しており、違法行為を著しく助長している実態にある。平成26年入札妨害事件で水運用センターОBが元職場に自由に出入りし配水管工事の最低制限価格という機密情報を入手していた問題の再発防止策として事務室は関係者以外無断立入禁止として、入室する部外者は、入口に備え付けの来室者名簿に記入することとしているが、しかし組合活動で立入る他事業所勤務や専従の組合役員は記入することはないしフリーパスであることに変わりない。

東京都においては「そそのかし」「あおり」を懲戒事由とすることはないし、管理職は地公労法111項後段を違法と認識していないように思える。昭和48年と昭和51年に判例変更された昭和44年判決の「争議行為通常随伴行為不罰論」に沿った、脱法的な労務管理をしているのは著しく不適切である。

21新方針

違法行為を抑止し、職場環境を適正良好に保持し規律ある業務の運営態勢を確保するため、執務室内勤務時間中になされる組合中執等のオルグ演説は不許可とし、中止・退去命令及び、現認検書の上申を義務づけ・監視対象とする。中止命令に従わず、実際にストが実行された場合、懲戒処分事由に加える。オルグ演説で中執を紹介して司会し、挨拶や闘争の日程を示す支部・分会役員は、職務離脱時間は賃金カットの対象とし、抗議で暴言、暴行を働いた場合は処分の量定を過重する。刑事事件にはしないとしても犯罪を成立させるべく、管理者の許容しない意思を明確に示すことを義務づける。

22根拠

○違法行為-演説そのものが、地公労法111項後段で禁止する「そそのかし」「あおり」に当たり、18条解雇、懲戒処分事由となる行為である。地公法291号、32条の適条による服務規律違反。

○職場の秩序を乱す行為-勤務時間中、事務室内で、囚われの聴衆の状況で演説がなされ職員の職務専念を妨害である。昼休みの場合でも、休憩時間をずらして勤務している職員もいるので同じことである。企業秩序をみだすおそれのある行為は、判例法や庁舎管理権により規則に依拠して規制する。

○新しい就業規則違反-それゆえ以下の規則を新設する

1 職員は、許可なく、局所施設内で、業務外の集会、演説、放送、示威行為又はこれらに類する行為を行ってはならない。

2 職員は、局が許可した場合のほか、勤務時間中に又は局所施設内で、組合活動を行ってはならない

3 職員は、職場において、他の職員の職務遂行を妨げ、もしくは職務専念を妨げる行為をしてはならない

○行政財産の目的外使用なので(地方自治法238条の47項)、不許可にできる

○管理者が許容しない意思を明確にすれば犯罪が成立する-住居侵入罪、退去命令に従わない場合の不退去罪の犯罪構成要件該当行為

 

23 処分

 ストライキが決行された場合は懲戒処分事由とする。抗議のため暴言暴行があった場合は量定を加重する。

24水道局におけるオルグ演説の実例

令和4年の杉並営業所の例(スト批准投票の前)

10月25日朝 83343分 所長が支部役員の〇〇と朝長い話、そのあと中執の〇〇が到着。833分より〇〇オルグ演説、内容は、111日スト権一票投票を告知、まず人事委員会勧告はコロナ渦と物価高で不当だなどと都労連闘争の課題を説明、局内闘争については、砧浄水場と長澤浄水場の業務移転、夜間待機が7か所から2か所にして緊急隊の業務とするのは無茶苦茶で容認できない。また営業所のTS(株式会社東京水道)業務移転も提案される可能性がある。局は全営業所移転を計画しており、警戒が必要。TS‥‥‥最後にスト権投票は高率の批准をとぶちあげて終了。そのあと司会の〇〇が、棄権が絶対ないように、当日休暇をとる人は不在者投票を受付るといったことを伝達し、終了。

 

令和5年の例(闘争期間中)

11月28日 午前83044分、支部役員の〇〇と中執の〇〇が〇〇所長に挨拶、〇〇がそこでやると指差し、〇〇所長は許諾。司会の〇〇が中執の〇〇を紹介し、〇〇が13分間演説。局内闘争の課題、墨田荒川営業所の業務移転に伴う定員削減と、他の営業所の派遣割合の削減、目黒営業所の過員を暫定とするなどの重要な闘争になると説明‥‥‥徴収サイクルの見直しによる業務繁忙の改善に不満があり121日の拡大窓口では交渉打ち切りも辞さずという意気込みで臨むなどとし、1221日にストを構え、8日の支所集会、19日のふれあいモールでの勤務時間内3割動員決起集会の告知と、19日より3日間の三六協定破棄闘争は、局に24時間態勢で業務を行うのに組合の協力がいかに必要かを自覚させるためのものと争議行為意思を表明。闘争への協力をよびかけ。最後に〇〇が125日の昼休み集会と、19日の賃金カットの動員決起集会の呼びかけなどがあり終了。

 

 平成26年の中野営業所の本部委員による業務移転非協力闘争・人事係退職派遣説明会抗議集会と説明会拒否のオルグ、説明会のピケによる妨害

2月5日勤務時間中9時25分より32分まで10時より中野営業所2階会議室で予定されている職員部の退職派遣事務説明会(一時的に民間企業に派遣されるが公務員の身分に戻る制度)抗議集会があり、まず事務室の中央で分会役員の司会でこれから抗議集会をやると宣言、本部委員の〇〇〇〇が5分ほど演説、本日の説明会には出ないよう指図、説明会は12人ほど出ている人がいたが、組合が期間で説明会には出席しないを徹底してから、西部では1人、もうひとつの会場では事務系でない2人の参加にとどまっている。退職派遣には希望しないことを徹底することで、当局を交渉に引きずり込むと言明。その後2分ほど分会役員が演説し、すでに全組合員と個別に面談し派遣に手をあげないことになっている。非協力闘争を呼びかけた。

 その後本部委員〇〇〇〇は、会場の近くの廊下でビラをもって待機、ピケを張り、職員部の業務を妨害した。

(この闘争は中野営業所の監理団体業務移転(当時PUC)の徹底抗戦で業務移転を延期させる目的の争議行為であるが、当局は争議行為と認定していない。本部委員とは本部中央闘争委員の下の活動家の役職で、東京都ではストライキが決行された場合懲戒処分は本部中央闘争委員に限定しているため、処分のおそれが全くなくオルグ、違法行為が可能な役職ともいえる)

 

25取締りの根拠となる主な判例

3)国鉄職員でも不法行為目的の鉄道地内立入は拒否できる

  • 門司車掌区3割休暇事件・福岡高判昭3532判時22110頁(福岡地裁小倉支部昭33820高裁刑集13-2-10)公務執行妨害罪 マス・ピケ。鉄道職員といえども、その職務とは全く関係なく、しかも不法な目的で、鉄道地内等に立入り、その他鉄道営業法42条違反の行為があった場合は、排除すべき必要のあることは、一般旅客公衆と何等異なることはなく、鉄道職員の身分を有する者も一般の「旅客公衆」に当ると解するのが相当であるので、鉄道公安職員が被告人らを退去させようとした行為は適法な公務の執行である(TKCの要旨)。
  • 国鉄久留米駅事件差戻後控訴審・福岡高判昭521025判時884116 

(差戻判決 最大判昭48425刑集27-3-419

建造物侵入 公務執行妨害 (マス・ピケ事犯)

被告人YО国労門司地本長崎支部肥前山口分会委員長とU国労門司地本執行委員は懲役三月執行猶予二年とする。YA国労長崎支部長崎分会委員長は棄却。鉄道公安職員にバケツで水を浴びせた公務執行妨害は事実誤認、無罪としたが、一審の懲役二月執行猶予二年の量定不当の論旨を棄却。

国労門司地方本部は同組合の特別執行委員会の指令に基づき、年度末手当に関する要求実現のため、昭和三七年三月二八日指令職場(八幡駅及び久留米駅)において、同月三一日勤務時間内二時間の職場大会を実施することにし「三月二九日門司鉄道管理局長において、闘争に参加しないよう警告を局報に掲載し‥‥久留米駅においても同月二九日午前中に駅長が列車運行上重要な施設である東、西て子扱所二階の信号所に係員以外の者の入室を禁ずる旨の掲示をするなどの対策を講じたが、組合員らはかかる警告等を無視し、YОは同月三〇日午後六時三〇分頃から多数の組合員らとともに国鉄久留米駅東て子扱所二階の信号所に通ずる階段に立ち並んでピケットの配置についたところ、鉄道公安職員による実力行使が予測されたので、右信号所に立ち入り、YAは同月三〇日午後四時頃、右信号所の勤務者(三名)に対し翌三一日の勤務時間内職場集会に参加することを勧誘等する目的をもつて、右信号所に立ち入り、被告人Uは翌三一日午前零時頃東て子扱所に赴き、組合員らに対してピケットの強化を図るためその配置などについて指導したのち、二階信号所の組合員らに情勢を説明等する目的で、同所に立ち入った‥‥ 差戻判決は、被告人三名の信号所に対する各立ち入り行為はいずれも住居侵入罪の構成要件に該当するものであり、右の争議行為に際して行なわれたものであるという事実を含め当該行為の具体的状況その他諸般の事情を参酌してみても、各所為が刑法上の違法性を欠くものでないことは明らかであるというのであつて、事実関係を同じくする限り、当裁判所も差戻判決が右に示した法律上の見解と判断に同調するものである。(公務執行妨害罪については略す)

 

4)郵政省は全逓のオルグの入局、入室の阻止を行っていた。不当労働行為とはされない

  • 盛岡・大船渡郵便局事件・東京地判昭50318訟務月報21-5-1055 

郵政職員である原告(花巻郵便局貯金課勤務郵政事務官)の行った無断入局・入室、庁内デモの指揮、話合い強要、暴力的振る舞い等の各行為が国家公務員法99条に違反し、同法82条1号、3号に該当するとされ、懲戒免職処分を適法とする。

原告は、昭和三八年一二月「一〇日午前八時すぎ(盛岡郵便局)集配課事務室に無断入室して集配課所属の外勤職員に向かつて何か声をかけていたところ、これを発見した同局庶務課長が原告に対して二、三度退去命令を発したが、これに従わないばかりか、室内にあつた補助椅子の上にあがって「集配課の皆さん」と右職員らに呼びかけ、演説口調で中央の情勢報告を始め、その際同課長が「勤務時間中だ。作業の邪魔になるから出て行って下さい。」と原告に命じたがこれを無視し、「庶務課長がここえ来て何かぶつぶつ言っている…………」といいつつなお右報告を続け、そこで同課長が文書をもつて退去を命じたが、これに対して「管理者はこのようなことをして俺たちの行動を妨害するんだ。闘争はますます長くなるけれどもがんばって下さい。」などといつていわゆる報告演説を午前八時二〇分頃までかかつて続行し、ようやく同四六分頃にいたつて出て行ったが、その間右のようにして同局における業務の執行を妨害した。

 原告は、一二日午前八時三〇分頃貯金課事務室に無断入室し、その際貯金課長が原告に退去を命じたが、これに従わず、同課長席のそばにある応接椅子に腰を掛け、同課長に対し「きのうの朝、窓口事務室で、大きな声で俺に退去を命じたことについて謝罪しろ」と申し向けて抗議をし、やがて同課職員E、K、Hらが自席を離れて同課長に対し「窓口の欠務がある。その補充をどうするんだ。課長、お前出ろ。」といい、これに対して同課長が「そのことについては、あとで命令するから、今は勤務時間中でもあるし、あなた方は、自分の席へ戻って仕事をしなさい。」と就労を命じたところ、その就労を肯んじない右Eらと一緒になって、同課長に抗議を続け、ついに庶務課長が文書による退去命令を読みあげてこれを原告に手渡そうとするや、これを受け取ることを拒み、さらに労務連絡官から退去をうながされたのにも強く反撥したりして、午前九時すこしすぎまでの間同局における業務の執行を妨害した。

 ‥‥闘争では盛岡郵便局に在籍する支部役員、分会役員を構成員とする闘争委員会が盛岡郵便局における闘争を統括し指導した。そこで、当局は、同年一二月九日仙台郵政局から数名の職員を盛岡郵便局に臨局させ、全逓のいわゆるオルグの入局、入室の阻止等に努めた

 ‥‥原告は、盛岡郵便局において、職員の勤務時間中であるにもかかわらず、その禁を破ってあえて庁舎内事務室等に立ち入った上、勤務に従事している同局職員に対し、いわゆるオルグ活動として、随所に発言し、組合員たる職員に対しては中央の労働状勢を報告し、その士気を鼓舞、激励して闘争意欲を高揚させることなどの闘争活動を執拗、強力かつ活発に展開した。

 これに対し、当局は、一方右闘争によって生ずる郵便業務の乱れに対処し、業務の正常運営を確保するため、業務を指導し局長の相談相手となり、その職務の遂行を補助すべく、仙台郵政局から係官を派遣し、右係官と盛岡郵便局の管理者において、職員の勤務状況を把握するため、随時事務室に立ち入って巡回するとともに、原告の事務室内への立入りを禁止し、これに従わないで事務室に立ち入った場合は、すかさずその退去を命ずる‥‥

 このように郵政では業務の正常運営が第一義の労務管理であるが、東京都はそうでない。

 

5)郵政省において職場放棄の慫慂目的の立入は建造物侵入罪が成立する

  • 全逓名古屋中郵事件・最大判昭5254刑集31-3-182(〇名古屋高判昭441029●名古屋地判昭39220

 郵便法79条1項違反幇助、建造物侵入 一審有罪、被告人4名罰金一万円。二審無罪。上告審原判決破棄。

被告人は全逓中央執行委員、全逓愛知地本執行委員長、執行委員2名。昭和33317日中闘指令第三七号が発せられ、20日午前830分より2時間の勤務時間内職場大会実施が指令され、他方管理者側も同月18日頃から、名古屋中央郵便局長名義で、時間内職場大会参加が郵便法七九条に違反するとの理由で、参加者は刑事処分を受けるおそれがある旨の警告文を同局正面玄関に掲示し、同月一九日には同局正面玄関及び北門入口に立入禁止のビラを貼付するなどして、組合員の職場大会参加を阻止しようとした。

第一、被告人四名は、K、N、Nらと共謀し、昭和三三年三月二〇日午前545分頃、名古屋中央郵便局東側地下第一食堂で、М9名が、それぞれ集配課外務員としての職場を放棄して、全逓名古屋中郵支部の時間内職場大会に参加し‥‥郵便物の配達をしなかった際、被告人Uが「東京中央郵便局でも午前二時職場大会に参加したから皆さんもすぐ職場大会に参加して下さい」「東京中央局では只今脱出に成功したという電話があつたから皆さんも職大に行つて下さい」「組合が責任を持つから出て行って下さい」などと、右Мらに申し向け、被告人Kも同人らに対し「東京中郵でも職場大会が行われて参加しているから職大に出て欲しい」旨を申し向け、被告人I及び同S「出て下さい」「出て下さい」などと申し向け、右Мらの右郵便の不取扱いをいずれも容易にして、もつて、これらを幇助第二、一、被告人四名は‥‥同局東側地下第一食堂へ‥‥被告人U、同K、同Iは同局正面玄関口から、被告人Sは同局北通用門入口からそれぞれ故なく侵入し

二、被告人U、同K、同Iは右同日午前七時三〇分ごろ、宿直勤務者で未だ職場大会に参加していない者を参加させる任務を帯びた約20名の組合員の指導者となって、同局作業棟三階普通郵便課続いて同二階小包郵便課作業室に、同局正面玄関口から故なく侵入したものである。

建造物侵入罪の上告審の判断

本件、建造物侵入は争議行為そのものでなく、久留米駅事件方式と同じく意識的に区別し、争議行為に付随する行為という範疇になる。

「公労法一七条一項に違反する争議行為が刑法その他の罰則の構成要件に該当する場合には、労組法一条二項(刑事免責)の適用はなく、他の特段の違法性阻却事由が存在しない限り、刑事法上これを違法と評価すべきものであるが、そのことと、右の争議行為に際しこれに付随して行われた犯罪構成要件該当行為についての違法性阻却事由の有無の判断とは、区別をしなければならない。すなわち、このような付随的な行為は、直接公労法一七条一項に違反するものではないから、その違法性阻却事由の有無の判断は、争議行為そのものについての違法性阻却事由の有無の判断とは別に行うべきであって、これを判断するにあたっては、その行為が同条項違反の争議行為に際し付随して行われたものであるという事実を含めて、行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、それが法秩序全体の見地から許容されるべきものであるか否かを考察しなければならないのである。

 これを本件における建造物侵入の行為についてみると、被告人らは、公労法一七条一項に違反する争議行為への参加を呼びかけるため、すなわち、それ自体同条項に違反するあおり行為を行うため、立入りを禁止された建造物にあえて立ち入ったものであつて、その目的も、手段も、共に違法というほかないのであるから、右の行為は、結局、法秩序全体の見地からみて許容される余地のないものと解さざるをえない。」

 

6)郵便局舎に夜間に立入りビラを貼る行為は分会長の宿直が許可しても建造物侵入罪が成立する

  • 仙台高判昭6123判時1194-150 全逓釜石支部(大槌郵便局)事件差戻後控訴審

(差戻判決最判昭5848刑集37-3-215 建造物侵入罪 被告人両名罰金八〇〇〇円

 被告人K(全逓釜石支部書記長)、同S(全逓釜石支部青年部長)の両名は、七三年春闘に際し、組合員Sほか五名と共謀のうえ、昭和四八年四月一八日午後九時三〇分ころ、岩手県上閉伊郡大槌郵便局局舎内に、同組合の情宣活動の一環として、管理権者たる同局長Nの許諾を得ないで、「大巾賃上げ」「スト権奪還」などと記載されたビラ多数を貼付する目的で、同局長の意思に反して土足のまま立ち入り、それぞれ人の看守する建造物に故なく侵入したものである。

  刑法一三〇条前段にいう「侵入シ」とは、他人の看守する建造物等に管理権者の意思に反して立ち入ることをいうと解すべきである。そして、管理権者が予め立入り拒否の意思を積極的に明示していない場合であっても、該建造物の性質、使用目的、管理状況、管理権者の態度、立入りの目的、動機、経緯、態様等からみて、現に行われた立入り行為を管理権者が容認していないと合理的に判断されるときは、他に犯罪の成立を阻却すべき事情が認められない以上、同条の罪の成立は免れないと判示している。

 

7)争議権のある私企業でも就業規則や労働協約を整備すれば端的に施設管理権侵害というだけで経営内の行動は規制できる

 

  • JR東海・鳥飼車両基地事件・大阪地判平10331労判742-44 

本件2名JR東海労新幹線地方本部大阪第三車両所分会書記長と副委員長の解雇処分は、会社の許可なく会社施設内に侵入・滞留して会社の施設管理権を侵害し、暴行暴言をなし、管理者に傷害を与え、器物を損壊等し、もって職場秩序を著しく紊乱しており、債務者の懲戒事由に該当し、債権者らは、それに応じた懲戒処分を受けざるを得ず、社会通念上合理性を欠くとはいえず、懲戒権の濫用があったとはいえないと判示する。

 争議権のある私企業でも、労働協約で争議行為中の構内立入禁止、就業規則で無許可会社施設内組合活動が禁止されている場合、違反行為は施設管理権侵害となり、懲戒事由となることを示している。

 

4)福岡中央郵便局長が、春闘総決起集会のため構内に立入る約300名の入構を阻止する措置をとったことは適法かつ正当である

  • 公務執行妨害事件・福岡地判昭50226刑裁月報72116 

被告人 全逓福岡中央支部書記長(事件当時)のち支部長 懲役六月 執行猶予二年

福岡中央郵便局長が、春闘に際し全逓福岡地区本部青年婦人部のデモ隊300名の解散集会が中央郵便局中庭で行われることを予期し、構内に立ち入ることを阻止する措置をとったことは適法で正当としたうえで、デモ隊先頭の宣伝車運転手に向かって入構禁止を叫んだ郵便局次長への暴行であるの第一の犯行については公務執行妨害罪を認めるが、第二の犯行、組合員2名の年休申請不承認をめぐる集団抗議の解散退去命令の発付はその権限を濫用してなされ無効なので公務執行妨害罪の構成要素を欠き、暴行罪の成立を認める。

(第一の犯行に至る経過)

 昭和四四年四月一〇日夕方、全逓福岡地区本部青年婦人部が春闘の一環として福岡市荒戸町の福岡地方簡易保険局前において春斗総決起集会を開き、引き続いて天神四丁目の福岡中央郵便局まで集団示威行進を行うこととなった。これに対し、福岡中央郵便局長Nは、参加者らが許可なく郵便局構内に集団で立入り集会等を行うことを予期し、庁舎管理権に基いてこれを防止する措置をとることとし、同日、「庁舎および敷地内の集会やデモは、許可しておりませんので、直ちに、解散して退去して下さい。」と記載した立看板を郵便局通用門付近に置き、また、郵便局次長Kはじめ各課長らに示威行進の参加者らの同郵便局構内への立入りの制止、現に立入って集会など開いた者への解散退去命令の発付などを指示し、具体的状況に応じて必要な措置をとる権限を与えた。組合側は、同日午後五時半ごろから全逓組合員ら三〇〇名位が福岡地方簡易保険局前に集って予定どおり集会を行い、引き続いて集団示威行進に移ったが、立入りの制止等の措置にあたることとなった郵便局次長Kら同郵便局管理職員二〇数名は、情報を受けて警戒体制に入り、同日午後七時過ぎ、4.8mの通用門の内側に境界柵と平行の一列横隊を作って立ち並び、同所の通行を一時的に遮断する措置をとったが、開閉する引戸は開いたままだった。

被告人は、仲間ら二〇数名とともに通用門に駈けつけ、K郵便局次長の作る横隊の中央部にくさびを打ち込むような形でこれを右中庭奥の方へ押し始め、このため管理職側が後退して二つに分断されたのち、その内側に二列縦隊を作ってこれと相対峙し、管理職員が通用門に近づくのを阻止するため半円形の逆ピケッティングを張った。

(第一の犯行)

午後七時一五分過ぎごろ、全逓組合員ら三〇〇名位の隊列がニュースカーを先頭にして右通用門にやって来て、ニュースカーが通用門から中央郵便局中庭にその車体を乗り入れるや示威行進参加者らの同郵便局構内への立入りの制止、現に立入った者に対する退去命令の発付等の職務に従事していたK郵便局次長が組合側の逆ピケッティングの間を走り抜けてニュースカーの直前に立ち、両手を広げてその進行を制止する姿勢をとるとともに大声で入構を禁止する旨運転手に向って叫ぶに至ったため、被告人は、次長Kに対し、右斜め側面からその体に強く一回体当りし、よろめいたものの立ち直って再び前進行を制止しようとした同人の右側面から再度その体に一回体当りする暴行を加え、もって同人の職務の執行を妨害した。

(第一の事実について)

弁護人は、福岡中央郵便局構内において解散集会を行うことは、正当かつ必要な組合活動であったのであるから、構内立入りを禁止したことは組合の団結権に対する侵害であり、公務執行妨害罪は成立しない旨主張する。

‥‥三〇〇名位の多数が‥‥デモ隊列のまま同郵便局中庭に入って集会をしようとしたものであり、一方、組合側で右解散集会を開くについて庁舎管理者に許可の申請すら行っていないこと、本件時刻は午後七時過ぎごろとはいえ、当時同郵便局内においては他の職員らによって速達業務その他の業務がなお行われていたこと、また同郵便局中庭は昼夜を問わず郵便物逓送用の自動車がひんぱんに出入りする場所であることなどが認められるから、同郵便局局長Nが庁舎管理権に基ずき右庁舎管理規程による全逓組合員らの構内立入り禁止の措置をとったことは、もとより適法かつ正当である。したがって、K次長がN局長の命を受けてした示威行進参加者らの構内立入りの制止等の行為が公務員の適法な職務執行であることはもはや議論の余地なく明らかであり、さらに被告人の第一の暴行行為が右職務の執行の妨害となることもいうまでもないから、本件において公務執行妨害罪の成立が認められるのは当然である。

 

6 闘争指令下の本庁・支所・合理化拠点の動員決起集会-不許可・解散命令

 これは大衆行動と称する戦術で、ストライキ配置以前からなされるが、ここでは闘争指令下でストライキ参加意思を鼓舞し、その闘争意思を堅固にするための目的で開催される決起集会にしぼる。大抵の場合勤務時間中午後に行われる。

当局は2割動員については有給休暇、時間休をとって参加を認め、3割動員は年間34回はあり、大きな闘争のあるときは回数が多くなるが、当局は争議行為そのものと認定し賃金カットする。賃金カット分は組合が闘争資金から補償しているが、もともと組合費として払った金額の一部が戻るだけである。

 内容は昼休み集会と同じ形式と考えられる。基調報告、交渉経過報告、組合員代表決意表明、決議文朗読、採択、鯨波、頑張ろう三唱でしめくくる。平成1213年ごろの千代田営業所では庁内デモ行進も引き続いて行われた。

… 支所集会の場所は、私が知る限り、東一支所(平成初期)が、正面玄関前ロータリー、中央支所(平成中期)は裏手の来客用駐車場、西部支所(近年)は半地下業務用駐車場奥ターンテーブル付近。

 近年私自身が目撃した、支所・合理化拠点集会(2割動員のケース)

西部支所(西部建設事務所や杉並営業所等も同居の和泉庁舎)では令和4年は12月13日午後4時40分頃まで業務用半地下駐車場ターンテーブル周辺で集会があり、20名程が参加し、机を持ち込み演壇として、組合旗やビラ貼りがある状況で、経営プラン云々という最後の部分の演説と、団結用意の掛け声があって頑張ろう三唱の締めくくりの部分を現認した。

令和6年12月6日午後3時30分からの2割動員決起集会は、やはり業務用半地下駐車場ターンテーブル周辺で集会があり、50名程が参加し、机を演壇として、組合旗2つとビラ貼りがある状況でなされてい

東一支所や中央支所のケースではおびただしい数のビラ貼り、立て看板設置、組合旗多数の掲出がみられる。本庁前の集会を監視したことはないが、宣伝車が乗り込み、幟や組合旗が多数みられる。集会参加者は鉢巻きやゼッケンなど着用する。

 来客用や業務用の駐車場を占拠してなされることはそれ自体、業務運営を阻害しているともいいうる。

本庁の集会は以前第二本庁者と新宿NSビルとの間にある半地下空間だった。都庁やNSビルの通行妨害になる形で行われ、ホームレスが雨宿りする処でもある(右写真は平成243231741分都労連退庁時間後の決起集会)。組合集会が特権的に許されていたが、現在はふれあいモールに移動している、移動の経緯は不明である。

平成16年の業務手当闘争では第二本庁者になだれ込み、庁舎内デモや庁舎内座りこみも行われた。監視や警備する管理職も見当たらず無防備であった。たまたま交換便業務で本庁に出張したさい目撃した。現在はテロ対策等でセキュリティゲートもできたため庁舎内を練り歩くことは困難と思われる。

なお、ふれあいモールは公開空地だが、本庁舎の敷地内であるから、東京都主催のイベントで使用されるかもしれないが、政治・市民団体等の街宣や抗議集会は道路占用許可をとって公道上でなされるのであって、ここを使用されることはなく排除されているはずで、労働組合、職員団体が特権的に利用している場所といいうるのである。

平成16317日公営企業委員会で次のようなやりとりがあった。

〇後藤委員 ‥‥この写真なんですけれども、38日、これも同じく練馬の北部支所なんですけれども、集会を組合の方たちがやっています。これは水道局の方から確認をとったんですけれども、この集会に関しては事前に届け出があったのかどうか。

○東岡職員部長 北部支所では、38日、お客さまセンター設立反対等と称しまして、営配営業、配水という意味ですけれども、営配庁舎合同集会が本部指令に基づいて行われました。これは1715分から1815分ということで、勤務時間外で約90名が参加して駐車場で行いました。事前の許可手続はとっておりませんでした。

今後は、各事業所に対しまして、集会などを持つ場合には、事前に庁舎管理規程に基づく許可申請を行って、了解をとった上で実施するよう指導を徹底していきます。39日に、庁舎管理の徹底についてということで周知徹底を図ったところです。

 90人集まったということだが、定時退庁時間にピケを張って、強引に職員を集会参加に引き込む闘争だったのか私はよく知らない。定時退庁時間後の集会は珍しいケースといえる。

東岡職員部長は、今後許可申請を出させるようにすると都議の質問をかわしている。組合は受忍義務があるとして組合が集会の許可申請など出すはずはないし、私は日常的な組合活動についての便宜供与を否定しないが、組合が庁舎管理規程にもとづく申請をするという例を知らない。管理職は黙認し監視も指示されてない。

問題は手続ではなく、春闘の闘争期間の集会であり、集会の内容が地公労法で違法な「あおり」「そそのかし」そのものであり、ストライキ参加の意思を統一し、志気を鼓舞するものである以上、許可申請を出す出さないにかかわらず、不許可、中止・退去命令すべきなのである。

行政財産の目的外使用不許可の裁量処分(地方自治法238条の47項)という観点でも不許可ができる。

61 新方針

勤務時間内外いかんにかかわらず庁舎構内は不許可。中止・退去命令を徹底する。3割動員は職場復帰命令をする。現認・監視対象とし演説者等記録する。国の官庁と同じく、組合がストライキを配置し、闘争態勢をとった時点で、庁舎構内の組合活動の便宜供与はいっさい行わない。その際、スト対策本部の非組合員を動員して監視、写真撮影、録音などにあたらせてよいものとする。

今後、このような集会は労働組合が自己の負担及び利益において開催するものとする。庁舎管理権の及ばない、公園や集会施設の開催も監視の対象としつつも中止命令まではしないが、三割動員やスト集会の場合は職場復帰命令をしてもよいだろう。道路専用許可をとったうえでの街宣デモ行進は、他の市民団体、政治団体と同じ条件なので当局は関与しない。

62 新方針の根拠

 2割動員集会については、演説者について地公労法111項の後段違反(「そそのかし」「あおり」)

 3割動員集会については参加者全員が、地公労法111項が禁止する争議行為、演説者については111項後段違反。地公法291号、3号、32条、33条、3割動員については292号、35条適条の服務規律違反。

 庁内管理規程第五条9号、10号、11号、13号

1)違法行為 当局は3割動員を争議行為として認定している。たぶん、佐教組事件.最判昭46.3.23刑集2521103.3.4割休暇闘争を争議行為としているためと推定している。これは地公労法111項の前段の違法行為である。

しかし、同条項後段の違法行為でもある。争議行為として認定していない2割動員集会を含め、地公労法111項後段に違反する「唆し」「あおり」そのものであり、ストライキに向けて士気を昂揚、鼓舞し、組合員の意思統一を図るべくなされるものであるから、国の官庁と同じく、組合がストライキを配置し、闘争態勢をとった時点で、庁舎構内の組合活動の便宜供与はいっさいやらないのが筋。許可すれば当局が違法行為を助長したことになるからである。これは公物たる庁舎の存立を維持し公務の円滑な遂行を図るため、その庁舎につき合理的・合目的的な秩序を定立し、公務員その他の者に対してこれに服することを求めうべく、その物的施設を許諾された目的外使用を規制する権限(庁舎管理権)にもとづいて、端的に地公労法1111項後段違反の行為がなされるおそれのある行為を不許可、中止・解散・退去命令を行う。

2)地方自治法238条の47項の行政財産の目的外使用により不許可が妥当な事案。

3)建造物侵入罪

支所集会には他の事業所の水道局の組合役員、組合員、下水道局の組合員も動員されるが、このうち演説や鯨波の音頭取りをする組合役員については地公労法111項後段の違反が明白であるから、建造物侵入罪や不退去罪を成立させるよう、管理者の管理意思を明確にし、中止命令、監視を行う。

名古屋中郵判決の判断枠組により犯罪は成立すると考える。全逓名古屋中郵(第二)事件・最二小判昭53.3.3刑集32297香城敏麿判解は、名古屋中郵事件大法廷判決を次のように要約した。

(イ)公労法一七条一項違反の争議行為が罰則の構成要件にあたる場合には、労組法一条二項の適用はなく、他の特段の違法性阻却理由がない限り、刑事法上これを違法とすべきである。

(ロ)但し、右の争議行為が単なる労務不提供のような不作為を内容とするものであって、公労法一七条一項が存在しなければ正当な争議行為として処罰を受けないようなものである場合には、その単純参加者に限り、当該罰則による処罰を阻却される。

(ハ)これに対し、公労法一七条違反の争議行為にあたらず、これに付随して行われた犯罪構成要件該当行為の場合には、その行為が同条項違反の争議行為に際して行われたものである事実を含めて、行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、法秩序全体の見地から許容されるべきか否かを考察してその違法性阻却事由の有無を判断しなければならない。水道局は地公労法111項だが公労法171項と別異に解釈する理由はない。

決起集会のため庁舎構内に勝手に侵入してくる組合役員について3割動員は(イ)と(ハ)に該当し、2割動員は(ハ)に該当する。業務上もしくは支所所轄の用務で庁舎構内に入所したものではなく地公労法111項違反行為という違法行為目的のためであるから、違法性が強く推定され、違法性は阻却されないと考える。刑事事件とせずとも犯罪構成要件該当行為にするため管理意思を明確にすることが肝要。ただし、都庁構内ふれあいモールの集会は敷地内だが、外部の者が自由に立ち入れる公開空地のため判断を留保する。

63新規則違反 

1 職員は、許可なく、局所施設内で、業務外の集会、演説、放送、示威行為又はこれらに類する行為を行ってはならない。

2 職員は、局が許可した場合のほか、勤務時間中に又は局所施設内で、組合活動を行ってはならない

4 職員は、勤務時間中に又は局所施設内で上司が認める業務外の徽章、胸章、腕章等を着用してはならない(解釈としては、ゼッケン、鉢巻、プレート、ワッペン、バッジ、政治的文言等のプリントされたTシャツの着用を含める)

5 職員は、庁舎、局施設構内において、許可なく業務外の目的で車両・旗・幟・拡声器・プラカード・横断幕・立看板・テントその他危険物を持込んだり、設営してはならない。又、許可なく業務外の目的で、泊まり込み、座り込み、通行規制、練り歩き、集団行進をしてはならない。

6 職員は、庁舎、局施設のその秩序維持等について庁舎管理規程に基づく庁舎管理者の指示に従わなければならない。

7 職員は、同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する一切の行為をしてはならない。また、職員は、このような禁止された行為を共謀し、そそのかし若しくはあおってはならない。

65 処分

 中止・解散・退去命令に従わず、登壇して演説した者、鯨波の音頭をとつた者は、ストライキが決行され場合、「唆し」「あおり」を行った者として、懲戒処分事由とする。監視、写真撮影等を行う。刑事処分については検討課題とし、さしあたり管理意思を明確にして、犯罪を成立させることが肝要と考える。

10 スト待機-深夜未明の滞留不許可

101 スト待機とは

 全水道東水労は年間34回はストライキを配置し闘争する。スト配置というのは組合用語だがその前日を最終回答日として闘争する日程のことである。前回のスト決行が令和元年であるから、ストを回避することが多いのではあるけれども令和五年度は4回、11月、12月、1月、3月に配置された。スト前日は当局の最終回答を受けて、中央委員会が開催され、そこでストライキを回避するか、決行するかの判断がなされるが、早い場合は午後7時、遅いと深夜、未明にまでずれこむことがある。

 組合はスト前日の夜から当日の朝方にかけて、各事業所に役員を待機させ、指令の組合員への伝達、スト集会準備などをさせることになっている。

 スト前日の夜から当日は三六協定を破棄しているので、職員一般は締め出されるが、組合役員はスト待機という任務ゆえ、深夜、未明に事務室内に滞在、ないし出入りをすることが認められている。

  杉並営業所では、次のような事件があった。

令和41222日スト配置日に早朝中央委員会報告があり組合分会長兼中央委員〇〇が演説し、そのあと朝、所長、営業担当課長代理、営業係の庶務担当〇〇、3者で深刻な話をしていたので何かと思ったら、昨日スト待機でセキュリティに不具合、所長と〇〇が1階はいいが234階で不具合との話をしていた。そのあと、別の組合役員と20分ぐらい〇〇が話、その前に、〇〇とも話、四時十分、四時三十分と言っていた。そのころ〇〇が侵入したのが原因らしい。〇〇は警報もならなかったので問題ないと思っていたなどと話していた。

 要するに、〇〇がスト待機で、未明の4時すぎに事務所入り、何をセキュリティ破りの操作をしたので機器に不具合が生じた。

 当局はスト待機を組合の業務として全面的に支持し、セキュリティ破りも認めているのである。

102新方針

深夜未明であれ、業務のため災害時などの召集なら話は別であるが、スト関連組合用務のための事務室深夜未明の立入は庁舎管理権の行使により拒否、刑事処分も検討する

スト待機の主要な目的が指令伝達とストが決行された場合のスト準備であり、地公法111項違反の違法行為を目的とするものゆえ、目的外使用であり、事務室利用の便宜供与を認めることは違法行為の支援、助長であるから、事務室立ち入り拒否すべきである。パトロールをして現認、退去命令する。新規則では無許可組合活動は勤務時間外でも禁止しているので対応できるので、スト待機を禁止する。

むろん24時間稼働している部署では深夜でも出入りできるのであるが、警備会社と契約しセキュリティを稼働している部署のセキュリティ破りは建造物侵入罪を成立させるべきである。

103先例

指令伝達は地公労法111項後段の「そそのかし」「あおり」に当たり、違法行為のためにセキュリティ破りまで認めて許可する理由はなく、スト準備も認める必要もないわけである。

地公労法111項違それ自体には罰則規定はないが、労組法12項の刑事免責が適用されないことは、指導判例である全逓名古屋中郵事件判決・最大判昭52.5.4により明らかなことであり、これは公労法判例だが地公労法違反のストライキを別異に解する理由はない。

全逓名古屋中郵(第二)事件・最二小判昭53.3.3刑集32297香城敏麿判解は、名古屋中郵事件大法廷判決を次のように要約した。

(イ)公労法一七条一項違反の争議行為が罰則の構成要件にあたる場合には、労組法一条二項の適用はなく、他の特段の違法性阻却理由がない限り、刑事法上これを違法とすべきである。

(ロ)但し、右の争議行為が単なる労務不提供のような不作為を内容とするものであって、公労法一七条一項が存在しなければ正当な争議行為として処罰を受けないようなものである場合には、その単純参加者に限り、当該罰則による処罰を阻却される。

(ハ)これに対し、公労法一七条違反の争議行為にあたらず、これに付随して行われた犯罪構成要件該当行為の場合には、その行為が同条項違反の争議行為に際して行われたものである事実を含めて、行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、法秩序全体の見地から許容されるべきか否かを考察してその違法性阻却事由の有無を判断しなければならい。

名古屋中郵事件の建造物侵入の行為は(ハ)にあたる。「被告人らは、公労法171項に違反する争議行為への参加を呼びかけるため、すなわち、それ自体同条項に違反するあおり行為を行うため、立入りを禁止された建造物にあえて立ち入ったものであって、その目的も、手段も、共に違法というほかないのであるから、右の行為は、結局、法秩序全体の見地からみて許容される余地のないものと解さざるをえない」と結論している

スト待機は、争議行為そのものではないがそれに付随する行為、争議行為目的なので違法性を阻却する余地はないことなる。

ちなみに、建造物侵入罪については、全逓釜石支部大槌郵便局事件.最二小判昭58.4.8刑集373215が、管理者側に有益な先例といえる。「刑法130条前段にいう「侵入シ」とは、他人の看守する建造物等に管理権者の意思に反して立ち入ることをいうと解すべきであるから、管理権者が予め立入り拒否の意思を積極的に明示していない場合であっても、該建造物の性質、使用目的、管理状況、管理権者の態度、立入りの目的などからみて、現に行われた立入り行為を管理権者が容認していないと合理的に判断されるときは、他に犯罪の成立を阻却すべき事情が認められない以上、同条の罪の成立を免れないというべきである」とする。

このため、私の提案では新規則に勤務時間外であれ無許可組合活動を禁止事項としているので、規則制定と周知だけでも管理者が容認してないと判断できる。そのうえに、当局が管理意思をアナウンスする。災害時対応等の緊急の場合を除き、深夜未明のセキュリティがかかった時間帯の事務室の無許可出入りを禁止することを職務命令すべきである。現状では、庁舎管理者がスト待機を知っていながら容認しているので犯罪が成立しない。

104根拠 

スト待機の重要な目的が指令の伝達なので違法行為である地公労法111項後段の「唆し」「あおり」の恐れがあるという理由により、規律ある業務運営態勢を維持する当局の施設管理権にもとづく。

地方自治法238条の47項により行政財産の目的外使用として不許可としてもよい。

新規則2 職員は、局が許可した場合のほか、勤務時間中に又は局所施設内で、組合活動を行ってはならない。

105 処分

無許可立ち入りを現認したうえ、ストが実行された場合は懲戒処分事由とする。十分な証拠の確認のもとに刑事処分検討(住居侵入罪)。

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