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カテゴリー「英米法」の73件の記事

2014/07/05

ホビー・ロビーストアズ判決について(2)

 今回の判決は、宗教的信念にもとづいて、家業を経営する権利を明らかにしたものとされ、単に宗教の自由というだけでなく、スモールビジネスにとっても良い判決である  自分の信念に従ってビジネスを生き、行うことが自由であるべきことそれはアメリカの価値観です。  http://www.becketfund.org/hobbylobby/

そもそも自由企業体制のもとでは、企業年金、医療保険、社宅、レクリエーション施設、ストックオプトション、労災補償、有給休暇制度(アメリカでは今日でも法定有給休暇制度はない)その他もろもろの従業員福祉制度とは、本来企業の労務対策として行われたものであり、日本的経営といわれる経営家族主義ももとは南部のカロライナなどの繊維産業などの温情主義的経営を模倣したものである。1920年代に洗練されたものとなり、ウェルフェアキャピタリズムといわれる。それは労働組合の組織化から企業を防衛し、忠誠心のある従業員を確保するための戦略だった。企業はそれが自らの利益になると考えやってきたことで、本来、企業の経営方針について政府がおしつける性質のものではないのである。     今日では自由企業体制に反し、例えば公民権タイトル7のように人種、皮膚の色、出身国、宗教、性別で雇用上の差別を禁止するなど、経営者の裁量に制約を課しているが、本来の契約の自由、自由企業体制という観点では、雇用主がどのような人を雇用し、昇進させ、解雇するかは自由であるべきであり、リチャード・A・エプスタインのように、公民権法についても批判的な見解がある。

 そのような自由企業体制を信奉する立場では、オバマケアは違憲にしてたたきつぶすのが最善だったとおもうが、2012年に最高裁は5対4でロバーツ最高裁長官の政治的配慮とも思えるようなばかげた合憲判断(National Federation of Independent Business v. Sebelius)を下したのである。しかし今回は一部を違法としたことで、総じていえばバランスをとったというか、反オバマ派にとって一矢報いたと云うところである。

 ホビー・ ロビーとは、フルタイムの従業員が13000人、全米41州で600近い店舗を展開する。売り場面積がとてつもなく広く、手芸店、服地店、ファンシーショップ、骨董品店、陶器店、DIYなどを一堂に集めたような  http://homepage3.nifty.com/breath-taking/chicago/chicago06.htmカテゴリーキラーという業態と考えられるが、経営者一族は敬虔なクリスチャン (ペンテコステ派の一派アッセンブリーズ・オブ・ゴッド)で、神を称える為、聖書の原則に一致した方法で経営しているということである。なぜか、バーコードスキャナーを使わない、オンライン販売も積極的でないにもかかわらず競争の激しい業界で成功しているのはすごい。

 ダラスの店舗を紹介しているブログhttp://chipmonk.blog90.fc2.com/blog-entry-73.htmlを見たが、なるほど品揃えが豊富で整然と陳列された感じのよい店である。                     この判決の影響についてはよくわからない。アリート判事の法廷意見は非公開企業を定義 してないが、タイムの記事   http://time.com/2941323/supreme-court-contraception-ruling-hobby-lobby/によると内国債入庁の定義では5人以下の人々が会社の半分以上を所有する企業を「非公開企業」という。「非公開企業はアメリカのビジネスの90%以上を構成し、労働力のおよそ52%が非公開企業で働いている、ただしオバマケアは、50人以上の社員を有する企業に健康保険を提供するように要求するもので、それより小さい企業は初めから適用除外である。 

 非公開企業として有名なのはDell, Cargill, Mars, Heinz, Dole, Kohler, Hilton, Bloombergなど、こうした企業のうち、宗教的理念を経営方針としている企業がどれほどあるのか不明だが、スモールビジネスでは決して少なくないのではないか。  私は、ロー対ウェード判決支持であり、中絶クリニックのピケに反対であるが信教の自由回復法に好意的で、オバマケアに反対なのでこの判決には好感を持つ。  

フェミニスト団体は今回の判決に怒っていると言うが、皮肉なことに、多くのアメリカ人女性顧客に愛されている手芸用品店が女性の敵であるとは理解しがたいのである。

2014/07/02

ホビー・ロビーストアズ判決について(1)

  2013-14開廷期最後の日 のBurwell v. Hobby Lobby Stores, Inc.判決は5対4でホビー・ロビー・ストアズのような非公開企業に、その企業所有者の宗教的信念に反する避妊対策の保険適用を強制することはできないとした。オバマケアに挑戦したエバンジェリカル(福音派)キリスト教徒の勝利という、劇的な判決だった。アメリカ社会に固有の問題であるがわが国でも産経や読売が報道しています。http://sankei.jp.msn.com/world/news/140702/amr14070201050001-n1.htm

 ホビー・ロビー・ストアズはエバンジェリカル(福音派)の一族が経営するオクラホマを本拠とする手芸品材料のリテーラーで全米に600店舗、1万3千人の正社員を抱える非公開企業である。  本件は宗教の自由の勝利として大きな判決だと思うし、アリート判事の法廷意見の詳細はみていないが、PBSのニュース解説で知った範囲では判決理由は賛同できると考えます。

 この判決は1993年の信教の自由回復法にもとづいてます。5対2(2人は保留)は、宗教を促進する営利企業に宗教的権利を認めたことで勝負あったと考えます。

 1993年の信教の自由回復法とは、1990 年のEmploymentDivision, Department of Human Resources v. Smith判決がネイティブアメリカンが宗教的儀式にペヨーテという違法薬物(幻覚剤)を用いたことによる不利益処分を合憲とし、従来の厳格司法審査と違う基準で判断を行ったことが非難され、この判例を覆すためにわざわざ制定法をつくったものなのである。

 スミス判決のテストは「宗教を狙い撃ちする法律(law that targets religion)は、「最も厳格な審査(the most exacting scrutiny)」に服せしめられ、およそ違憲とされるけれども、「宗教的行為」を付随的に規制する「宗教に中立的な法律(religion-neutral law)」は、いかなる合憲性審査にも服せしめられるというものでした。これはゆるい審査基準です。

 このぬるい司法審査基準に判例変更したことに対し、アメリカ合衆国の国是ともいうべき宗教上の権利の行使をおとしめるものとして議会が強く反発し、それ以前の最高裁が修正第一条「宗教の自由な実践」条項(Free Exercise Clause)にとっていた司法審査基準である「やむにやまれぬ政府利益(compelling governmentalinterest)を促進する最も制限的でない手段(the least restrictive means)」でない限り、「宗教的行為」に「実質的負担(substantial burden)」を課することを許されないという厳格司法審査と同じ効果をもたらすための制定法である「信教の自由回復法(Religious Freedom Restoration Act of 1993(RFRA)を制定したのである。  

 そうするとこの法律はよほどのことでない限り、宗教的権利の行使に負担を課してはいけないとしているので、非公開企業にも宗教上の権利を認めたことにより、オバマケアは避妊薬や避妊器具の保険適用の義務に反する場合罰則を課しており、宗教上の権利行使に対する負担を課すものと判定されるのは道理といえるのである。

* ネットで公開されている神尾将紀「アメリカにおける「信教の自由」の展望--Smithテストの理論と実際」 (第43回 宗教法学会)宗教法 (21) を参照、引用した。

2014/07/01

ちょっとがっかり

 30日の5対4のハリス対クイン判決Harris v. Quinn ですが、イリノイの在宅ケアの労働者の組合費の強制徴収に関するものでしたが、判決は強制徴収を認めないというものでした。しかし現在20の州で非組合員にも公務員労組の組合費強制徴収が行われており、1977年のデトロイト教育委員会判決でエージェンシーショップが是認されている。今回の判決理由では1977年の先例を覆すにはいたらなかったということです。ニューヨークタイムズの記事は、労組は敗北したが、壊滅的打撃は免れたと、安堵した内容になっている  したがって今回の判決は非組合員の勝利で、それ自体は称賛してよいと思いますが、先例はそのままなのでインパクトのあるものにはならず、少しがっかりです。  もう一つのホビーロビーストアーズの事件は信教の自由回復法、修正一条、非公開企業オバマケアと論点が複雑で難解なので、ニュースをよく読んでから論評します。

2014/06/30

6月30日開廷期末は公共部門労働組合に関する判決ともう一つ

 連邦最高裁の開廷期間は10月~6月となつているが、レーンキストコートの時代から、6月末の開廷期末に重要判決のラッシュで締めくくることが慣例になっており、まもなく開廷期末の二つの重要判決が下されます。一つは公務員労働組合に関する判決で注目しています。

2014/06/29

連邦最高裁 上院休会中のNLRB委員の大統領任命違憲判断について

25日~26日の連邦最高裁判決では、25日の携帯端末の令状なし捜査違憲判決(Riley v. California)は朝日・読売などが報道していた。エレオの月額8ドルで放送番組の生放送および録画放送を見ることができるというオンラインサービスが違法との判断(Am. Broad. Cos. v. Aereo, Inc.   http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N7QIUK6VDLK601.html もネットを中心に我が国でも報道されている。

26日の中絶クリニック入口の35フィートバァッファーゾーン違憲McCullen v. Coakley (06/26/2014)判決http://www.latimes.com/nation/nationnow/la-na-nn-supreme-court-abortion-20140610-story.htmlは報道を確認していないが、オバマ大統領によるNLRB委員の休会任命は違憲判決Nat'l Labor Relations Bd. v. Canning  http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424127887323355204578264883161590380も多くのメデイアで報道されているが、このニュースの意味がわかりにくいのである。

NLRBとは不当労働行為の禁止や組合代表選挙の監督など1935年制定の全国労使関係法を執行する独立機関であるが日本の労働委員会と大きく違うのはILO原則にのっとった三者構成原則をとっていない。

我が国では今後3年間雇用の集中改革期間と位置づけているが、年収一千万以上のホワイトカラーエグゼンプション導入だけではインパクトはほとんどない。成長のためには抜本的に労働基準法をはじめとする労働者保護法のオーバーホールが必要だと思うが、それを阻んでいるのが政策決定過程での労政審議会などの三者構成原則である。結局労組側の言い分をある程度訊いて妥協したものになるので、政治主導の抜本的な改革ができないのである。

日本の労働組合組織率推定18%に対して、アメリカは11.3%、民間企業では6.7%にすぎないが、組織率が低迷している原因は、ニクソンやレーガンの時代に保守的なNLRB 委員が任命されて、団体交渉に枠をはめ、組合組織化を促進しない方向性での裁定をしてきたことが挙げられる。つまり政治主導で右傾化したのである。

一方、オバマは労働組合寄りでビジネス界には歓迎されないNLRB委員を任命しており、今回の判決で、訴訟当事者だけでなく3人の委員が任命されて以降のNLRB1500件のの裁定が疑問視される事態となったので、アメリカ社会にとっては影響の大きな判決である。

反労働組合団体The National Right to Work Legal Defense Foundationは、自立した労働者の勝利でもあるとしている。  

http://www.nrtw.org/en/press/2014/06/supreme-court-strikes-down-obama-recess-appointments-06262014

2014/06/28

中絶クリニック入口35フィート立入禁止区域設定は違憲

 26日の連邦最高裁判決は中絶クリニック入口にバッファーゾーンを設け抗議者の立入を禁止するマサチューセッツ州法は修正一条(表現権)に反し違憲という判決を下した。
 妊娠中絶のため通院する女性に中絶を思いとどまるようピケを張る、妊娠中絶反対派には歓迎される判決のようだ。開廷期末まであと1日でまだ重要判決が残っている。

2014/06/26

6月25日の連邦最高裁判決

ひとつは憲法修正4条を争点とする判決で、警察は携帯端末の捜査には令状が必要というもので、プライバシー保護の勝利とマスコミは伝えている。これは全員一致の判決である。2つ目は放送番組のビデオ配信サービスに関するものでネットストリーミングの新興企業Aereoのサービスを違法とするもの。ライセンス料をはらうことなく、法の抜け穴を利用してみたいときに見たい番組が見られるサービスを提供していた。6対3の判決で、ブライヤー判事が法廷意見、スカリア判事が反対意見を記した。

2012/07/04

それでもケネディ判事はよくやったと思う

 昨日のBS-TBSの7時30分放映のCBSイブニングニュースを見ました。クロフォード記者のレポートで、ロバーツ主席判事ははじめ国民皆保険に反対で、違憲判断だったが、意見を書く段階になって気持ちが変わり、課税権についてもロバーツ主席判事とリベラル派の4判事が意見を同じくしたということです。ロバーツ主席判事は保守派とも意見交換し、ケネディ判事が翻意させるため説得したが、ロバーツは意見を変えなかったということです。フォーブスにもう少し詳しいことが載ってました。
 反対意見はケネディ、スカリア両判事によって書かれましたが、読み上げたのはケネディ判事です。反対意見というのは医療保険改革法の全てが違憲であり叩き潰すべきというものです。
 したがって、もっともオバマケアを嫌っていたのはケネディ判事だということがわかります。
 同判事は第3の男として最高裁入りしました。ボークが上院で承認されず、二人目の指名者はマリファナ吸引報道で辞退したため、代打の代打としてレーガンが指名したのです。就任時にはケースバイケースの判断をとる穏健な保守派という評判でした。
 連邦地裁判事になるのが夢だった。最高裁判事になれたのは望外の幸運と謙虚に語っていたので小物なのかと思いましたが、同判事の実績からすれば、重要判決で決定票を握るか議論をリードしており名裁判官といえると思います。
 つまり、ケネディ判事のかかわった重要判決として記憶に残るのは、公立高校卒業式の祈祷-違憲、星条旗焼却処罰-違憲、ヴァーチャルチャイルドポルノ規制-違憲、男色行為処罰州法-違憲、拳銃所持禁止立法-違憲、特定の候補を支援する目的での企業・団体献金に枠をはめる連邦法-違憲といったものがあります。 
 要するに、宗教の自由、表現の自由、私的空間で成人が合意によりアナルセックスをやる自由、銃所持の権利、企業団体が政治献金する自由を断固擁護しております。
 私が疑問に思ったのは男色行為だけで、あとはケネディ判事の判断が正しいと思います。この流れからすれば、ケネディが保険加入を強制されない個人の自由を擁護するのに相当頑張るだろうということは予想できました。最高裁長官を説得できなかったのは残念ですが。

2012/07/03

L・トライブ教授「政府の課税権は広範で、違反者を投獄せず、税金を課す法律なら個人に商品購入を義務づけることができるという判決だ」と強弁

 本日16時BSNHK放映のPBSニュースアワーを録画で見た。リベラル派の憲法学者ハーバード法科大学院のL・トライブ教授(ロバーツ最高裁長官とオバマ大統領はかつての教え子である)とD・リブキン弁護士(26州を代表し医療保険改革法の違憲性を主張した)の闘論である。大筋は次の通りである。

 
 
ローレンス・トライブ教授
「‥‥私は早い時期からそう思ってましたが、保険加入は義務だと言われてましたけれども、その運用の方法は全く税金と同じであるというふうに最高裁長官が考えていたということがわかったんです。‥‥最高裁長官はこれは本来は支払い能力があるのに加入しない場合、そして他の人に負担を押しつけた場合は課税するという制度であって、義務の不履行に対する罰金ではないと言ってました。ですから私は長官が医療保険改革法を支持すると予想してました。ほかの局でも申しましたけれども、最高裁長官がこれは税金だと言った時には驚きませんでした‥‥」

司会者
「長官が立場をかえたのかどうかというですが、この点は重要なことですか」

デイビット・リブキン弁護士
「いいえ、それは問題にならないと思います。裁判官は審議中に、早い段階であるいは後になって考えを変えるということはあることです。ただ私が強調したいのは憲法が堅持されたということで、その点ではオバマ政権が敗北したという点です。‥‥2年半以上にわたってオバマ政権も医療保険改革法の支持者も州際通商条項を根拠に憲法の価値を貶めるかたちで、個人の保険加入義務を正当化してきました。しかし5人の判事がそれは間違いであると言ったんです。課税権だと言う主張は後でつけたようなものです。それにトライブ先生のいうように政府の課税権だという人もそれだけを根拠としているわけではありません。ですから政府が動かしてきた船そのものが沈んだようなものです。
 さらに、ブライヤー、ケーガン両判事を含めた7人の判事が、医療保険改革法の別の目玉であった高齢者のメディケア制度、強制的なこの制度の改革は26の原告州に過大な負担を強いるもので違憲だとしたのです。これは絶大なる勝利です。‥‥」

 司会者
「トライブ教授に判決の影響について伺います。ある分析によるとリブキンさんのような保守派の学者はこの件については敗北はしたけれども、将来連邦政府の権限を制限するというもっと大きな憲法上の闘いには勝ったと言われてます。そういう意見をどう思いますか」

 トライブ教授
「最高裁は5対4で州際通商条項の権限を確認したのであって、何かをあらたに加えたわけのではありません。これは商品の購入を義務づけたものではないという判断を出したにすぎないのです。議会が頻繁にそうした規制を今後導入しようとするようなことはないと思います。政府の課税権というのは非常に幅広いものですから。そうした規制は必要ないんです。最高裁長官も言ったように、例えば省エネ機器の導入についても、これは義務化をして違反者は投獄するというものではないと。導入しない人はそれだけ高い税金を払ってもらうというようなやりかたであってそれと同じだと言ったわけです。‥‥
 議会が唯一単独でもっている権限というのは課税権です。‥‥ ロバーツ長官もその意見のなかで ‥‥ 規制権限と異なり課税権は単独で行使しうると言ってます。ここでは課税権だけで十分だということは明らかなわけです」

司会者
 「この判決はほかの分野を含めて連邦政府の権限にどのような影響を与えると思いますか。」

 リブキン弁護士
 「最高裁長官の意見は、二重主権制とその個人の自由との関係の重要さを見事に再確認したと思います。連邦政府は包括的な警察権をもたないということです。‥‥
 この判決はロペス判決以来のインパクトでそれを明らかにしたと思います。課税権の問題についてもトライブ先生は見落としてらっしゃると思うんですが、罰則の規模などに限界があるとはっきり言っているわけです。数千ドルであったならぱ最高裁の判決は違ったものになっていたかもしれないと思います。しかし大切なのは現政権の重大なミスを正す判決を下したということです。‥‥ 今の政府は権力の分権、分立などというのはそもそも誇大妄想で大事なことではないと考えているようですが、そんなことはないということを知らしめたんです。‥‥強力な勝利であり今後何十年もの間いろんな判決に影響すると思います」

トライブ教授
「‥‥オバマ政権は州政府の警察権と連邦政府の有限なる権限との違いをきちんと認識してこの法律がその権限の範囲内にあると主張したんです。そしてそれは認められました。
憲法に、ひとつの裁判にはひとつの条項しか適用してはいけないというようなルールはありません。根拠は複数あるということもありうるんです。最初の国立銀行が設立されたときに最高裁は1819年の判決で複数の条項を根拠として合憲と判断したんです。‥‥」

 L・トライブ教授は判決を予想していたし驚きもしなかった。ロバーツに課税権が広範なものだというのを教えたのも私だよなどと自慢、この判決はオバマ政権の主張を認めたもの。どちらが勝った負けたというものではないと言う。対してD・リブキン弁護士はオバマ政権の敗北だ、保守派にとって強力な勝利だと反論。
 トライブ教授は規制と違って課税権は議会が単独で行使できる、課税権で何でも解決できるみたいな事を言っていたが、憲法革命以前の課税権条項が争点となった1936年のバトラー判決は、連邦政府には課税権条項により「一般的福祉」のために租税を賦課・徴収することが認められているが、農業調整法の加工税は「租税」ではなく農業生産を規制する一般的仕組みであり、その規制は憲法修正第十条の「州権限の留保条項」により州の権限として留保されているとして違憲判決もあるのだから、課税権万能思想で良いのか少し疑問に思った。

2012/07/02

「実は保守派の大勝利」とABCジスウィークの討論(連邦最高裁判決)

BSNHK16時放映の「ABCジスウィーク」医療保険改革法連邦最高裁判決についての討論の録画を見た。要点だけ記録する。

司会者ステファノブロス
「ウィルさんは保守派にとっての勝利と言うんですね」

ABCニュース解説者ジョージ・ウィル
「‥‥ 実は我々が勝ったのです。州際通商条項の社会主義者の主張といいましょうか。この州際通商条項のもとで可決すれば、連邦政府に大きな政策権限を与えてしまい、個人の存在まで口を出されるぞと。しかし、法廷はそういう主張はしなかったし、州際通商条項の回りに壁を築きました。さらにメディケアの拡大では、史上初めて過半数の州が団結して違憲であると主張して勝ったのです。ニューディール以来75年にして連邦政府の法律による歳出権限を覆し中央政府と州政府の二重主権を守ったのです‥‥」

司会者
「ロバーツ最高裁長官の果たした役割ですけれどもその判断は多くの人を驚かせました。ほんの数週間前に意見を変えたという話が入ってます」

ABC最高裁担当テリー・モラン記者
「驚異的ですよねえジョージさん、まるで探偵小説です。最高裁長官が意見を変えたんです‥‥」

司会者
「最初は12頁の反対意見に票を投じたと」

モラン記者
「そう、でも全法律撤廃を求める保守派にもついていけない、最高裁長官の意見がこんがらがってよくわからないなら、反対派の意見表明もいい勝負だと思いますよ。‥‥全体像を見れば‥‥これは保守派の大勝利です。これからは連邦政府を革新的でクリエイティブに使おうと思っていたリベラル派は最高裁の攻防に引きづりこまれることになります」

 合憲判決はオバマの勝利じゃない。実は保守派の勝利というのがG・ウィルとT・モラン記者の意見でした。
 今回の連邦最高裁判決は、保守派が最も警戒していた州際通商条項の際限ない拡大を阻止しました。過半数の裁判官が連邦議会には国民に製品とサービスの購入を義務づける権限はないとしましたので先例になります。
 ロバーツ最高裁長官は休暇で地中海のマルタ島にいます。表向きロバーツにがっかりといいながら、実は保守派は今回の最高裁判決を密かに祝っているとのことです。
 これはABCの番組で、よそも見てみないとわかりませんが、今回の判決はロバーツを裏切り者よばわりするほど悪くはないということのようです。
 

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