2018年アメリカ合衆国の労働組合組織率
1935年全国労使関係法(NLRA)は、我が国のように1つの事業所に複数組合が併存することのない排他的交渉代表制度をとっているが、労働組合が承認され団体交渉権を得るには、適正な交渉単位で従業員の3割の署名によりNLRB(全国労働関係局)の監督下の選挙で、過半数の支持を得て認証を受けた組合だけである。
つまり、交渉代表選挙にもちこむ段階でまずハードルがある。そのうえ交渉代表選挙で勝たないと組合は承認されない制度で、会社側も対抗した言論活動ができるので、否決されることも多いのである。
組合が組織化されると、制限的労働規則に縛られ、人員の配置が硬直化し仕事の効率が悪くなるほか、日本のような内部昇進のような制度は組合のない企業でとられているので内部昇進を望む人や、組合不在企業も風通しのよい企業風土や従業員にフレンドリーな政策で努力しているから、組合を望まない従業員も多いのである。
従って米国の企業の労使関係のかなりの部分が、集団的労使関係ではなく、労働者個人との個別契約といえる。
ノースカロライナが組合加入率が低い理由はいくつかあり、ひとつは州公務員は団体交渉が禁止されていて、労働組合が存在しない。ただし従業員協会という団体はあって議員への陳情は行なっている(バージニアも団体交渉禁止)。また一般論として南部は組合嫌いとされ組織化が難しいとされる、もともと繊維産業など製造業がさかんな土地だったが、温情主義的な経営手法で組合の組織化を阻止してきた歴史がある。むろんビジネスフレンドリーな労働権州(”Right-to-Work ( RTW ) Law”とは組合加入と組合費の支払いを義務づける組合保障協定を否定するものである。端的にいえばユニオンショップとエージェンシーショップの禁止)でもある。(つまり労働権とは組合に加入せず勤労する権利なので反労働組合なのであって、我が国でいう労働基本権とは反対の概念です。)
加入率の低い州(前回の大統領選挙結果)
1位サウスカロライナ2.7% 労働権州(トランプ)
3位ユタ州4.1% 労働権州(トランプ)
4位テキサス4.3% 労働権州(トランプ)
4位バージニア4.3% 労働権州(クリントン)
6位ジョージア4.5% 労働権州(トランプ)
7位アイダホ4.7% 労働権州(トランプ)
8位アーカンソー4.8% 労働権州(トランプ)
9位ルイジアナ5.0% 労働権州(トランプ)
10位ミシシッピ州5.1% 労働権州(トランプ)
2位ニューヨーク22.3%(クリントン)
3位ワシントン州19.8%(クリントン)
4位アラスカ18.5%(トランプ)
5位ロードアイランド17.4%(クリントン)
6位コネチカット16.0%(クリントン)
7位ミネソタ15.0%(クリントン)
8位ニュージャージー14.9%(クリントン)
9位カリフォルニア14.7%(クリントン)
10位ミシガン14.5% 労働権州(トランプ)
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