11138 増井和男 北九州市清掃事業局小倉西清掃事務所事件調査官解説 昭和63年度民事
11139 渡辺裕「単労職員の争議行為-北九州市清掃事業局事件」『昭和63年度重要判例解説』1989
11140北九州市清掃事業局事件福岡高判昭57・4・27 判タ473
11141北九州市清掃事業局事件福岡地判昭51・7・22 判時837
11142北九州市清掃事業局事件137号事件評釈 判例地方自治59 1989
11143北九州市清掃事業局事件130号事件評釈 判例地方自治60 1989
11144大分人勧スト処分取消訴訟福岡高判平12・10・6 判タ1108
11145大久保史郎「人事院勧告の実現を求める争議行為と憲法28条」『平成12年年度重要判例解説』2001
11146全農林82秋季年末闘争事件最二小平12・3・17判時1710、裁判所ウェブサイト
11147道幸哲也「人事院勧告の完全実施を求める争議行為の適否」『法学セミナー』434 1991
11148全農林82秋季年末闘争事件平元10・31判時1331
10108-10畠山武道「判批」(全逓東北地本事件判決)「服務違反事例(国家公務員法九九条の解釈)」『公務員判例百選』1986 134頁
10108-11籾山錚吾「判比」(全逓東北地本事件判決) 『公務員判例百選』1986 181頁
11149全逓名古屋中郵第二事件名古屋高判昭45・9・30刑事裁月報2-9-951
11150全逓名古屋中郵第二事件名古屋地判昭39・3・20判時383
11151「判批」(全逓名古屋中郵第二事件)『法律時報』50-6 1978
11152佐藤昭夫・丸山敏行「判批」(国労尼崎駅事件控訴審)「公労法違反争議とピケの正当性」『季刊労働法』93号 1974
11153国労尼崎駅事件最一小判昭52・10・20刑事裁判資料230-812、裁判所ウェブサイト
11154全逓名古屋中郵第二事件最二小昭53・3・3刑集32-2-97、判時878、裁判所ウェブサイト
11155動労糸崎駅事件広島高判昭48・8・30判タ300
11156動労糸崎駅事件広島地判昭43・2・26下刑集10-2-195
リトル著児島訳『自分の価値を最大にするハーバードの心理学講義』大和書房2016年という軽い本を読みましたが、セルフモニタリングの高い人、低い人というのが出てくる。前者は空気が読める人、状況によって行動できる人で出世しやすいと説明されている。
自分は後者だと思った。行動は性格に大きく影響されている。基本的に場に合わせるのが嫌い、通俗道徳が嫌い、空気を読んで行動するのは恥と考えるたち、自己の価値観に忠実に行動するのが最善である。信念に従っていくしか選択肢がない人間。
そもそもヘイトスピーチ規制を安倍政権に依頼したのが舛添都知事だったので、ヘイトスピーチ規制反対に及び腰だったことは率直に言って反省している。ただ今年は自分が一番やりたいことをやるつもり。
110083 全日本検数協会名古屋支部解雇事件(全港湾名古屋支部全検分会事件)控訴審名古屋高判昭46・4・10 労民22-2-453 判タ261 裁判所ウェブサイト
本件は、昭和40年11月13日時間外労働拒否が争議行為にあたると判示した。それが政治ストと認定されたため、正当性の限界を超えるとされたので、全港湾東海地方名古屋支部全検分会執行委員数名の解雇理由として是認した一審の判断を維持した判決(控訴棄却)である。
時間外および休日労働の協定は昭和41年3月31日まで有効であり「時間外および休日労働が今日港湾の実状であり常態であることに鑑み、検数およびその他の業務がその必要を生じたときは同法第三二条、第三五条の各規定にかかわらず、時間外および休日労働に従事する。ただし従業員の健康および著しく福祉を害するものについては、この限りでない」とされていた。
ところが、全港湾名古屋支部は「日韓強行採決の暴挙に対し厳重抗議するとともに、既定方針どおり戦え」の指示を発し、さらに名古屋支部は全検分会に対し「冬季一時金要求貫徹、不当処分反対、日韓条約反対のため‥‥11月13日全組合員は残業を拒否し、県民大会の統一行動に参加せよ」との指令を発した。分会幹部は名古屋支部執行委員長名義で「時間外及び休日労働に関する協定破棄通告書(一三日午後五時以降一四日始業時まで)」を全検協会に提出し、日韓条約批准阻止中央集会および引続き行なわれるデモに参加する時間外労働を拒否したのである。
裁判所は「本件時間外就労拒否闘争は名を冬季一時金獲得、不当解雇反対および日韓条約粉砕に藉りながら、実は日韓条約反対の意思を政府、国会に対して表明することのみを目的とした争議行為である」と認め、「使用者によつては如何ともなし難い政治的要求を掲げて争議行為、特に就労拒否をすることは、少なくとも使用者に対する関係において右諸規定の保障する争議行為としての正当性の限界をこえるものと言わざるを得ない(最高裁昭和四一年一〇月二六日判決、刑集二〇巻八号九一三頁参照)。」としたのである。
本件は争議権のある組合であるから、時間外労働拒否は政治目的でなければ合法的な争議行為ということができそうだ。しかし、この判例の理屈からすると、地方公営企業の組合が期間の定めのある三六協定を期間中に一方的に破棄する事態は政治ストでなくても争議行為それ自体が違法であることから、問題があると考える。
以下判決の抜粋
三、時間外就労拒否について
(一) (略)
(1) 昭和四〇年六月当時控訴人名古屋支部従業員の一部は全検分会の組合員であり、他の一部は申請外全日検労働組合名古屋の組合員であり、更に他の一部はいずれの組合にも属しておらず、右いずれの組合員数も過半数に達していなかつたが、右二組合の組合員数を合算すると優に過半数を占めていたところ、被控訴人は同年五月二四日右全日検労組名古屋の代表者たる執行委員長P25と、また同年六月
六日全検分会組合員の代表者たる全港湾名古屋支部執行委員長P26と、それぞれ同年四月一日付書面による時間外労働・休日労働に関する協定を締結すると同時に、同年五月二四日付書面による賃金協定および昭和四〇年度賃金協定に関する覚書を締結、交換した上、同年六月九日所轄労働基準監督署長に対し労働基準法第三六条に基づく協定(三六協定)の届出をした。
右時間外労働・休日労働に関する協定書には、同条に基づく協定である旨の前文に続き「時間外および休日労働が今日港湾の実状であり常態であることに鑑み、検数およびその他の業務がその必要を生じたときは同法第三二条、第三五条の各規定にかかわらず、時間外および休日労働に従事する。ただし従業員の健康および著しく福祉を害するものについては、この限りでない」旨ならびに該協定の有効期間を昭和四一年三月三一日までと定める旨の記載が存し、右賃金協定書には一箇月の時間外勤務時間を五〇時間とし、それに満たない者に対して不足時間に応じ時間外保障手当を支給する旨、および時間外労働に対する報酬額に関する規定が設けられ、また右覚書には各支部において時間外労働協定を締結した後は理由なく時間外勤務を拒否することができない旨、および理由なく時間外勤務を拒否することが屡々に及んだ場合には時間外保障手当の支給を停止することができる旨が記載されている。
(2) 同年一一月一三日午前中に開催された前記執行委員には控訴人P1を除く控訴人ら全員が出席し前記指令につき討議した結果、右指令に従い同日午後五時以後の時間外就労予定者は同時刻以後の残業を拒否すること、ならびに全分会員は同時刻集合の上午後六時名古屋市東別院広場で開かれる愛知県民会議主催の日韓条約批准阻止中央集会および引続き行なわれるデモに参加することを闘争方針として決定し、組合員(前記四日市、P14の各港勤務者を除く)の投票を求めた結果投票者の八九・六%の賛成を得たので、組合掲示板に前記全港湾名古屋支部よりの指令を記載した掲示と並べて日韓条約粉砕のスト権が確立した旨を掲示し、控訴人P15および同P16は同日前記P18課長心得に対し「時間外及び休日労働に関する協定破棄通告書(一三日午後五時以降一四日始業時まで)」を提出したが、同人から理由を付してほしいと要請されたので、更に全港湾名古屋支部執行委員長名義の「冬季一時金要求、不当処分撤回、日韓条約批准反対」の三要求を理由として記載した時間外拒否通告書を提出し、また控訴人P1を除く控訴人らは手分けをして各分会員にスト指令のビラを配布した上、同日午後五時過ぎ、参集した組合員を指揮して名古屋市内のデモに参加した。
(3) その結果同日時間外就労をすべき者五九名中四二名が時間外就労を拒否したので、被控訴人は急拠管理職者を動員し、主席検数員一八名およびハツチ検数員数名分の穴埋めをし、ハツチ検数員五名分については相手方(被控訴人が荷主から検数の依頼を受けたときは船主。船主から検数の依頼を受けたときは荷主。)の依頼する他の検数業者にその検数を依頼し(通称ダブリ検数)、その他のハツチ検数員の不足分は「かけもち」や非組合員の協力を得て急場をしのいだが、作業上混乱を生じ、後日得意先から抗議を受け、信用を失墜した。
(4) 分会執行委員会は右時間外就労拒否(残業スト)の目的として前記のとおり冬季一時金、不当解雇撤回、日韓条約粉砕の三要求の貫徹を掲げたが、当時冬季一時金については全港湾本部へ申し入れをしただけで、未だ被控訴人の回答を得ていなかつたから、闘争に突入する段階に至つていなかつたものであり、不当解雇反対の闘争はすでに繰返されていて、右の時点においてあらためて争議に持ち込む必要性はなく、前記のとおり全港湾本部からの指令は日韓条約粉砕のみを目的とし、分会内部でのスト賛否投票も同一目的についてのみ実施され、時間外就労拒否の主要目的は名古屋市内で開催される日韓条約批准阻止のための統一行動に参加することにあつたと認められ、分会幹部による前記時間外就労拒否通告書の提出も被控訴人の職制に促されて右三要求を記載したにとどまるから、これをもつて被控訴人に三事項につき要求または抗議をしたものと認めることはできず、その他本件全疏明によつても分会が当日被控訴人に対し右三事項につき(冬季一時金、不当解雇反対のみならず、日韓条約粉砕についても)要求または抗議をした事実を認めえない。
したがつて右時間外就労拒否闘争は専ら政府および国会に対し日韓条約批准反対の意思を表明し、これを阻止するための示威に参加することを目的としてなされたものと認めるほかない。
(二) 三六協定の拘束力について
控訴人らは労働基準法第三六条に基づき労使間に締結される協定は本来使用者に対し免責的効果を付与するのみであつて、労働者に対し時間外就労を義務づける拘束力を有するものではない旨主張する。しかし、本件においては労使間に前記各協定が締結されたほか前記覚書が交換され、従業員は昭和四〇年度においては右各協定に基づく時間外就労の義務を負うことを承認したのであるから、右の主張は採用の限りでない。
(三) 本件三六協定の効力について
前記認定のとおり一事業場たる被控訴人名古屋支部の労働者が二個の労働組合の組合員と未組織労働者とに三分され、各組合の組合員数がいずれも全労働者の過半数を占めるに至つていないが、両組合の組合員数を合算すれば過半数を占める場合において、使用者が各組合の代表者と相次いで同一期間内に適用すべき同一内容の時間外労働に関する協定を締結したときは、労働基準法第三六条所定の協定に関する労働者側当事者に関する要件を充足したものと解すべきである。
また同条所定の協定は必ずしも一個の協定書により締結される必要はなく、数個の協定書を合一して労働基準法施行規則第一六条所定の要件を充足するときは、右各法条に基づく有効な協定が存すると解するのを相当とするところ、前記認定の時間外労働・休日労働に関する協定および賃金協定中の各協定条項を併せてみるときは、右規則第一六条所定要件中労働者数に関する事項を除きその余の要件を充足していると解することができ、右規則中労働者数に関する事項については、右各協定の趣旨上右各協定が被控訴人名古屋支部の全従業員に効力を及ぼすものとして締結されたことは明らかであり、その数は各協定当事者において了知していたものと認めるべきであるから、右各協定書が労働者数に関する記載のみを欠くことを理由としてそのいわゆる三六協定としての効力を否定すべきものと解すべきではない。
(四) 政治ストの効力について
前記認定のとおり、本件時間外就労拒否闘争は名を冬季一時金獲得、不当解雇反対および日韓条約粉砕に藉りながら、実は日韓条約反対の意思を政府、国会に対して表明することのみを目的とした争議行為であると認められる。憲法第二八条および労働組合法の諸条項は、使用者対被用者という関係に立つ者の間において経済上の弱者である労働者の地位を向上させることを目的として労働基本権を保障しており、また現実の政治・経済・社会機構のもとにおいて労働者がその経済的地位の向上を図るにあたつては、単に対使用者との交渉においてのみこれを求めても十分に目的を達成し難いことがあるから、労働組合が右の目的をより十分に達成するための手段として、その目的達成に必要な政治活動や社会運動を行なうことを妨げられるものではない。しかしながら、右は使用者に対する関係においては労働契約上の義務と相対的に判断することを要し、使用者によつては如何ともなし難い政治的要求を掲げて争議行為、特に就労拒否をすることは、少なくとも使用者に対する関係において右諸規定の保障する争議行為としての正当性の限界をこえるものと言わざるを得ない(最高裁昭和四一年一〇月二六日判決、刑集二〇巻八号九一三頁参照)。この点に関する控訴人らの主張は当裁判所の採用し難いところである。また控訴人らは一時的政治ストは憲法第二一条の保障する表現の自由の行使として正当性を有する旨主張するが、同条は労働者が政治的見解を表明するために使用者に損害を及ぼす手段を用いることまでをも保障した規定であると解する余地はない。
(五) 違法争議に対する組合役員の責任について
労働争議が労働組合法の保障を受けえない違法なものであるときは、これに参加した組合員の組合活動としての正当性は否定され、参画した組合員は執行機関を構成する役員であると否とを問わず、違法な行動につき民事上の責任を追及されるべきである。この点は民法上、法人が意思表示をする場合はもちろん、理事が不法行為をする場合とも場合を異にするから、控訴人らの民法を論拠とする法人責任論および機関責任論は妥当でない。
11084 全日本検数協会名古屋支部解雇事件一審務名古屋地判昭43・10・21 判時541
10085 小西国友「政治スト-全日本検数協会名古屋支部事件」労働法の判例第二版1978(控訴審評釈)
10086 下井隆史「政治スト-全日本検数協会名古屋支部事件」労働判例百選第三版 1974(控訴審評釈)
10087 伊達隆英「抜打ちスト-全日本検数協会名古屋支部事件」労働判例百選第六版 1995(控訴審評釈)
10088 中山和久「政治ストと組合役員の解雇 全港湾名古屋支部全検分会事件 名古屋地裁昭43・10・21判」『季刊労働法71号』
10089 昭和38年動労鳥栖駅事件控訴審福岡高判昭49・5・25 判時770、判タ311 裁判所
(テーマ公務員の争議行為)
11066田上穣治「下級審裁判所の特異な傾向-違憲裁判の諸問題をめぐって-」『経済往来』1967年10月号
11067田辺正一「法廷闘争と左翼勢力-1自由法曹団・2青法協・3全司法の法廷闘争」同上
11068神山欣治「労働事件からみた戦後裁判-実刑がないという風潮について-」同上
11069深山喜一郎「郵政省職員の争議行為と国公法八二条の懲戒処分-都城郵便局懲戒処分事件」判時670号、判例評論162号
11070花見忠「公労法一七条違反の争議行為と懲戒処分」判タ276 都城郵便局事件東京地判昭46・11・12という争議行為を是認し懲戒処分を無効にした偏向した判決の評釈
判旨「公労法適用下の組合は、同法八条所定の事項につき団体交渉を行い、労働協約を締結するここしができ、憲法二八条、公労法三条、労組法七条一号。労調法七条、八条の一般原則により、団交における主張貫徹のため、争議行為を行うことができる‥‥組合及びその組合員は争議行為をしたことり故をもって不利益な取扱いを受けない」
11071★山口浩一郎「政治スト・同情ストと民事責任」『法律のひろば』30巻4号1977
まず七十七(しちじゅうしち)銀行事件第仙台地判昭45・5・29労民集21-3-689という偏向した判決の解説。これが政治ストを是認した唯一の下級審判例とされるのだが、判旨はたとえ違法行為であっても組合個人の責任を問い得ないというものであった。あまりにもプロレイバー学説に忠実な偏向した判断になっている。
「懲戒は個別的労働関係において遵守が期待される就業規則ないし服務規律違反について個別労働関係の主体たる地位においてその責任を問うものであるから、集団的労働関係にある労働組合の活動に参加した組合員の行為は、それが正当な組合活動であれば違法な行為(殺人、放火、暴力行為等その違法が明白かつ重大でももはや社会的に組合活動と評価できない行為をいうのではない)であっても、労働組合の行為として不可欠のものと認められるかぎり、これを組合員個人の行為として懲戒責任を問い得ないのである。‥‥このことは、組合幹部が機関活動として行う行為についても当然いえるのであって、組合幹部の故に使用者との関係で特別に重い企業秩序維持に対する責任を負うべき合理的根拠はなく、したがって、組合幹部がその権限と義務とに基づいて行なう行為、例えば争議行為の企画、提案大会における推進、争議中の指令、指揮等はたとえその争議行為が違法であっても、機関の活動として団体たる組合自身の行為と評価すべきものであるから、個人として使用者から懲戒責任を問われるべき性質のものではない」
次に、全日本検数協会事件名古屋高判昭46・4・10労民集22巻22-2-453は、三六協定の一方的破棄し、時間外労働を拒否したが、その目的が、組合員を指揮して日韓条約批准阻止の統一行動に参加することだったというもので、正当な組合活動ではないとされた。この事件はもう少し調べてみたいと思う。
著者の見解では「三六協定には必ず有効期間の定めがなされていなければならず(労基則一六条)有効期間の定めのない三六協定は労働基準監督署では受理されない。したがって、期間の定めのある契約は、正当な事由なく一方的に解約できないという契約の一般法理からいっても、三六協定が免罰効果をもつため法的安定性が強く要求されるということからいっても破棄には正当の事由の存在が必要であり、政治的目的はこれに当たらない。」
11072慶谷淑夫「争議行為と年次有給休暇」同上
11073永井敏雄「ビラ貼り行為と建造物損壊罪の成否」同上
11074都政新報2014年10・28「水道局汚職権事件 職場の「主」だった主任OB」
11075臼井滋夫「ロックアウトの正当性の要件・限界」『法律のひろば』28巻8号1975
11076★★臼井滋夫「可罰的違法性論による消極判決を破棄した2つの最高裁労働事件判決(最近の判例から)」『法律のひろば』29巻3号1976
11077★★臼井滋夫「地方公務員の争議行為禁止と刑事罰--全逓中郵事件判決以降の判例の系譜から見た岩教組事件判決の意義」『法律のひろば』29巻8号1976
11078★★臼井滋夫「五・四名古屋中郵事件大法廷判決について--公企体職員の違法争議行為と刑事罰」『警察学論集』30巻7号1977
11079★★臼井滋夫「「可罰的違法性論」に対する批判的検討」『警察学論集』30巻7号1977
11080★★臼井滋夫「ピケッティングの正当性の限界」『法律のひろば』30巻4号1977
11081★臼井滋夫「公務執行妨害罪の成立要件--長田電報局事件上告審判決(昭和53.6.29)」『法律のひろば』31巻10号1978
11082★★中野次雄 東京中郵事件大法廷判決調査官解説 『最高裁判所判例解説刑事篇昭和41年度』233頁
(テーマは公務員の争議行為)
11041山口浩一郎「争議行為法の再定義」ジュリスト441号
違法な争議行為が行われた場合、誰にいかなる法的責任が生ずるかついての個人責任否定説 私は当然反対である。
11042佐藤昭夫「公労法違反の争議行為とピケッティング-横浜郵便局事件-」ジュリスト482号
昭和33年春闘において全逓横浜郵便局支部が全逓中央の指令に反し、勤務時間にくいこむ2時間の職場大会開催を違法行為であるとして拒否し幹部が総辞職した。このため臨時闘争司令部が組織され中央の指令を確認し、神奈川県地評の支援を要請、同地評傘下の組合員約200名が郵便局通用門前の道路上でピケを張り、局員の就労を妨げたため、郵便局長の要請で機動隊が出動し、ピケ隊が警告に応じず、実力で排除する引き抜きを行ったため、激しい揉み合いとなり、ピケ隊2名(神奈川県地方労働組合評議会事務局員兼日本共産党神奈川県委員会労働組合部委員の1名と日本鋼管川崎製鉄所労働組合員1名)が機動隊員に足蹴り等の暴行を働いたため公務執行妨害に問われた事件で、控訴審東京高裁41年8月26日判決は、全逓のような国が経営する公共企業体の職員で組織される労働組合は公労法17条1項により争議行為が禁止されているのであるから、本件争議行為、したがってその手段たるピケッテイングが一般の企業と異なり、それ自体違法な行為であり、威力業務妨害罪を構成するという前提に立ち、警察官のピケ隊排除は現行犯たる威力業務妨害行為に対する鎮圧行為として適法であり有罪としたが、上告審判決は8対6で破棄差し戻しとした。
その理由は原判決が公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為に対しては、労働組合一条二項[刑事免責]の適用がないと判示した(つまり「公共企業体等の職員は、争議行為を禁止され争議権自体を否定されている以上、その争議行為についての正当性の限界如何を論ずる余地はなく、したがって労働組合法一条項の適用はないものと解するのが相当である」)国鉄檜山丸事件最二小判昭38・3・15刑集17-2-23判タ142号に依拠するものであるが、檜山丸事件判決は、東京中郵事件最大判昭41・10・26が公労法違反の争議行為にも労働組合法一条二項の適用がある解すべきと判例変更したため、ただちに本件ピケッティングを違法であるとした法令解釈は誤りとするものであるとした。
プロレイバーの佐藤昭夫の解説は、札幌市労連事件(最三小判昭45・6・23乗客のいない車庫内で市電の進行を約30分阻止したピケッティングを正当とした)を中郵判決以来の労働基本権尊重の精神を反映したであり、地公労法違反の争議行為もすくなくとも刑事責任に関しては、一般民間労働者の場合と同一の法理によることを示したと評価したうえで、本判決は同判決の考え方を公労法関係でも大法廷として確認したものとし、ピケが適法になりうることを認めたものだとしている。
しかしながら本件は差戻後控訴審東京高裁判決昭47・10・20労判822号において 中郵判決の枠組みに依拠して公企体職員の争議を可罰的違法性なしとしながら、本件ピッティングは相当限度を越えた違法があるとして威力業務妨害罪の成立を認め、2名にを禁固二年執行猶予一年と有罪を言い渡している。
差戻後控訴審の中野次雄判事(後に大阪高裁長官)は単純不作為の罷業である全逓東京中郵事件では刑事免責されても、積極的な就労妨害は、刑事免責されないという解釈によって有罪判決を下したのである。札幌市労連事件最高裁判決の松本正雄反対意見の趣旨も踏まえており、最高裁がいずれ東京中郵判決を判例変更するだろうということを予見したうえでの判断とみられている。
差戻後上告審最一小決昭49・7・4は、国労久留米駅事件最大判昭48・4・25刑集27-3-418を引用し上告を棄却しているのであって、全逓組合員が、郵便局の入口にピケッティングを張り、同局職員の入局を阻止して職務に就かせず、国の郵便局業務を妨害したときは、威力業務妨害罪が成立すること、公共企業体等職員の労働争議の際のピケッティングが違法であるとして、これを鎮圧排除しようとした警察官の実力行使に対してなされた暴行が公務執行妨害罪を構成することを判示したる
地公労法適用職場において、ピケッティングを正当とした札幌市労連事件最高裁判決は、東京中郵事件大法廷判決が示した「公労法3条1項は公労法17条1項違反の禁止に違反する争議行為全体又は争議行為に随伴して生じる犯罪構成要件に該当する行為についての労組法1条2項(刑事免責)が適用を排除しないという解釈」(10404前田から引用)に依拠しているが、この判断は、全逓名古屋中郵事件大法廷判決昭52・5・4によって判例変更されていること、更に久留米駅事件判決が可罰的違法論の安易な適用を実質否定する判断枠組みをとったことにより、実務的に可罰的違法性論による無罪という判決が消え去ることとなったため、実質先例としては否定されたものと解してよいと考える。
11043 前田雅英「労働組合役員の他組合員に対する暴行,逮捕行為と実質的違法阻却事由(最判昭和50.8.27) 」『警察研究』55巻1号 1984年
日本鉄工所事件の評釈だが、可罰的違法性を欠くとして無罪 とした判例は130件あるというが、日本鉄工所労組事件以降、ほぼ完全に姿を消し、実務上可罰的違法論は消え去ったが、実質的に考察して構成要件に該当しないというかたちで無罪とした判例はこれ昭和50年代においてもあると説明。
最高裁は実質的違法性阻却事由を理論として否定したことは一度もなく、久留米駅事件方式を実質的違法性判断という言い方をしている。
光文社事件を軽微な事件と説明し、こちらの方も連行距離のみみれば不可罰という言い方をしている。
11044 前田雅英「いわゆるピケッティング等によって旅客列車の発進を一時不能ならしめる行為と威力業務妨害罪の成否(最決昭和49.7.16) 」 『警察研究』48巻9号 1977
動労尾久駅事件の評釈
11045 保原喜志夫「地方公営企業の争議におけるピケの正当性--札幌市電スト事件」『季刊労働法』78号 20巻4号 1970年
本件は、地公労法11条違反の争議行為であっても、労組法1条2項の適用があると判示した判例であるが5対2の判決である。地公労法違反の刑事事件はこれ以降ないため、明示的には判例変更されていないなどいうのは詭弁であって、全逓名古屋中郵事件大法廷判決で、公労法17条1項違反の争議行為は労組法1条2項は適用されないとしていることから、今日では先例としての意味をもたないものと理解してよい。名古屋中郵判決は国労久留米駅事件方式を補強する意味もあるから、威力業務妨害罪とみなしてよい事案なのである。
判旨はピケの目的について争議脱落組合員の就業を阻止して、組合の団結がみだされ同盟罷業の実行性が失われるのを防ぐため」としているが、検察側上告理由はつぎのように反論している。地方公営企業の職員は地公労法11条により争議行為を禁じられているから。本件スト指令は違法であり、組合員を拘束しない。従って、市当局の業務命令は適法であり、職員はこれに服従する義務を負う。それゆえこれらの者を一般民間労組における争議脱落者と同視することはできない。
この論点は、松本正雄裁判官の反対意見でも「本件争議行為は、地方公営企業労働関係法上の地方公営企業に対するものであるから、職員の争議行為は禁止せられた違法な行為であって、これに違反した職員は解雇せられることがある(同法一二条)のである。したがつて、争議から脱落し、業務に従事しようとする組合員個人の自由意思は特に尊重せられてしかるべきである。自らの意思で争議行為に参加しない組合員個人の意思および行動の自由までを実力をもつて拘束し、その就業を全く不可能にすることは、組合といえども許されるべきではない」と述べられ、この趣旨は以下の判例で組合の違法争議行為指令は組合員を拘束しないという内部統制否定の法理が示されている。
①全逓横浜中郵事件差戻後控訴審 東京高裁昭47.10.20判決 判時689号51P 判タ283号120P 労判164号29P 労働法律旬報822号(差戻後上告審-最一小昭49.7.4決定棄却 判時748号26P)
②動労糸崎駅事件控訴審 広島高裁昭48.8.30判決 刑事裁判月報5巻8号1189P 判タ300号 労判184号(上告審-最一小昭51.4.1決定棄却 刑事裁判資料230号215P)
③国労岡山操車場駅・糸崎駅事件控訴審 広島高裁昭48.9.13判決 刑事裁判月報5-9-1958、判タ301号、労判187号、判時727号(上告審-データベースから発見できず)
④動労鳥栖駅事件控訴審 福岡高裁昭49・5・25判決 判タ311号97P 判時770号11P(上告審-最三小昭50.11.21決定棄却 判時801号101P)
⑤国労東和歌山駅事件控訴審 大阪高裁昭50.9.19判決 刑事裁判月報7巻9-10合併号826P(上告審-データベースから発見できず)
⑥国労広島地本事件上告審 最三小昭50・11・28判決 民集29巻10号1634P 判時時報798号3P、判タ30号201P
したがって札幌市労連判決は今日においては否定されているものと理解すべきである。
11046籾井常喜「組織決定に基づく休暇闘争の指令・指導と地公法六一条四号の煽動罪 都教組事件 東京高裁」『季刊労働法』60号 16巻2号 1966
11047★片岡曻「公務員の争議行為と懲戒処分」『季刊労働法』73号 19巻3号 1969
個人責任を否定する学説
争議行為について許容的な判決(のちに判例変更)の44年4.2都教組事件大法廷判決は「地方公務員の具体的行為が禁止の対象たる争議行為に該当するかどうかは、争議行為を禁止することによって保護しようとする法益と、労働基本権を尊重し保障することによって実現しようとする法益との比較較量により、両者の要請を適切に調整する見地から判断するが必要である。そして、その結果は、地方公務員の行為が地公法三七条一項の禁止する争議行為に該当し、しかも違法性の強い場合も勿論あるだろうが、争議行為の態様からいって、違法性の比較的弱い場合もあり、また実質的には、右条項にいう争議行為に該当しないと判断すべき場合もあるだろう‥‥‥地方公務員のする争議についてはそれが、違法な行為である場合に、公務員としての義務違反を理由として、当該職員を懲戒処分の対象者とし、またはその職員に民事上の責任を負わせることはもとよりありうるむべきところであるが、争議行為をしたことそのことを理由として刑事制裁を科することは、同法の認めないところ」と判示した。
この判示より得られることは、片岡より引用「地方公務員の争議行為には、実質的に地公法三七条一項に禁止する争議行為に該当しない場合-したがって違法性のない場合-があり‥‥」「官公労働者の争議権の実質な確立の上に最初の発展段階を画した」と評価。もちろん私は反対である。
11048室井力「公務員の戒告と昇給延伸」『法学セミナー』1970年6月
11049蓼沼謙一「「正当」争議行為のいわゆる免責とくに民事免責の意味について」『季刊公企労研究』28号 8巻1号 1958年
「正当」な争議行為については、労働者が刑事責任を問われたり、労働者又は労働組合が民事責任を追及されない。これを民刑免責という。
法規により争議行為を全面的に禁止されている公務員、公共企業体等職員、地方公営企業体職員(国家公務員法98条5項、地方公務員法37条1項、公労法17条1項、地公労法11条1項)が挙げられ、これらの者の争議行為は、その目的手段における合法性を論ずるまでもなく、当然に違法であり刑事・民事の免責は認められない。という学説を批判。
10050 柳原瑛(自治省公務員第二課)「札幌市公平委員会採決とその問題点」『地方公務員月報』92号1971年3月
職務命令の記述が重要に思えた。10065も参照
「一般に上司の職務上の命令に対し、服従義務があるのは当然のことである。明らかに違法な命令の場合はこれを挙措しても違法性は生じないが、そうでない場合は、たとえ正当な命令が疑わしい場合であっても、一応合法の推定を受け、部下には命令の審査権はないから、それを拒否することは服従義務違反を構成する」したがって当局が組合を憚って業務命令をしないというのははじめから懲戒処分にしないことを意味している。
「職務専念義務違反の面からは、同義務の違反行為は、職務を怠ったという事実の発生によりただちに成立するのであり、違反行為の結果、正常な運営を阻害されたということは要件ではない」つまり決起集会の三割動員などの職場離脱による実害が小さいとしてもそれは問題ではない。
10051菅野悠紀夫(自治省公務員第一課)「公務員の懲戒についての諸問題」『地方公務員月報』95号1971年6月
都教組判決を受けてのもの。
プロレイバー学説に掣肘されて企画指導した機関責任だけを問い、現場での争議行為指導者、率先助勢者等を懲戒処分の対象にしないというのはおかしいという問題意識があるため、自治省担当者の見解なので引用する。
そもそも争議行為に懲戒責任を問えないという室井力説(「公務員の懲戒処分」ジュリスト472号)に反論して私企業の争議行為でも賛成しえないとして、「もともと労働者は労働契約によって労務の提供の義務を負っており、これは、争議行為が行われているときにおいても基本的にはその義務を免れることができない。ただ正当な争議行為の場合には刑事および民事上の責任を問いえないよう立法上措置されているだけである。
したがって違法な争議行為が行われた場合には、刑事及び民事上の責任を問うことができ、また企業秩序に違反したとして懲戒に付すことも可能」
争議行為が組合の統一的意思のもとに組織されていることから、争議行為が違法である場合であっても、当該争議行為が集団的性格を有するという事実に変わりはないのであるから個々の組合員の行為を法律的評価の対象とすることはできないというプロレイバー学説(室井前掲論文、「官公労働者の懲戒処分をめぐって」座談会)に対しては、「この主張の正当性についてはきわめて疑問である。なぜなら、地方公務員法第三七条一項の規定は、職員の争議行為を禁止しているのであって、この規定の趣旨は、団体的に行われる争議行為を組成する個々の職員の行為を違法のものと評価して、これを禁じていると解せざるをえないからである。この場合において、争議行為が事実上集団的性格を有するとしても、その集団的な行為を組成する職員の行為が存在するのであるから、争議行為が集団的性格をもつということを理由に、個々の職員の行為について、法律の規定に基づいて懲戒責任を問うことを妨げるべき理由は全くない。」この文章など使えるものが多い。ちなみに地公労法11条1項は「職員及び組合は、地方公営企業に対して同盟罷業、怠業その他の業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない‥‥」となっており同じことである。
昭和46年の雰囲気が良く残っている論文だが、今日でも価値がある。
10052萩沢清彦「操業の事由」『ジュリスト』300号1964
10053橋詰洋三「時間内・外職場大会」『季刊労働法』75号
10054坂本重雄「争議調整制度」
10055宮内裕「争議行為の刑事免責と最高裁-ピケットを中心として-」『季刊労働法』29号1958
10056山本博「公労協労働組合の争議行為と民事責任-公労法一八条を中心として-」『季刊労働法』74号1969
10057花見忠「ビラ貼り行為の限界と刑事責任 全電通東海地本上告事件」『季刊労働法』61号1966年
10058平野毅「時間外労働拒否と不当労働行為 東水労事件」『季刊労働法』61号1966年10059峯村光郎「公労法一七条違反の争議行為と刑事免責 全逓中郵事件」」『季刊労働法』62号1966年
10060佐伯千仭(さえき ちひろ)可罰的違法性の理論の擁護(下)」『法学セミナー』1970年5月号
全逓中郵判決の可罰的違法の肝といえる論理は、単純不作為の罷業は債務不履行の問題で刑罰になじまないという説明、わが国には英米法の共謀罪の伝統がないので、理解できないことはないこの趣旨は全逓名古屋中郵判決でも生かされている。
10061広政順一「アメリカにおけるショップ制思想の変遷」『季刊労働法』29号1958年
10062山本博「現行公務員法制の崩壊現象とその展望」『季刊労働法』80号 1971年
10063有泉亨「物語労働法 第二話 団結権の法認」『法学セミナー』1970年5月号
10064有泉亨「物語労働法 第三話 争議行為の禁圧」『法学セミナー』1970年6月号
10065有吉保久(自治省公務員一課)「三六協定に基づく労働協約(就業規則)がある場合、第三者のための選挙運動を理由とする残業拒否が懲戒事由に該当するとした例」 横浜地裁川崎支部判昭45・12・6の評釈『地方公務員月報』95号1971年
「公務員の場合には、上司の職務命令を遵守することは法定の義務とされており(地方公務員法32)重大かつ明白な瑕疵がない限り職務命令は適法性の推定を受け、受命公務員を拘束するものと解されているのでこれらの説を受け容れる余地はない。むしろ三六協定が結ばれていない場合といえども使用者がそのことによって労働基準法の責を負うことはともかく、発せられた時間外の勤務は有効であり、当該命令を受けた職員を拘束するものと解されている。ただし、これに反する趣旨の判例東京地裁昭40・12・27東京都水道局地位確認訴訟)、本誌昭和41年3月号所収もみられる。
10066「昭和四五年中における地方公務員の争議行為の概要」『地方公務員月報』92号1971年
10067花田政道「裁判官の「政治的中立性」-裁判官の青法協加入問題について-」『法学セミナー』1970年6月
10996★★玉田勝也「全逓東北地本懲戒免職事件上告審判決について」『季刊公企労研究』38号1979年
本件は争議行為と個人に対する懲戒責任の問題に決着をつけたと言う意味で重要な先例である。
10997 判例寸評★★山陽電気軌道事件上告審決定最高裁昭53・11・15決定
ストライキ対抗措置としての操業行為は完全に法的保護の対象となる。朝日新聞西部本社事件、羽幌炭礦事件、横浜輸送部隊とともに操業継続の権利を明らかにした。
公労協スト権スト損害賠償第一審判決東京地判昭53・12・11・10998★神代和欣「公共部門の賃金決定 国際比較の観点から」『季刊公企労研究』39号1979年
10999判例寸評 『季刊公企労研究』39号1979年 ★全電通一宮分会懲戒処分事件第一審判決 名古屋地判昭53・12・15、麻生セメント事件第一審判決福岡地判昭53・12・26ビラ貼り建造物損壊罪を構成するとした、先例として東海電気通信局事件上告審決定最三小決昭41・6・10刑集20・5・374、金沢タクシー事件上告審決定 最一小昭43・1・18 22・1・32、平和タクシー事件上告審決定、最三小決昭46・3・2325・2・239、判時627・98、国鉄小郡駅上告審判決 最三小判昭39・11・24刑集18・9・610、新鶴見駅機関区事件控訴審判決横浜地判昭54・3・27 鉄労の組合員に対する追及活動で暴行を加えた動労組合を有罪としたもの、富山県教組団体交渉暴力事件 名古屋高判昭54・3・29、★★★北見郵便局懲戒処分取消事件控訴審判決昭札幌高判54・3・29 被控訴人の所為のうち
① スト参加者に対する激励の演説は「あおり」「そそのかし」
② ピケ張りの実践、指導は、「あおり」「そそのかし」
③ スト参加者に対する隊列行進の誘導は「そそのかし」
④ ジグザグデモ行進の指導と実践は「あおり」「そそのかし」
⑤ 集会の際のシュプレヒコールの音頭は「あおり」
非破壊検査会社損害賠償事件第一審判決 大阪地判昭54・3・29「仮に違法なストライキにより多大な損害を被ったとしても、契約関係にない第三者は、一切、不法行為法の保護の対象とならない」とする。対馬今里中学校長監禁事件長崎地判昭54・5・8、労働組合活動に伴う監禁事件の先例として、美唄炭鉱事件上告審最大判昭28・6・17刑集7・6・1289、バレーコート監禁事件上告審最三小昭29・12・7、ジュリ75・61、三井砂川鉱業所事件上告審最三小判昭32・12・24刑集11・14・3349、三井鉱山文珠抗事件上告審判決最二小判昭33・7・11刑集12・11・2532など。
11000高島良一「公企体関係労働判例の一〇年を顧みて」『季刊公企労研究』40号1979年
○東京中郵判決と都教組判決の何が悪かったかが簡潔に説明されている
東京中郵判決(最大判昭41・10・26)と、都教組判決・全司法仙台判決(最大判昭44・4・2)の悪影響について争議行為が可罰的であるためには「国民生活に対する重大な障害」を挙示し、実害論をとったため、公企体等の労働組合は両判決を錦の御旗として、公然と争議行為を行うようになり、スト権奪還を標榜するようになった。
それまでは勤務時間内職場集会、時間内くい込み行動、順法闘争、安全闘争など称し争議行為という言葉を避けていたが、ストライキとしてこれらの行動を行うようになったと説明されわかりやすい。二重の絞りが難しいのこの程度の説明でも一般向けにはよいかもしけない。
下級審判例では、行政当局または公企体の懲戒処分の量刑基準につき全電通一宮分会懲戒処分事件第一審名古屋地判昭53・12・15は、組合の統一指令にもとづき、拠点の事業所で行われたストライキの懲戒処分は、分会長・副分会長・執行委員・一般参加者と区別しそれぞれの量刑の内容を画一的にきめて懲戒することはやむをえないとしたと説明、全林野春闘事件東京地判昭53・7・14につき統一的に画一の懲戒基準を定めそれに従って処分をなすことを是認したと解説。
11001判例寸評 浮羽東高校事件第一審判決福岡地判久留米支部昭54・2・27、務太秦郵便局事件 京都地判昭54・4・10 全逓京都地本の抗議活動により、全郵政支部長が暴力を受けた事件、有罪だが、罰金1万円ですんでいる。★北教組マンモス訴訟第一審判決札幌地判昭54・5・10
11002摩周丸事件上告審判決最大判昭41・11・30 刑集20-9-1076、判時466-58、国労青函支部は、組合役員の処分に抗議するため昭和32年5月11日9時20分青森出航予定の青函連絡船摩周丸内において勤務時間内の職場大会を開催することとした。被告人船舶支部副委員長らは組合員多数と共謀のうえ、実力を用いて二等舷門扉の開放を阻止し、桟橋長らが試みたタラップ架設作業を不可能にしたため、出航を1時間29分遅延させたもので、一審、二審とも刑法234条、233条の威力業務妨害罪の成立を認めたが、組合側弁護人は国鉄業務は公務なので業務妨害罪の適用は受けないとして上告したものである。最高裁は上告を棄却し、国鉄の業務は業務妨害罪及び公務務執行妨害罪双方の保護を受け、民鉄が業務妨害罪の保護だけであっても憲法14条に違反はしないと判示した。
11003船田三雄 摩周丸事件調査官解説 『最高裁判所判例解説刑事篇昭和41年度』220頁
11004芝原邦爾「公務員の公務による業務妨害-摩周丸事件-」刑法判例百選Ⅱ各論第二版1984
11005内藤謙「業務妨害罪と公務執行妨害罪(摩周丸事件)」刑法の判例第二版
11006ほし判例寸評『季刊公企労研究』43号1980 ★全逓明石郵便局事件第一審判決 昭和43年2月25日の公労協統一スト全逓半日スト指令による、始業時から3時間53分ないし2時間49分ストライキに参加し、労務の提供を拒否に対して、減給一月十分の一または戒告の懲戒処分を適法としている。全逓東北地本最高裁判決の論旨によっているもの目新しい見解はない。現業の国家公務員が公労法の規定に違反する争議行為をなせば、国公法九八条一項(法令遵守義務)、九九条(信用失墜行為禁止)、一〇一条一項(職務専念義務)の各規定に違反したものとして、同法八二条の懲戒処分の対象となると判示。
革マル派全学連郵便配達妨害事件第一審判決東京地判昭54・12・24、動労甲府青年部等暴力事件第一審判決甲府地判昭55・1・31 一畑電鉄出雲営業所ビラ貼り事件第一審判決松江地判昭55・3・4、★新宿郵便局事件控訴審判決東京高判昭55・4・30 企業秩序を乱すような組合の庁舎利用に対し、事業主体は業務の運営態勢を確保するため具体的に指示命令ができる。
11007古河目尾鉱業所事件 最二小判昭35・11・18刑集14-13-1713、判時242号5頁国鉄事業は業務妨害罪の対象になる。
11008★★柴田孝夫 仙台鉄道管理局事件調査官解説 刑事篇昭和48年
11009丸子郵便局事件 長野地判昭52・10・13 訴務月報23・10・1789
11010香城敏麿 第二名古屋中郵事件調査官解説 刑事篇昭和53年
11011星野守之助「ノーワーク・ノーペイ」『季刊公企労研究』30号1977年
11012★花見忠「公共部門の紛争処理について」
11013昭和37年国鉄春闘松山駅事件松山地判昭43・7・10刑集32-2-191
11014春闘松山駅事件高松高判昭46・3・26刑集32-2-204
11015★★札幌市労連事件上告審最三小昭45・6・23刑集24-6-311判時596号
11016山口浩一郎「ビラ貼り-国鉄甲府総合事務所事件-」労働法の判例第二版
11017動労甲府支部ビラ貼り事件東京地判昭50・7・15判時784号、判タ324号
11018秋田成就「ビラ貼りと損害賠償-国鉄甲府総合事務所事件-」昭和50年度重要判例解説
11019下井隆史「労働組合のビラ貼り活動と民事法上の責任-動労甲府支部事件を中心に-」判タ326号
11020電電公社東海電気通信局ビラ貼り事件 名古屋地判昭38・9・28 判時359号
11021国労米子地本浜田支部ビラ貼り事件 広島高裁松江支判昭50・4・9 判時781号
11022国労米子地本浜田支部ビラ貼り事件 松江地裁浜田支部昭48・3・30判タ295号
11023東京厚生年金病院ビラ貼り事件 東京地判昭41・9・20 判時477号
11024東京中央郵便局ビラ貼り事件 東京地判昭46・3・18 判時624号
11025今野順夫「組合のビラ配布活動と施設管理権 日本エヌ・シー・アール事件」『季刊労働法労働組合106号
11026★日本エヌ・シー・アール事件東京高判昭52・7・14 判時868号
11027電電公社東海電通局ビラ貼り事件名古屋高裁昭39・12・28
11028島岡まな「ビラ貼りと建造物損壊罪-全電通東海地本事件」最三小昭41・6・10評釈 刑法判例百選各論第五版
11029森本益之「ビラ貼りと建造物損壊罪-全電通東海地本事件」刑法判例百選各論第四版
11030坂本重雄「ビラ貼り行為の限界と建造物損壊罪-全電通東海地本事件」昭和41年度重要判例解説
11031全電通東海地本ビラ貼り事件上告審最三小昭41・6・10 刑集20-5-347 判時454号
11032★日本ナショナル金銭登録機事件横浜地判昭48・2・9 判タ294号
11033清正寛「施設管理権-三井化学三池染料事件-」労働判例百選第三版
11034中村正「施設管理権-三井化学三池染料懲戒解雇事件-」
10035三井化学工業事件上告審 最三小判昭35・10・18 民集14-12-2528、判時241
ピケッティング事案
10036三井化学三池染料事件 福岡地判昭32・7・20 判時125号
10037三井化学三井染料事件 福岡高判昭34・11・4 民集14-12-2615判タ98
10038竹下英男「保全業務の範囲-三井三池染料事件-」労働判例百選第四版
10039片岡曻「保全業務の範囲-三井三池染料事件-」労働判例百選
10040★足立税務署事件東京地判 東京地判昭52・2・24
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